システム ディ Research Memo(9):年率10%の利益成長を継続し、営業利益10億円の早期達成を目標に掲げる
[21/02/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
3. 中期目標
2018年10月期からスタートした中期3ヶ年経営計画で、経営数値目標として掲げた営業利益6億円は超過して達成することができた。今回、システム ディ<3804>は新たな目標として年率10%程度の成長により、営業利益10億円の早期達成を目標として打ち出した。期間を明示しなかったのはコロナ禍の影響が続いており、国内景気の先行きに対して不確実性が残っているためだ。ただ、こうしたなかでも着実に利益成長を続けていく方針に変わりない。
事業戦略としては、次世代パッケージソフトのリリース・拡販による顧客拡大とストック収益の積み上げに注力していく。海外展開については営業利益10億円を達成後に検討していく方針としている。また、KPIとしては売上高営業利益率20%(2020年10月期は18.9%)、ストック収益の売上構成比50%(同47.5%)、自己資本比率60%以上(同65.2%)、累計顧客数1万件(同7,955件)、入社3年後の社員定着率90%超の維持(同90%超)を掲げている。売上高営業利益率やストック収益比率、累計顧客件数については、今後3年間での達成が可能であると弊社では見ている。
(1) 新パッケージソフトは「スマート・ソリューション」として順次提供を開始
同社はシェア拡大施策としてパッケージソフトの性能・品質向上による高効率ビジネスを進めてきたが、主力製品がほぼ完成域まで達してきたことから次の10年を支える次世代製品の開発を各事業部門で進めており、順次市場に投入していくことで更なるシェアの拡大と売上成長を目指している。開発の方向性としては、「スマート・ソリューション」の提供を共通軸として進めている。
その第1弾となる次世代学園総合情報システム「CampusPlan Smart」は、総務・人事給与システムの提供を2019年11月に開始している。顧客から高い評価を得ており、新規顧客の獲得にもつながっている。前述した通り、2023年までに既存製品の「キャンパスプラン for .NETFramework」の機能を順次カバーしながら、既存顧客におけるリプレイスと新規顧客の獲得につなげていく。また、第2弾としてウェルネスソリューション事業において次世代クラウド型会員管理システム「Smart Hello」を2020年11月にリリースしたほか、公教育ソリューション事業では「Home Services」を2021年4月にリリースする予定となっている。そのほか、公会計ソリューション事業では「スマートPPP/創生(仮称)」、ソフトエンジニアリング事業では「スマート文書管理システム(仮称)」をそれぞれ開発している。同社がこれまで各領域において蓄積してきたノウハウに加え、最新技術も取り込みながら操作性や機能性に優れた製品をリーズナブルな価格で提供することで新規顧客の開拓を進め、累計顧客数1万件の早期達成を目指していく方針だ。
(2) 全てのソリューションでクラウドサービスを促進・拡張
同社は薬局ソリューションを除くすべてのソリューションでクラウドサービスを展開しており※、今後もクラウドサービスでの展開を強化していく方針となっている。ここ数年でクラウドサービスを安心・快適・低価格で利用できる環境が整ってきたことで、一般企業や金融機関だけでなくIT化が遅れていた公立学校や自治体など公共分野での普及拡大も今後期待されるためだ。同社にとってもクラウドサービスに注力することで売上計上時期が平準化されるため、従来のように収益が第2四半期、第4四半期に偏重するといった季節要因が薄まり、経営面での安定化と収益性向上に寄与する取り組みとして注目される。
※学園ソリューションでは「キャンパスプラン for Azure」「CampusPlan Smart」、ウェルネスソリューションでは会員・運営管理システム「Hello ASP」「Smart Hello」、アンチエイジングサービス「Weldy Cloud」、公教育ソリューションでは「School Engine」、公会計ソリューションでは「PPPクラウド(Azure)」、ソフトエンジニアリングでは「規定管理システムクラウド・サービス」等を提供している。
また、クラウドサービスの拡販だけでなくサポート・メンテナンス収入の積み上げにも注力していく。前述のように、同社のパッケージソフトは完全なレディメイドではなくイージーオーダーであり、顧客の要望や実情に合わせて熟成させていくというのが基本的な開発戦略となっている。パッケージソフト導入ユーザーはサポート・保守契約を結ぶことでカスタマイズ費用が基本的に無料となるため、システム導入と同時にサポート契約を締結する割合が高くなっていると弊社では見ている。同社側から見れば、製品の機能を拡充し熟成していくことで個々の顧客からのカスタマイズ要請が減少し、結果として利益率の上昇要因となる。
