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リネットジャパン Research Memo(6):2020年9月期は国内事業が過去最高水準を更新(1)

注目トピックス 日本株
■決算動向

2. 2020年9月期決算の概要
リネットジャパングループ<3556>の2020年9月期の業績は、営業収益が前期比20.2%減の6,836百万円、営業利益が同50.2%減の214百万円、経常利益が同37.4%減の241百万円、親会社株主に帰属する当期純損失が1,602百万円とコロナ禍に伴う海外事業の落ち込みにより減収減益となった。期初予想に対しても、営業収益、各利益ともに下回ったが、修正予想(2020年8月14日付)に対しては国内事業の底上げにより、利益面では上回る着地となっている。

営業収益は、「リユース事業」がコロナ禍に伴う巣ごもり需要等により伸長し、過去最高を更新するとともに、「小型家電リサイクル事業」も大きく拡大した。ただ、期初予想を下回る減収となったのは、前期における期ずれ分のはく落※は想定内であるが、コロナ禍の影響により海外「車両販売事業」が第3四半期以降、大幅に減速したことが理由である。一方、海外事業のうち、「マイクロファイナンス事業」については堅調に推移している。

※前期(2019年9月期)の業績には、海外事業の期ずれ分(3ヶ月分)が含まれている。したがって、2020年9月期の減収分(約1,700百万円減)のうち約600百万円、経常利益の減益分(144百万円減)のうち約80百万円は期ずれ分によるものであり、その分は割り引いて考えるのが妥当である。


損益面でも、海外「車両販売事業」の落ち込みにより減益となったものの、国内事業及び「マイクロファイナンス事業」の収益貢献により、営業(及び経常)黒字を確保することができた。ただ、海外「車両販売事業」の営業資産(売掛金等)に対して、今後の業績の足かせとならぬように保守的な時価評価を実施し、約17.1億円の特別損失を計上したことから、大幅な最終損失を計上する結果となった。

財務面では、コロナ禍に伴う不確実性に備え、長期借入金等により手元現金を大幅に積み増したことや、「リユース事業」における「商品」(買取点数)の増加、「マイクロファイナンス事業」による「営業貸付金」の増加などにより、総資産は前期末比24.7%増の9,500百万円に拡大。一方、自己資本については、新株予約権の行使※により約5億円の資金調達を行った一方、大幅な最終損失の計上により同42.2%減の1,488百万円に縮小したことから、自己資本比率は15.7%(前期末は33.8%)に低下した。もっとも、流動性の確保や保守的な資産評価(引当金繰入や減損処理)を実施した結果であり、流動比率も224.3%を確保していることから、財務の安全性に懸念はない(詳細は後述)。

※2020年3月9日に第三者割当により新株予約権(26,000個)を発行。そのうち2020年9月末までに18,061個(1,806,100株)が行使された。なお、残りの7,939個については、手元現金が十分に確保された状態にあることから、2020年11月27日付で2021年3月2日までの行使停止を決定した。


事業別の決算概要は以下のとおりである。

(1) リユース事業
営業収益は前期比12.1%増の3,913百万円、セグメント経常利益は同53.1%増の551百万円と増収増益となり、過去最高業績を更新した。特に、コロナ禍に伴う「巣ごもり需要」が第3四半期から顕在化したことで業績が急拡大し、下期だけで見ると前年同期比約20%増の増収を実現している。また、損益面でも、大型の商品センターを抱える同社にとって限界利益率が高い事業となっていることから、増収に伴う利益の伸びはさらに大きく、セグメント利益率は14.1%(前期は10.3%)に改善している。

(2) 小型家電リサイクル事業
営業収益は前期比95.1%増の1,161百万円、セグメント経常利益は前期比約9.3倍の336百万円と大きく伸長した。これまで取り組んできた自治体や家電量販店との連携拡充、広告宣伝の強化等が奏功したことに加え、第3四半期からはコロナ禍に伴う「巣ごもり需要」がさらに成長を後押ししており、下期だけで見ると前年同期比約130%増の増収を実現している。また、プラットフォーム型ビジネスとして限界利益率の極めて高い事業であることから、セグメント利益率は28.9%(前期は6.1%)に大きく改善し、いよいよ収益の柱へと育ってきた。

(3) 海外事業
営業収益は前期比60.7%減の1,760百万円、セグメント経常損失は31百万円(前期は588百万円の利益)とコロナ禍の影響により大きく落ち込み、セグメント損失を計上した。前述のとおり、前期における期ずれ分のはく落は想定内であるが、コロナ禍に伴ってカンボジアの観光業(及び関連運輸業)が大きな打撃を受けたことにより、業績貢献度の大きかった「車両販売事業」が第3四半期より大幅に減速し、海外事業全体の落ち込みを招いた。また、立ち上げ段階にある「マイクロ保険事業」や「人材送出し事業」も事業の進捗に遅れが生じている。一方、「マイクロファイナンス事業」はコロナ禍においても順調に伸びており、コア事業に成長してきたところはプラスの材料と言える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)




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