レカム Research Memo(5):2020年9月期はM&A等により海外関連の販管費が拡大(1)
[21/02/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2020年9月期決算の業績概要
(1) 2020年9月期連結業績の概要
レカム<3323>の2020年9月期の連結業績は、売上高が前期比11.4%減の8,739百万円、営業利益は345百万円の損失(前期は511百万円の利益)、経常利益は244百万円の損失(前期は642百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比2.8%増の327百万円であった。年間決算ベースで売上高は2014年9月期以来6期ぶりの減収、営業利益・経常利益は5期ぶりに損失となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益により3期連続で最高益を更新した。コロナ禍による業績への影響が大きく、特に海外法人事業とエネルギーソリューション事業が大幅に悪化した。
海外法人事業においては、1)ロックダウン、移動制限等により営業活動がストップしたこと、2)顧客企業の投資マインドの急激な悪化、3)受注済み案件のキャンセル・工事の延期、などが影響を及ぼした。エネルギーソリューション事業においては、1)代理店の営業自粛により稼働率が低下したこと、2)太陽光・蓄電池などは顧客の対面回避傾向により新規顧客獲得が減少したこと、などが影響した。これら事業の業績不振から、これら事業に関するのれん償却も負担が重くなってしまっている。
(2) セグメント別の動向
1) 海外法人事業
売上高は前期比3.9%減の1,707百万円、セグメント利益は380百万円の損失(前期は235百万円の利益)であった。上期においては、2019年9月期にM&Aにより子会社化したタイ、インドネシア、フィリピンが連結売上に寄与したが、コロナ禍によりインド、インドネシア、マレーシア、フィリピンで都市封鎖や移動制限等により営業活動ができない期間が発生し、通期では微減収となった。新規連結子会社による売上寄与にもかかわらず、微減収であるため実質的には大幅減収となっている。販管費の徹底した圧縮を実施したが、のれんの負担増や事業拡大に伴う販管費拡大もあり、大幅なセグメント赤字となった。
2) ITソリューション事業
ITソリューション事業全体の売上高は、前期比10.2%減の4,124百万円となった。セグメント利益は、前期比44.6%減の107百万円となった。緊急事態宣言中の受注が約20%減少したこと、及びFCチャネルの大手加盟店1店の契約終了などが影響した。
売上高をチャネル別に見ると、直営店チャネルにおいては、顧客データベースを活用した効率的な営業活動を実施しつつ、新規の顧客開拓にも注力したこと、また企業のネットセキュリティ強化のための独自商品であるUTMの販売強化に努め、テレワーク対応商品の販売にも注力したこと、さらにグループ再編による直営店チャネルへの統合などにより、同チャネルの売上高は前期比6.0%増の2,073百万円となった。FC加盟店チャネルにおいては、加盟店へ販売手法の共有を推し進めるとともに、UTM等のセキュリティ商材の販売支援を強化したが、主要加盟店の1社と加盟店契約が終了となったことで、同チャネルの売上高は前期比27.0%減の1,169百万円となった。代理店チャネルにおいては、採算性を重視した代理店の再編成を進め、各代理店に対してセキュリティ商材等の販売支援を積極的に実施し、売上高は前期比19.1%減の123百万円となった。グループ会社においては、UTM販売及び回線取次の拡販に取り組んだが、前期に(株)コスモ情報機器及び(株)R・Sを直営店チャネルに統合するなどグループ再編をしたことなどの影響で、売上高は前期比14.1%減の758百万円となった。
3) エネルギーソリューション事業
売上高は前期比19.7%減の2,390百万円、セグメント利益は、93百万円の損失(前期は28百万円の利益)となった。LED照明等の代理店への拡販を推進し、取扱い商材の拡大や新規代理店の獲得に注力、グループ会社経由の販売強化を実施した。太陽光発電システムについては新規顧客の開拓に注力するとともに、顧客への蓄電池販売を強化した。しかし、2019年11月以降の固定価格買取制度(FIT)期間終了に伴う太陽光発電システムの売上減とこれに代わり注力する蓄電池への販売シフトの遅れ、緊急事態宣言中、個人顧客の訪問販売回避の影響等により2桁の減収となり、経費削減に努めたもののセグメント損益は損失であった。
4) BPR事業
売上高は前期比3.5%増の636百万円(内部売上含む)、セグメント利益は、同44.5%増の118百万円となった。コロナ禍による中国BPOセンターの一部非稼働や、ストック型新商材が売上貢献に至らなかったことなどがあったが、顧客からの受託業務範囲の拡大効果で最終的に増収となった。また、RPAやAI-OCRの活用により生産性が向上し、加えて、販管費削減の徹底、人民元安によるセンターコスト削減効果などで大幅増益となった。
2. トピックス
同社は、グローバル戦略商品第1弾として、ウイルス除去除菌&空気浄化装置「ReSPR」の販売を2020年6月に開始した。国内はもとより、海外8ヶ国(中国、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、シンガポール)では独占販売権を取得している。新型コロナウイルスをはじめとするウイルス感染症拡大の防止商品として世界的に需要が急増しており、同社の当面の事業拡大のカギを握るものと思われる。直近の販売状況は、国内では非常に好調に推移している。海外では、同社初の販売チャネルである中国ECサイト「TMALL(天猫)」での販売が伸び悩んでいるようだが、国別では大きく伸びているところもあり、PR次第で今後拡販が大きく期待できるようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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1. 2020年9月期決算の業績概要