クラウドサービスとサポート・保守契約を合わせたストック収益の売上比率は、2017年10月期の26.5%から2020年10月期は47.5%と大きく上昇した。同社は今後、ストック収益比率を50%に引き上げていくことを目指しているが、クラウドサービスで展開する公教育ソリューション事業で年率2ケタ成長が続く見通しであること、その他ソリューションでもクラウドサービスを強化していくことなどから、50%は十分達成可能な水準であると弊社では見ている。
(3) 新たな地域創生ソリューションの展開
同社は公共向けソリューションとして、公教育、公会計分野が大きな柱として育っているが、そのほかにも学園ソリューション事業で「キャンパスプラン」が国公立大学向けに導入されているほか、ウェルネスソリューション事業における「Hello EX」「Hello Fun」「Weldy Cloud」や、ソフトエンジニアリング事業の「規程管理システム」「契約書作成・管理システム」などの製品・サービスについても公共分野での導入が進んでいる。同社は、これらの販売をさらに拡大し顧客の裾野を広げていくだけでなく、これらの顧客基盤を生かした新たな地域創生ソリューションの開発にも取り組み、新規事業として育成していく意向を明らかにしている。
今後の候補領域としては、地域活性化や自治体の再生、健康増進・福祉の充実、文化・教養の創生、地場産業育成支援、スマートシティ化などがあり、これらの候補の中から新サービスの開発を進めていくものと予想される。特に、自治体では地域社会の活性化を目的としたIT活用サービスへの関心が高まっており、既に800超の自治体を顧客に持つ同社にとってビジネスチャンスは大きいと言える。
(4) 業務効率化の結果としての働き方改革の継続
働き方改革も継続して取り組んでいく。コロナ禍の影響によりテレワークの普及が一気に進んだが、同社においてもテレワークの環境を整備し、今後コロナ禍の影響が長期化しても対応できる体制は構築済みとなっている。なお、社員の入社後3年間の定着率は90%超と、IT業界のなかでは圧倒的に高い実績となっている。定着率が高いことから人材育成に係るコストや採用コストも相対的に抑えられることになり、収益力の高さにつながる。
連結従業員数(役員含む)は2020年10月末時点で241名となっており、新卒社員については2021年春に18人が決定している。今後も年間15〜20名で採用を進めていく予定にしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
3. 中期目標
2018年10月期からスタートした中期3ヶ年経営計画で、経営数値目標として掲げた営業利益6億円は超過して達成することができた。今回、システム ディ<3804>は新たな目標として年率10%程度の成長により、営業利益10億円の早期達成を目標として打ち出した。期間を明示しなかったのはコロナ禍の影響が続いており、国内景気の先行きに対して不確実性が残っているためだ。ただ、こうしたなかでも着実に利益成長を続けていく方針に変わりない。
事業戦略としては、次世代パッケージソフトのリリース・拡販による顧客拡大とストック収益の積み上げに注力していく。海外展開については営業利益10億円を達成後に検討していく方針としている。また、KPIとしては売上高営業利益率20%(2020年10月期は18.9%)、ストック収益の売上構成比50%(同47.5%)、自己資本比率60%以上(同65.2%)、累計顧客数1万件(同7,955件)、入社3年後の社員定着率90%超の維持(同90%超)を掲げている。売上高営業利益率やストック収益比率、累計顧客件数については、今後3年間での達成が可能であると弊社では見ている。
(1) 新パッケージソフトは「スマート・ソリューション」として順次提供を開始
同社はシェア拡大施策としてパッケージソフトの性能・品質向上による高効率ビジネスを進めてきたが、主力製品がほぼ完成域まで達してきたことから次の10年を支える次世代製品の開発を各事業部門で進めており、順次市場に投入していくことで更なるシェアの拡大と売上成長を目指している。開発の方向性としては、「スマート・ソリューション」の提供を共通軸として進めている。
その第1弾となる次世代学園総合情報システム「CampusPlan Smart」は、総務・人事給与システムの提供を2019年11月に開始している。顧客から高い評価を得ており、新規顧客の獲得にもつながっている。前述した通り、2023年までに既存製品の「キャンパスプラン for .NETFramework」の機能を順次カバーしながら、既存顧客におけるリプレイスと新規顧客の獲得につなげていく。また、第2弾としてウェルネスソリューション事業において次世代クラウド型会員管理システム「Smart Hello」を2020年11月にリリースしたほか、公教育ソリューション事業では「Home Services」を2021年4月にリリースする予定となっている。そのほか、公会計ソリューション事業では「スマートPPP/創生(仮称)」、ソフトエンジニアリング事業では「スマート文書管理システム(仮称)」をそれぞれ開発している。同社がこれまで各領域において蓄積してきたノウハウに加え、最新技術も取り込みながら操作性や機能性に優れた製品をリーズナブルな価格で提供することで新規顧客の開拓を進め、累計顧客数1万件の早期達成を目指していく方針だ。
