ギグワークス Research Memo(6):2020年10月期は5期連続の増収増益を達成
[21/01/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2020年10月期の業績概要
ギグワークス<2375>の2020年10月期の連結業績は、売上高が前期比12.4%増の19,770百万円、営業利益が同27.8%増の1,002百万円、経常利益が同25.4%増の1,004百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同46.5%増の657百万円となった。5期連続の増収増益であり、売上高、各利益ともに過去最高を更新した。
オンデマンドエコノミー事業の売上高は前期比10.3%増の17,264百万円、セグメント利益は同22.0%増の1,923百万円と、いずれも2ケタ成長し、全社の業績をけん引した。2020年10月期は累計7,809名(前期比26.5%増)のギグワーカーが仕事に従事し、累積の仕事斡旋数は6,846千件(前期末比238千件増)となった。全体として好調だったが、コロナ禍を背景にサービス種類によっては明暗が分かれた。政府が推進する働き方改革や感染症の拡大に伴うテレワークへの取り組みを背景に、ヘルプデスクやサービスデスク関連のニーズが急速に高まり、複数の新規大型案件を受注した。またテレワークや消費者の巣ごもり需要の増大を受けて、通販・テクニカルサポート・IoT関連のサポートセンター等の受注も順調に拡大した。東京都・大阪府・福岡県を中心に6拠点のコンタクトセンターを自営する体制が整えられたことも、この分野の成長に貢献した。フードデリバリー業界(シェアリング)支援業務や通信基地局関連業務(3.5G、5G)も堅調に推移した。自社開発商品のCRMシステム「デコールCC.CRM3」の販売も堅調だった。一方で、コロナ禍により縮小や延期、中止される業務もあり、東京オリンピック・パラリンピック関連の受託業務は延期されたほか、フィールドサポート系やマーケティング系で訪問が制約される業務もあった。また、ITエンジニアによるプロフェッショナルサービスにおいては、コロナ禍での顧客企業の投資抑制を背景に一部の受託開発案件において受注が減少し、非稼働のエンジニアが発生した。
シェアリングエコノミー事業の売上高は前期比27.0%増の2,557百万円、セグメント利益については同58.8%増の69百万円となり、大幅な増収増益となった。シェアオフィスの数は、前期末から1拠点増えて全国59拠点となった。利用企業数は4,879社(前期末は4,322社)に増え、ドロップイン会員についても1,000社を超え、既存オフィスの稼働率は89%と高い水準を維持した。働き方改革やコロナ禍での急速なリモートワークの導入を背景にオフィスの分散化や削減、通勤時間の短縮などに取り組む企業が増え、サテライトオフィスの需要が拡大したことがドライバーとなった。
営業利益が前期比27.8%増と好調に推移し、営業利益率で同0.6ポイント増(4.5%→5.1%)と上昇したのは、コロナの影響下で投資を抑制したことや収益性を確保しやすい大型案件の受注が主な要因である。
成長戦略投資に備え財務基盤を強化。資産規模100億円超、現金及び預金40億円超。経営効率が向上し、ROEが過去4年間で10.5ポイント上昇
2. 財務状況と経営指標
2020年10月期末の総資産は2,573百万円増(前期末比)の10,370百万円となり、大幅に資産規模が拡大した。このうち流動資産は2,159百万円増の7,695百万円であり、現金及び預金の1,278百万円増と受取手形及び売掛金の946百万円増が主な要因である。固定資産は413百万円増の2,675百万円であり、建物の215百万円増などが主な要因である。現金及び預金の残高は4,062百万円と潤沢である。
負債合計は1,945百万円増(前期末比)の6,444百万円となった。そのうち流動負債は1,365百万円増の4,674百万円であり、買掛金の577百万円増が主な要因である。固定負債は579百万円増の1,770百万円であり、主な要因は長期借入金が555百万円増加したためである。有利子負債は合計で1,867百万円であり、現金及び預金の残高(4,062百万円)と比較しても余裕があることがわかる。
純資産合計は627百万円増加の3,926百万円となった。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加である。
経営指標(2020年10月期末)では、流動比率が161.9%(前期末は167.3%)、自己資本比率が37.0%(前期末41.3%)であり、財務の安全性を維持しつつ、手元資金を充実させた。
同社の経営効率は、過去4年間に顕著に向上してきた。2016年10月期に8.1%だったROE(自己資本当期純利益率)は、年々上昇し、2020年10月期には18.6%に達し、過去4年間で10.5ポイント上昇した。M&Aも駆使しながら、付加価値の高い事業領域にシフトしてきたことや低粗利案件の適正化に地道に取り組んできた成果が現れた形だ。今後も、スケール効果による販管費抑制やプラットフォームの価値向上などが見込まれ、今後もROEは向上することが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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1. 2020年10月期の業績概要
