価値開発 Research Memo(2):ポラリス・ホールディングス株式会社へ社名変更予定
[21/01/21]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
1. 沿革
価値開発<3010>は、1912年(大正元年)に創業し100年以上の歴史を持つ。当時の社名は上毛撚糸(じょうもうねんし)株式会社であり、群馬県で製糸業を営み業界大手の一角を占めていた。繊維不況を経て、1973年に不動産業に参入。その後不動産業がメインとなり、2006年に東京証券取引所の所属業種を「繊維」から「不動産」に変更、2008年には価値開発株式会社に社名を変更した。同年、フィーノホテルズを子会社化したことで「Best Western(R) Hotels & Resorts」のエリア開発会社となり、ホテル事業の足掛かりを築く。リーマンショックで不動産市況が悪化し、不動産事業主体からホテル事業にシフトした。2011年3月期にはホテル事業が不動産事業の売上高を逆転。2012年には東日本大震災復興支援プロジェクトの一環として「バリュー・ザ・ホテル」を開業。2015年には東京証券取引所の所属業種を「不動産業」から「サービス業」に変更した。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループと資本業務提携を締結し、新たなマネジメント体制のもと、新たな成長ステージに入った。
親会社であるスターアジアグループは、2007年にマルコム・エフ・マクリーン4世氏及び増山太郎(ますやまたろう)氏によって設立された非上場、独立系の投資運用グループである。主として米国の大学基金、財団や年金基金等の長期運用を志向する投資家の資金を、主に日本をはじめとする不動産関連資産によって運用する。様々なアセットタイプの不動産への直接的な投資はもとより、債権及び株式への投資を通じた不動産への投資など、他の不動産投資家とは一線を画す多面的なアプローチにより機動的に投資を行う特徴がある。これまでの不動産等への投資実績は、累計で6,500億円を超える。同社の持つホテル運営のノウハウと、スターアジアグループが保有する不動産投資や不動産証券化等のノウハウを活用することで、国内での「ベストウェスタンホテル」及び独自の新ブランド「KOKO HOTELS」の拡大や、新たな不動産投資・開発の機会を発掘し、事業ポートフォリオの拡大を図る。なお、2021年6月の株主総会の決議をもって、ポラリス・ホールディングスへの社名変更を予定している。
2. 事業内容
同社の中核事業はホテル事業である。全国で展開する宿泊特化型ホテル「ベストウェスタンホテル」が18棟、東北に限定して展開する中長期滞在型ホテル「バリュー・ザ・ホテル」が5棟、「KOKO HOTELS」が5棟(2020年10月以降に展開開始)あり、これら3ブランドがメインである。なお、ホテル事業は全社売上高の96.1%を占める。また、不動産事業ではマンションを中心とした保有物件の賃貸・管理を行う。かつては大きな割合を占めたが、ホテル事業にシフトするなかでその割合は低下し、現在は売上高の3.9%となっている(いずれも構成比は2021年3月期第2四半期)。
3. ホテル事業:ベストウェスタンホテル
Best Western(R) Hotels & Resortsは世界最大級のワールドホテルチェーンとして全世界110の国と地域に4,200以上のホテルを展開しており、安心安全なハイパフォーマンスホテルとしてその名を知られている。ホテルのグローバルランキングで10位以内にランクインしており、欧米から日本を訪れる海外旅行客には圧倒的な知名度を誇る。ベストウェスタンチェーン専用の予約サイトBest Western.comには世界4,200万人の会員がおり、安定的な予約が期待できる。米国及び欧州に多くホテルを持つが、アジア・ミドルイーストエリアのホテル数も2019年現在約220棟と増加中であり、今後さらにブランド認知度の上昇が期待される。同社は、2008年に日本国内における唯一のエリア開発会社(ADO:Area Development Organization)となり、「ベストウェスタンホテル」の国内展開を行っている。
