ジェイ・エス・ビー Research Memo(1):学生マンションの先駆者として、今後も新しい企業価値の創造を目指す
[21/01/29]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 学生マンションのトップ企業
ジェイ・エス・ビー<3480>は、Japan Students Bureau(日本学生公社)の頭文字であり、主に学生マンションの企画・賃貸・管理を行い、学生マンション管理戸数72,000戸超の業界トップ企業である。年々管理戸数は増加しながら、ほぼ満室の高い入居率を維持し、不動産賃貸管理事業が売上高の9割強を占めている。また、長年、学生マンション事業に従事した経験とノウハウを生かして高齢者住宅事業にも参入し、関西地区を中心にドミナント戦略を推進している。「豊かな生活空間の創造」という経営理念のもと、同社は成長を続け、2017年7月には東証2部への上場を、また2018年7月には東証1部への指定を果たした。新中期経営計画を発表し、2030年長期ビジョンの達成に向けて更なる成長を目指している。
2. 2020年10月期は、期初予想を大きく上回る大幅な増収増益決算
2020年10月期の国内経済は、2019年10月の消費増税に加え、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により消費は低迷したものの、経済活動再開に伴い持ち直し基調に転じた。こうしたなか、主力事業の不動産賃貸管理事業は、物件管理戸数の増加や高水準の入居率維持により増収増益を継続した。また、高齢者住宅事業では、新規物件の稼働も好調であり、大幅な増収増益となった。この結果、人員体制強化、積極的な広告展開、自社所有物件増加による減価償却費増等の費用増加を吸収して、売上高48,058百万円(前期比12.6%増)、経常利益4,248百万円(同27.0%増)の大幅な増収増益を達成した。各段階の利益は、期初の業績予想を15%以上も上回る好決算であった。また、自己資本比率は42.7%と東証1部不動産業平均の30.7%を大きく上回り、高い財務の安全性を確保している。普通配当29円への増配に加えて、会社設立30周年記念配当5円を実施し、配当金と自己株式取得を合算した総還元性向は同社が目標とする20%を上回り、株主還元にも前向きである。
3. 2021年10月期は、コロナ禍の影響を織り込み、増収減益を予想
2021年10月期は、不動産賃貸管理事業での物件管理戸数の増加を見込むものの、一方でコロナ禍による一定のマイナス影響を織り込みながら、アフターコロナを見据えた変革に注力して成長投資を加速する計画である。そのため、2021年10月期は更なる成長に向けた準備期間と位置付けている。不動産賃貸管理事業では、物件管理戸数の増加や非対面営業へのシフトによって増収増益を見込むが、高齢者住宅事業では、1拠点増加に伴う開業準備費負担を想定し増収減益を予想する。以上から、連結売上高52,107百万円(前期比8.2%増)、経常利益4,123百万円(同3.0%減)と、増収減益を予想している。ただ、例年、同社の期初予想は極めて保守的であり、期末には予想を上回って着地している。また、配当については普通配当30円を予想するが、2021年10月期も自己株式取得を予定しており、総還元性向20%超を確保する見通しである。
4. 新中期経営計画では、DX化の推進により過去最高益更新を目指す
前中期経営計画(2018年10月期〜2020年10月期)は、売上高・利益の目標を大きく超過して達成した。新たに発表した2030年長期ビジョン「Grow Together 2030」実現の第1ステージとして、新中期経営計画「GT01」(2021年10月期〜2023年10月期)を設定した。不動産賃貸管理事業ではアフターコロナを見据えたウィズコロナ対応やDX化(プロセス全体をデジタル化することで新たな価値を創造すること)の推進などを、高齢者住宅事業では公民館化(オンライン含む)の推進などを、新規事業では新たな若者成長支援サービス開始などを計画する。こうした取り組みにより、2023年10月期には、過去最高となる売上高619億円、経常利益58億円を目指し、ROE15%以上、自己資本比率40%以上、管理戸数85,000戸、自社物件への投資200億円などを目標とする。2020年10月期比では、売上高は29%増、経常利益も37%増を目指す意欲的な計数目標であるが、環境変化を見据えた新たな成長戦略を着実に実施することで、目標達成にまい進する。
■Key Points
・学生マンションのトップ企業で、全国展開により年々管理戸数は増加しながら、過去5年間、100%近い高入居率を維持。また、高齢者住宅事業にも注力し、関西を中心にドミナント戦略を展開
・2020年10月期決算は、不動産賃貸管理事業と高齢者住宅事業がともに好調で、期初予想を大きく上回る大幅な増収増益を達成。高い自己資本比率を維持し、普通配当増配と記念配当実施に加えて自己株式取得を行うなど、株主還元に前向き
・2021年10月期は、コロナ禍のマイナス影響を織り込む一方、アフターコロナを見据えた成長投資を実施することで、増収減益を予想。ただ、例年、期初予想は極めて保守的。普通配当の増配、自己株式の取得により、総還元性向20%超を確保
・新中期経営計画では、長期ビジョンの第1ステージとして、2023年10月期には過去最高となる売上高619億円、経常利益58億円を目指す。環境変化を見据えた成長戦略の着実な実現により、意欲的な目標達成にまい進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<EY>