(2) 全てのソリューションでクラウドサービスを促進・拡張
同社は薬局ソリューションを除くすべてのソリューションでクラウドサービスを展開しており※、今後もクラウドサービスでの展開を強化していく方針となっている。ここ数年でクラウドサービスを安心・快適・低価格で利用できる環境が整ってきたことで、一般企業や金融機関だけでなくIT化が遅れていた公立学校や自治体など公共分野での普及拡大も今後期待されるためだ。同社にとってもクラウドサービスに注力することで売上計上時期が平準化されるため、従来のように収益が第2四半期、第4四半期に偏重するといった季節要因が薄まり、経営面での安定化と収益性向上に寄与する取り組みとして注目される。
※学園ソリューションでは「キャンパスプラン for Azure」「CampusPlan Smart」、ウェルネスソリューションでは会員・運営管理システム「Hello ASP」「Smart Hello」、アンチエイジングサービス「Weldy Cloud」、公教育ソリューションでは「School Engine」、公会計ソリューションでは「PPPクラウド(Azure)」、ソフトエンジニアリングでは「規定管理システムクラウド・サービス」等を提供している。
また、クラウドサービスの拡販だけでなくサポート・メンテナンス収入の積み上げにも注力していく。前述のように、同社のパッケージソフトは完全なレディメイドではなくイージーオーダーであり、顧客の要望や実情に合わせて熟成させていくというのが基本的な開発戦略となっている。パッケージソフト導入ユーザーはサポート・保守契約を結ぶことでカスタマイズ費用が基本的に無料となるため、システム導入と同時にサポート契約を締結する割合が高くなっていると弊社では見ている。同社側から見れば、製品の機能を拡充し熟成していくことで個々の顧客からのカスタマイズ要請が減少し、結果として利益率の上昇要因となる。
クラウドサービスとサポート・保守契約を合わせたストック収益の売上比率は、2017年10月期の26.5%から2020年10月期は47.5%と大きく上昇した。同社は今後、ストック収益比率を50%に引き上げていくことを目指しているが、クラウドサービスで展開する公教育ソリューション事業で年率2ケタ成長が続く見通しであること、その他ソリューションでもクラウドサービスを強化していくことなどから、50%は十分達成可能な水準であると弊社では見ている。
(3) 新たな地域創生ソリューションの展開
同社は公共向けソリューションとして、公教育、公会計分野が大きな柱として育っているが、そのほかにも学園ソリューション事業で「キャンパスプラン」が国公立大学向けに導入されているほか、ウェルネスソリューション事業における「Hello EX」「Hello Fun」「Weldy Cloud」や、ソフトエンジニアリング事業の「規程管理システム」「契約書作成・管理システム」などの製品・サービスについても公共分野での導入が進んでいる。同社は、これらの販売をさらに拡大し顧客の裾野を広げていくだけでなく、これらの顧客基盤を生かした新たな地域創生ソリューションの開発にも取り組み、新規事業として育成していく意向を明らかにしている。
今後の候補領域としては、地域活性化や自治体の再生、健康増進・福祉の充実、文化・教養の創生、地場産業育成支援、スマートシティ化などがあり、これらの候補の中から新サービスの開発を進めていくものと予想される。特に、自治体では地域社会の活性化を目的としたIT活用サービスへの関心が高まっており、既に800超の自治体を顧客に持つ同社にとってビジネスチャンスは大きいと言える。
(4) 業務効率化の結果としての働き方改革の継続
働き方改革も継続して取り組んでいく。コロナ禍の影響によりテレワークの普及が一気に進んだが、同社においてもテレワークの環境を整備し、今後コロナ禍の影響が長期化しても対応できる体制は構築済みとなっている。なお、社員の入社後3年間の定着率は90%超と、IT業界のなかでは圧倒的に高い実績となっている。定着率が高いことから人材育成に係るコストや採用コストも相対的に抑えられることになり、収益力の高さにつながる。
連結従業員数(役員含む)は2020年10月末時点で241名となっており、新卒社員については2021年春に18人が決定している。今後も年間15〜20名で採用を進めていく予定にしている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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