ハウスコム Research Memo(2):需要盛り返しや費用削減奏功により、四半期別で業績回復進む
[21/02/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
ハウスコム<3275>は首都圏と東海圏を地盤に不動産仲介・住まい関連サービスを提供する業界有数の成長企業である。1998年に大東建託<1878>の100%出資子会社として設立され、2003年に(株)ジューシィ情報センターから首都圏・東海圏の62店舗の営業権を取得し、店舗網の基盤とした。直営店の新規出店とともに、周辺業務(損害保険代理店・リフォーム工事取次・引越取次・広告代理店など)を取り込み、順調に業績を伸ばしてきた。出店は関東と東海を中心とした都市部に集中しており、近年では群馬、栃木、茨城といった北関東や、四国、九州、沖縄といった地方都市への出店も進んでいる。
2011年6月に大阪証券取引所JASDAQ市場(現 東京証券取引所JASDAQ市場)に上場し、2019年6月には東証2部に市場変更、8月には東証1部に指定替えされた。2020年3月期からはM&Aを通じて連結経営をスタートさせた。コロナ禍の厳しい事業環境でもM&Aなどの投資に積極的で、関西圏での店舗網も大幅に増える見通し(後に詳述)であり、事業規模・商圏が拡大中だ。大東建託グループに属するが、親会社物件の取引比率は約18%であり、実態は独立色が強い。
2021年3月期第3四半期累計(2020年4月-12月)の連結営業収益は8,328百万円(前年同期比7.5%減)、営業損益が356百万円の損失(前年同期は192百万円の利益)、経常損益が336百万円の損失(同196百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益が331百万円の損失(同109百万円の利益)となった。
四半期別で見ると、第1四半期(2020年4月-6月)は連結営業収益が前年同期比11.4%減の2,639百万円、営業損益が261百万円の損失(前年同期が64百万円の利益)、経常損益が246百万円の損失(同66百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益が217百万円の損失(同37百万円の利益)と、減収及び損失となった。コロナ禍によって転居の需要が抑制・先送りされたことが響いた。
第2四半期(2020年7月-9月)は連結営業収益が前年同期比1.5%増の3,033百万円、営業利益が同87.8%増の130百万円、経常利益が同91.2%増の135百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同65.7%増の67百万円と、第1四半期比、前年同期比でともに増収増益となった。需要の低迷が5月に底を打ったことで以降は需要の盛り返しが進んだほか、広告宣伝費などの見直しや会議・研修のオンライン化など、費用削減施策が奏功したことで損益面も改善した。
第3四半期(2020年10月-12月)は、東京圏・中京圏を中心に転居需要が縮小したことから、連結営業収益が前年同期比12.6%減の2,655百万円、営業損益が225百万円の損失(前年同期は58百万円の利益)、経常損益が226百万円の損失(同59百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益が180百万円の損失(同31百万円の利益)となった。
第4四半期(2021年1月-3月)については、コロナ禍とそれに伴う緊急事態宣言の再発出を背景に、事業環境の不透明感は継続している。しかし、後に詳述するように同社は足元で投資を優先する方針に転換しており、第4四半期についても同社の事業基盤拡大や社内における効率化施策の動向に注目すべきと弊社は考える。
同社は第3四半期累計決算と併せて、2021年3月期通期の連結業績予想の修正を発表した。営業収益予想を従来の13,291百万円から12,234百万円(前期比6.0%減)に、営業利益予想を1,161百万円から344百万円(同66.2%減)に、経常利益予想を1,339百万円から527百万円(同55.5%減)に、親会社株主に帰属する当期純利益予想を906百万円から302百万円(同55.1%減)に、そろって引き下げた。第3四半期において東京圏・中京圏を中心に転居需要の縮小がみられたほか、緊急事態宣言の再発令に伴って引っ越しシーズンである1月から3月の転居需要も縮小が見込まれ、それらの影響を反映させた。ただ、事業環境のさらなる悪化を受けても営業収益予想の下方修正幅が8.0%にとどまったほか、各利益が黒字を堅持する見通しで、業績の底堅さも見受けられた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