日本において同社が運営に関わる「ベストウェスタンホテル」※は2020年11月末時点で18棟となる。内訳としては、北海道・東北4棟、関東6棟、中部1棟、関西4棟、九州・沖縄3棟である。主な運営形態としては、1)物件所有者から賃貸をして運営する、2)運営業務のみを受託する、3)運営はフランチャイズ(FC)会社が行うが同社が主に開業時にコンサルティングを行う、の3パターンである。現在は1)の運営受託が主体であり、3)のFCが3棟ある。また、基本はビジネスホテルだが、沖縄の2棟はリゾートホテルである。部屋タイプは欧米系インバウンド宿泊者の好むダブルルーム、アジア系インバウンド宿泊者の好むツインルーム、トリプルルームを充実させ、インバウンド宿泊需要にも応えられるよう配慮している。Best Western(R) Hotels & Resortsの設備や運営の基準は厳格で、ベッドの大きさ、食堂のメニュー、セキュリティなど多岐にわたり、専門の査察人員が定期的に評価をする。同社は、この世界的なブランドを守り、拡大していく重要な役割を担っている。
※「ベストウェスタンホテル」「ベストウェスタンプラス」「シュアステイプラスホテル by ベストウェスタン」の3ブランドを含む。
なお、2021年3月期第2四半期には「ベストウェスタン」ブランドのホテル3棟がグランドオープンした。コロナ禍によりインバウンドの集客が望めない環境下ではあるものの、積極的な価格戦略と広告投資により、いずれのホテルもGOPベースで黒字化を達成し好調なスタートを切っている。
4. ホテル事業:バリュー・ザ・ホテル
「バリュー・ザ・ホテル」は、東日本大震災の復興支援を目的として同社が主体となり運営を開始したホテルであり、宮城県に4店舗、福島県に1店舗ある。中長期滞在者が快適に宿泊できるよう、1泊2食でリーズナブルな価格(6,000円前後)、シングル個室中心、コインランドリー施設の充実などが特長である。古川三本木店495室、東松島矢本店407室など収容人数が多く、復興従事者だけでなく、大型団体・学生やスポーツ団体、通常のビジネス客などにも柔軟に対応する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 沿革
価値開発<3010>は、1912年(大正元年)に創業し100年以上の歴史を持つ。当時の社名は上毛撚糸(じょうもうねんし)株式会社であり、群馬県で製糸業を営み業界大手の一角を占めていた。繊維不況を経て、1973年に不動産業に参入。その後不動産業がメインとなり、2006年に東京証券取引所の所属業種を「繊維」から「不動産」に変更、2008年には価値開発株式会社に社名を変更した。同年、フィーノホテルズを子会社化したことで「Best Western(R) Hotels & Resorts」のエリア開発会社となり、ホテル事業の足掛かりを築く。リーマンショックで不動産市況が悪化し、不動産事業主体からホテル事業にシフトした。2011年3月期にはホテル事業が不動産事業の売上高を逆転。2012年には東日本大震災復興支援プロジェクトの一環として「バリュー・ザ・ホテル」を開業。2015年には東京証券取引所の所属業種を「不動産業」から「サービス業」に変更した。2018年10月以降、独立系の投資運用グループであるスターアジアグループと資本業務提携を締結し、新たなマネジメント体制のもと、新たな成長ステージに入った。
親会社であるスターアジアグループは、2007年にマルコム・エフ・マクリーン4世氏及び増山太郎(ますやまたろう)氏によって設立された非上場、独立系の投資運用グループである。主として米国の大学基金、財団や年金基金等の長期運用を志向する投資家の資金を、主に日本をはじめとする不動産関連資産によって運用する。様々なアセットタイプの不動産への直接的な投資はもとより、債権及び株式への投資を通じた不動産への投資など、他の不動産投資家とは一線を画す多面的なアプローチにより機動的に投資を行う特徴がある。これまでの不動産等への投資実績は、累計で6,500億円を超える。同社の持つホテル運営のノウハウと、スターアジアグループが保有する不動産投資や不動産証券化等のノウハウを活用することで、国内での「ベストウェスタンホテル」及び独自の新ブランド「KOKO HOTELS」の拡大や、新たな不動産投資・開発の機会を発掘し、事業ポートフォリオの拡大を図る。なお、2021年6月の株主総会の決議をもって、ポラリス・ホールディングスへの社名変更を予定している。