1. 学生マンションのトップ企業
ジェイ・エス・ビー<3480>は、Japan Students Bureau(日本学生公社)の頭文字であり、主に学生マンションの企画・賃貸・管理を行い、学生マンション管理戸数72,000戸超の業界トップ企業である。年々管理戸数は増加しながら、ほぼ満室の高い入居率を維持し、不動産賃貸管理事業が売上高の9割強を占めている。また、長年、学生マンション事業に従事した経験とノウハウを生かして高齢者住宅事業にも参入し、関西地区を中心にドミナント戦略を推進している。「豊かな生活空間の創造」という経営理念のもと、同社は成長を続け、2017年7月には東証2部への上場を、また2018年7月には東証1部への指定を果たした。新中期経営計画を発表し、2030年長期ビジョンの達成に向けて更なる成長を目指している。
2. 2020年10月期は、期初予想を大きく上回る大幅な増収増益決算
2020年10月期の国内経済は、2019年10月の消費増税に加え、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により消費は低迷したものの、経済活動再開に伴い持ち直し基調に転じた。こうしたなか、主力事業の不動産賃貸管理事業は、物件管理戸数の増加や高水準の入居率維持により増収増益を継続した。また、高齢者住宅事業では、新規物件の稼働も好調であり、大幅な増収増益となった。この結果、人員体制強化、積極的な広告展開、自社所有物件増加による減価償却費増等の費用増加を吸収して、売上高48,058百万円(前期比12.6%増)、経常利益4,248百万円(同27.0%増)の大幅な増収増益を達成した。各段階の利益は、期初の業績予想を15%以上も上回る好決算であった。また、自己資本比率は42.7%と東証1部不動産業平均の30.7%を大きく上回り、高い財務の安全性を確保している。普通配当29円への増配に加えて、会社設立30周年記念配当5円を実施し、配当金と自己株式取得を合算した総還元性向は同社が目標とする20%を上回り、株主還元にも前向きである。
3. 2021年10月期は、コロナ禍の影響を織り込み、増収減益を予想
2021年10月期は、不動産賃貸管理事業での物件管理戸数の増加を見込むものの、一方でコロナ禍による一定のマイナス影響を織り込みながら、アフターコロナを見据えた変革に注力して成長投資を加速する計画である。そのため、2021年10月期は更なる成長に向けた準備期間と位置付けている。不動産賃貸管理事業では、物件管理戸数の増加や非対面営業へのシフトによって増収増益を見込むが、高齢者住宅事業では、1拠点増加に伴う開業準備費負担を想定し増収減益を予想する。以上から、連結売上高52,107百万円(前期比8.2%増)、経常利益4,123百万円(同3.0%減)と、増収減益を予想している。ただ、例年、同社の期初予想は極めて保守的であり、期末には予想を上回って着地している。また、配当については普通配当30円を予想するが、2021年10月期も自己株式取得を予定しており、総還元性向20%超を確保する見通しである。
4. 新中期経営計画では、DX化の推進により過去最高益更新を目指す
前中期経営計画(2018年10月期〜2020年10月期)は、売上高・利益の目標を大きく超過して達成した。新たに発表した2030年長期ビジョン「Grow Together 2030」実現の第1ステージとして、新中期経営計画「GT01」(2021年10月期〜2023年10月期)を設定した。不動産賃貸管理事業ではアフターコロナを見据えたウィズコロナ対応やDX化(プロセス全体をデジタル化することで新たな価値を創造すること)の推進などを、高齢者住宅事業では公民館化(オンライン含む)の推進などを、新規事業では新たな若者成長支援サービス開始などを計画する。こうした取り組みにより、2023年10月期には、過去最高となる売上高619億円、経常利益58億円を目指し、ROE15%以上、自己資本比率40%以上、管理戸数85,000戸、自社物件への投資200億円などを目標とする。2020年10月期比では、売上高は29%増、経常利益も37%増を目指す意欲的な計数目標であるが、環境変化を見据えた新たな成長戦略を着実に実施することで、目標達成にまい進する。
■Key Points
・学生マンションのトップ企業で、全国展開により年々管理戸数は増加しながら、過去5年間、100%近い高入居率を維持。また、高齢者住宅事業にも注力し、関西を中心にドミナント戦略を展開
・2020年10月期決算は、不動産賃貸管理事業と高齢者住宅事業がともに好調で、期初予想を大きく上回る大幅な増収増益を達成。高い自己資本比率を維持し、普通配当増配と記念配当実施に加えて自己株式取得を行うなど、株主還元に前向き
・2021年10月期は、コロナ禍のマイナス影響を織り込む一方、アフターコロナを見据えた成長投資を実施することで、増収減益を予想。ただ、例年、期初予想は極めて保守的。普通配当の増配、自己株式の取得により、総還元性向20%超を確保
・新中期経営計画では、長期ビジョンの第1ステージとして、2023年10月期には過去最高となる売上高619億円、経常利益58億円を目指す。環境変化を見据えた成長戦略の着実な実現により、意欲的な目標達成にまい進
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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