<NB>
ハウスコム<3275>は首都圏と東海圏を地盤に不動産仲介・住まい関連サービスを提供する業界有数の成長企業である。1998年に大東建託<1878>の100%出資子会社として設立され、2003年に(株)ジューシィ情報センターから首都圏・東海圏の62店舗の営業権を取得し、店舗網の基盤とした。直営店の新規出店とともに、周辺業務(損害保険代理店・リフォーム工事取次・引越取次・広告代理店など)を取り込み、順調に業績を伸ばしてきた。出店は関東と東海を中心とした都市部に集中しており、近年では群馬、栃木、茨城といった北関東や、四国、九州、沖縄といった地方都市への出店も進んでいる。
2011年6月に大阪証券取引所JASDAQ市場(現 東京証券取引所JASDAQ市場)に上場し、2019年6月には東証2部に市場変更、8月には東証1部に指定替えされた。2020年3月期からはM&Aを通じて連結経営をスタートさせた。コロナ禍の厳しい事業環境でもM&Aなどの投資に積極的で、関西圏での店舗網も大幅に増える見通し(後に詳述)であり、事業規模・商圏が拡大中だ。大東建託グループに属するが、親会社物件の取引比率は約18%であり、実態は独立色が強い。
2021年3月期第3四半期累計(2020年4月-12月)の連結営業収益は8,328百万円(前年同期比7.5%減)、営業損益が356百万円の損失(前年同期は192百万円の利益)、経常損益が336百万円の損失(同196百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益が331百万円の損失(同109百万円の利益)となった。
四半期別で見ると、第1四半期(2020年4月-6月)は連結営業収益が前年同期比11.4%減の2,639百万円、営業損益が261百万円の損失(前年同期が64百万円の利益)、経常損益が246百万円の損失(同66百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益が217百万円の損失(同37百万円の利益)と、減収及び損失となった。コロナ禍によって転居の需要が抑制・先送りされたことが響いた。
第2四半期(2020年7月-9月)は連結営業収益が前年同期比1.5%増の3,033百万円、営業利益が同87.8%増の130百万円、経常利益が同91.2%増の135百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同65.7%増の67百万円と、第1四半期比、前年同期比でともに増収増益となった。需要の低迷が5月に底を打ったことで以降は需要の盛り返しが進んだほか、広告宣伝費などの見直しや会議・研修のオンライン化など、費用削減施策が奏功したことで損益面も改善した。
第3四半期(2020年10月-12月)は、東京圏・中京圏を中心に転居需要が縮小したことから、連結営業収益が前年同期比12.6%減の2,655百万円、営業損益が225百万円の損失(前年同期は58百万円の利益)、経常損益が226百万円の損失(同59百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純損益が180百万円の損失(同31百万円の利益)となった。
第4四半期(2021年1月-3月)については、コロナ禍とそれに伴う緊急事態宣言の再発出を背景に、事業環境の不透明感は継続している。しかし、後に詳述するように同社は足元で投資を優先する方針に転換しており、第4四半期についても同社の事業基盤拡大や社内における効率化施策の動向に注目すべきと弊社は考える。
同社は第3四半期累計決算と併せて、2021年3月期通期の連結業績予想の修正を発表した。営業収益予想を従来の13,291百万円から12,234百万円(前期比6.0%減)に、営業利益予想を1,161百万円から344百万円(同66.2%減)に、経常利益予想を1,339百万円から527百万円(同55.5%減)に、親会社株主に帰属する当期純利益予想を906百万円から302百万円(同55.1%減)に、そろって引き下げた。第3四半期において東京圏・中京圏を中心に転居需要の縮小がみられたほか、緊急事態宣言の再発令に伴って引っ越しシーズンである1月から3月の転居需要も縮小が見込まれ、それらの影響を反映させた。ただ、事業環境のさらなる悪化を受けても営業収益予想の下方修正幅が8.0%にとどまったほか、各利益が黒字を堅持する見通しで、業績の底堅さも見受けられた。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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