2. 事業内容
同社の中核事業はホテル事業である。全国で展開する宿泊特化型ホテル「ベストウェスタンホテル」が18棟、東北に限定して展開する中長期滞在型ホテル「バリュー・ザ・ホテル」が5棟、「KOKO HOTELS」が5棟(2020年10月以降に展開開始)あり、これら3ブランドがメインである。なお、ホテル事業は全社売上高の96.1%を占める。また、不動産事業ではマンションを中心とした保有物件の賃貸・管理を行う。かつては大きな割合を占めたが、ホテル事業にシフトするなかでその割合は低下し、現在は売上高の3.9%となっている(いずれも構成比は2021年3月期第2四半期)。
3. ホテル事業:ベストウェスタンホテル
Best Western(R) Hotels & Resortsは世界最大級のワールドホテルチェーンとして全世界110の国と地域に4,200以上のホテルを展開しており、安心安全なハイパフォーマンスホテルとしてその名を知られている。ホテルのグローバルランキングで10位以内にランクインしており、欧米から日本を訪れる海外旅行客には圧倒的な知名度を誇る。ベストウェスタンチェーン専用の予約サイトBest Western.comには世界4,200万人の会員がおり、安定的な予約が期待できる。米国及び欧州に多くホテルを持つが、アジア・ミドルイーストエリアのホテル数も2019年現在約220棟と増加中であり、今後さらにブランド認知度の上昇が期待される。同社は、2008年に日本国内における唯一のエリア開発会社(ADO:Area Development Organization)となり、「ベストウェスタンホテル」の国内展開を行っている。
日本において同社が運営に関わる「ベストウェスタンホテル」※は2020年11月末時点で18棟となる。内訳としては、北海道・東北4棟、関東6棟、中部1棟、関西4棟、九州・沖縄3棟である。主な運営形態としては、1)物件所有者から賃貸をして運営する、2)運営業務のみを受託する、3)運営はフランチャイズ(FC)会社が行うが同社が主に開業時にコンサルティングを行う、の3パターンである。現在は1)の運営受託が主体であり、3)のFCが3棟ある。また、基本はビジネスホテルだが、沖縄の2棟はリゾートホテルである。部屋タイプは欧米系インバウンド宿泊者の好むダブルルーム、アジア系インバウンド宿泊者の好むツインルーム、トリプルルームを充実させ、インバウンド宿泊需要にも応えられるよう配慮している。Best Western(R) Hotels & Resortsの設備や運営の基準は厳格で、ベッドの大きさ、食堂のメニュー、セキュリティなど多岐にわたり、専門の査察人員が定期的に評価をする。同社は、この世界的なブランドを守り、拡大していく重要な役割を担っている。
※「ベストウェスタンホテル」「ベストウェスタンプラス」「シュアステイプラスホテル by ベストウェスタン」の3ブランドを含む。
なお、2021年3月期第2四半期には「ベストウェスタン」ブランドのホテル3棟がグランドオープンした。コロナ禍によりインバウンドの集客が望めない環境下ではあるものの、積極的な価格戦略と広告投資により、いずれのホテルもGOPベースで黒字化を達成し好調なスタートを切っている。
4. ホテル事業:バリュー・ザ・ホテル
「バリュー・ザ・ホテル」は、東日本大震災の復興支援を目的として同社が主体となり運営を開始したホテルであり、宮城県に4店舗、福島県に1店舗ある。中長期滞在者が快適に宿泊できるよう、1泊2食でリーズナブルな価格(6,000円前後)、シングル個室中心、コインランドリー施設の充実などが特長である。古川三本木店495室、東松島矢本店407室など収容人数が多く、復興従事者だけでなく、大型団体・学生やスポーツ団体、通常のビジネス客などにも柔軟に対応する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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