ギグワークス<2375>の2020年10月期の連結業績は、売上高が前期比12.4%増の19,770百万円、営業利益が同27.8%増の1,002百万円、経常利益が同25.4%増の1,004百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同46.5%増の657百万円となった。5期連続の増収増益であり、売上高、各利益ともに過去最高を更新した。
オンデマンドエコノミー事業の売上高は前期比10.3%増の17,264百万円、セグメント利益は同22.0%増の1,923百万円と、いずれも2ケタ成長し、全社の業績をけん引した。2020年10月期は累計7,809名(前期比26.5%増)のギグワーカーが仕事に従事し、累積の仕事斡旋数は6,846千件(前期末比238千件増)となった。全体として好調だったが、コロナ禍を背景にサービス種類によっては明暗が分かれた。政府が推進する働き方改革や感染症の拡大に伴うテレワークへの取り組みを背景に、ヘルプデスクやサービスデスク関連のニーズが急速に高まり、複数の新規大型案件を受注した。またテレワークや消費者の巣ごもり需要の増大を受けて、通販・テクニカルサポート・IoT関連のサポートセンター等の受注も順調に拡大した。東京都・大阪府・福岡県を中心に6拠点のコンタクトセンターを自営する体制が整えられたことも、この分野の成長に貢献した。フードデリバリー業界(シェアリング)支援業務や通信基地局関連業務(3.5G、5G)も堅調に推移した。自社開発商品のCRMシステム「デコールCC.CRM3」の販売も堅調だった。一方で、コロナ禍により縮小や延期、中止される業務もあり、東京オリンピック・パラリンピック関連の受託業務は延期されたほか、フィールドサポート系やマーケティング系で訪問が制約される業務もあった。また、ITエンジニアによるプロフェッショナルサービスにおいては、コロナ禍での顧客企業の投資抑制を背景に一部の受託開発案件において受注が減少し、非稼働のエンジニアが発生した。
シェアリングエコノミー事業の売上高は前期比27.0%増の2,557百万円、セグメント利益については同58.8%増の69百万円となり、大幅な増収増益となった。シェアオフィスの数は、前期末から1拠点増えて全国59拠点となった。利用企業数は4,879社(前期末は4,322社)に増え、ドロップイン会員についても1,000社を超え、既存オフィスの稼働率は89%と高い水準を維持した。働き方改革やコロナ禍での急速なリモートワークの導入を背景にオフィスの分散化や削減、通勤時間の短縮などに取り組む企業が増え、サテライトオフィスの需要が拡大したことがドライバーとなった。
営業利益が前期比27.8%増と好調に推移し、営業利益率で同0.6ポイント増(4.5%→5.1%)と上昇したのは、コロナの影響下で投資を抑制したことや収益性を確保しやすい大型案件の受注が主な要因である。
成長戦略投資に備え財務基盤を強化。資産規模100億円超、現金及び預金40億円超。経営効率が向上し、ROEが過去4年間で10.5ポイント上昇
2. 財務状況と経営指標
2020年10月期末の総資産は2,573百万円増(前期末比)の10,370百万円となり、大幅に資産規模が拡大した。このうち流動資産は2,159百万円増の7,695百万円であり、現金及び預金の1,278百万円増と受取手形及び売掛金の946百万円増が主な要因である。固定資産は413百万円増の2,675百万円であり、建物の215百万円増などが主な要因である。現金及び預金の残高は4,062百万円と潤沢である。
負債合計は1,945百万円増(前期末比)の6,444百万円となった。そのうち流動負債は1,365百万円増の4,674百万円であり、買掛金の577百万円増が主な要因である。固定負債は579百万円増の1,770百万円であり、主な要因は長期借入金が555百万円増加したためである。有利子負債は合計で1,867百万円であり、現金及び預金の残高(4,062百万円)と比較しても余裕があることがわかる。
純資産合計は627百万円増加の3,926百万円となった。主な要因は親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加である。
経営指標(2020年10月期末)では、流動比率が161.9%(前期末は167.3%)、自己資本比率が37.0%(前期末41.3%)であり、財務の安全性を維持しつつ、手元資金を充実させた。
同社の経営効率は、過去4年間に顕著に向上してきた。2016年10月期に8.1%だったROE(自己資本当期純利益率)は、年々上昇し、2020年10月期には18.6%に達し、過去4年間で10.5ポイント上昇した。M&Aも駆使しながら、付加価値の高い事業領域にシフトしてきたことや低粗利案件の適正化に地道に取り組んできた成果が現れた形だ。今後も、スケール効果による販管費抑制やプラットフォームの価値向上などが見込まれ、今後もROEは向上することが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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