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ハウスコム Research Memo(3):宅都買収により計画を大幅な前倒しで達成、大きなシナジーにも期待

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

目先では宅都の子会社化による効果に弊社は着目する。ハウスコム<3275>は2020年12月23日、不動産関連事業を手掛ける宅都ホールディングスと業務提携を締結し、宅都ホールディングス傘下の宅都を子会社化すると発表した。宅都ホールディングスは、不動産賃貸仲介事業、不動産賃貸事業、ホテル事業を手掛ける宅都や、3万戸以上の管理物件を受託する不動産管理会社などを保有しており、そのほか不動産テック事業、不動産開発事業などの取り組みも強化している。

同社は、会社分割を通じて不動産賃貸仲介事業のみとなった宅都の全株式を取得する。株式譲渡実行日は3月1日を予定している。宅都は大阪市内中心部・北摂エリアを中心に関西圏で不動産賃貸仲介店舗を23店舗、東京駅・新大阪駅の間近で法人営業拠点2ヶ所を構える。年間仲介件数は1万件超に上り、全国賃貸住宅新聞が公表した2019年10月から2020年9月末までの全国における賃貸仲介件数ランキングでは25位にランクインしている※。

※週刊 全国賃貸住宅新聞 2021年1月4日号 No.1443より引用。


同社は関西圏で6店舗(大阪府4店舗、京都府2店舗)を運営しているが、宅都買収によって不動産仲介店舗23店を取得し、関西圏の事業基盤を一気に拡大させる。これにより、同社直営店は全国で212店舗となる見通しで、2019年4月公表の中期経営計画における店舗数の2022年3月末の計画値である208店舗を大幅な前倒しで達成することとなる。

加えて、関西圏でまとめて店舗を増やせることにも大きな意味がある。不動産賃貸仲介事業では、対象地域で潜在顧客を着実に売上につなげるためには、同地域における幅広いカバレッジや知名度が重要である。宅都が保有する23店舗は単身者層に強い地下鉄御堂筋線上、ファミリー層に強い北部北摂地域に多く立地している。また、前述したように強いブランド・高い知名度がある。高い競争力を持つ宅都を傘下に加えることで、同社は関西圏で強力な営業基盤を築くことができる。

M&Aで重要となるシナジーも想定している。関西圏における店舗数が6店舗から29店舗まで増えることで、店舗間の交流・異動を通じて人材・組織の成長が活性化される。従来提供していた幅広い付帯サービスを相互にセールスするクロスセルも可能となる。PMIにおいては、バックオフィス面で効率化・統一化できるところはメスを入れ、顧客向けの営業面では各店舗の強みを残すというメリハリの効いた取り組みを計画している。以上の点から、宅都の買収は単なる足し算にとどまらず、シナジーによってグループ全体でも収益性を高める効果があると弊社は予想する。

加えて、同社は宅都ホールディングスとの業務提携は、「事業領域・地域の垣根を越えた連携と不動産テックの活用を通じて事業成長を早める」との想定のもと、不動産テックを含む両社の協力関係を維持・発展させることを目的としている。具体的には、「不動産賃貸仲介・管理物件における相互送客」「不動産テックにおける新分野の拡大」「戦略的企業買収」などの施策を挙げている。これにより、同社の大きな成長ドライバーの1つである「不動産テック(後に詳述)」が大きく進展するだろう。

宅都買収を背景に、同社内で当初計画を大きく上回るスピードで事業拡大が進んでいることが推察される。中期経営計画の上方修正などは公表されていないものの、店舗数拡大やシナジー、不動産テックの進展を受け、今後も業績は堅実に拡大すると弊社は考える。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)




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