(1) 2020年9月期連結業績の概要
レカム<3323>の2020年9月期の連結業績は、売上高が前期比11.4%減の8,739百万円、営業利益は345百万円の損失(前期は511百万円の利益)、経常利益は244百万円の損失(前期は642百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比2.8%増の327百万円であった。年間決算ベースで売上高は2014年9月期以来6期ぶりの減収、営業利益・経常利益は5期ぶりに損失となった。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は投資有価証券売却益により3期連続で最高益を更新した。コロナ禍による業績への影響が大きく、特に海外法人事業とエネルギーソリューション事業が大幅に悪化した。
海外法人事業においては、1)ロックダウン、移動制限等により営業活動がストップしたこと、2)顧客企業の投資マインドの急激な悪化、3)受注済み案件のキャンセル・工事の延期、などが影響を及ぼした。エネルギーソリューション事業においては、1)代理店の営業自粛により稼働率が低下したこと、2)太陽光・蓄電池などは顧客の対面回避傾向により新規顧客獲得が減少したこと、などが影響した。これら事業の業績不振から、これら事業に関するのれん償却も負担が重くなってしまっている。
(2) セグメント別の動向
1) 海外法人事業
売上高は前期比3.9%減の1,707百万円、セグメント利益は380百万円の損失(前期は235百万円の利益)であった。上期においては、2019年9月期にM&Aにより子会社化したタイ、インドネシア、フィリピンが連結売上に寄与したが、コロナ禍によりインド、インドネシア、マレーシア、フィリピンで都市封鎖や移動制限等により営業活動ができない期間が発生し、通期では微減収となった。新規連結子会社による売上寄与にもかかわらず、微減収であるため実質的には大幅減収となっている。販管費の徹底した圧縮を実施したが、のれんの負担増や事業拡大に伴う販管費拡大もあり、大幅なセグメント赤字となった。
2) ITソリューション事業
ITソリューション事業全体の売上高は、前期比10.2%減の4,124百万円となった。セグメント利益は、前期比44.6%減の107百万円となった。緊急事態宣言中の受注が約20%減少したこと、及びFCチャネルの大手加盟店1店の契約終了などが影響した。
売上高をチャネル別に見ると、直営店チャネルにおいては、顧客データベースを活用した効率的な営業活動を実施しつつ、新規の顧客開拓にも注力したこと、また企業のネットセキュリティ強化のための独自商品であるUTMの販売強化に努め、テレワーク対応商品の販売にも注力したこと、さらにグループ再編による直営店チャネルへの統合などにより、同チャネルの売上高は前期比6.0%増の2,073百万円となった。FC加盟店チャネルにおいては、加盟店へ販売手法の共有を推し進めるとともに、UTM等のセキュリティ商材の販売支援を強化したが、主要加盟店の1社と加盟店契約が終了となったことで、同チャネルの売上高は前期比27.0%減の1,169百万円となった。代理店チャネルにおいては、採算性を重視した代理店の再編成を進め、各代理店に対してセキュリティ商材等の販売支援を積極的に実施し、売上高は前期比19.1%減の123百万円となった。グループ会社においては、UTM販売及び回線取次の拡販に取り組んだが、前期に(株)コスモ情報機器及び(株)R・Sを直営店チャネルに統合するなどグループ再編をしたことなどの影響で、売上高は前期比14.1%減の758百万円となった。
3) エネルギーソリューション事業
売上高は前期比19.7%減の2,390百万円、セグメント利益は、93百万円の損失(前期は28百万円の利益)となった。LED照明等の代理店への拡販を推進し、取扱い商材の拡大や新規代理店の獲得に注力、グループ会社経由の販売強化を実施した。太陽光発電システムについては新規顧客の開拓に注力するとともに、顧客への蓄電池販売を強化した。しかし、2019年11月以降の固定価格買取制度(FIT)期間終了に伴う太陽光発電システムの売上減とこれに代わり注力する蓄電池への販売シフトの遅れ、緊急事態宣言中、個人顧客の訪問販売回避の影響等により2桁の減収となり、経費削減に努めたもののセグメント損益は損失であった。
4) BPR事業
売上高は前期比3.5%増の636百万円(内部売上含む)、セグメント利益は、同44.5%増の118百万円となった。コロナ禍による中国BPOセンターの一部非稼働や、ストック型新商材が売上貢献に至らなかったことなどがあったが、顧客からの受託業務範囲の拡大効果で最終的に増収となった。また、RPAやAI-OCRの活用により生産性が向上し、加えて、販管費削減の徹底、人民元安によるセンターコスト削減効果などで大幅増益となった。
2. トピックス
同社は、グローバル戦略商品第1弾として、ウイルス除去除菌&空気浄化装置「ReSPR」の販売を2020年6月に開始した。国内はもとより、海外8ヶ国(中国、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マレーシア、ミャンマー、シンガポール)では独占販売権を取得している。新型コロナウイルスをはじめとするウイルス感染症拡大の防止商品として世界的に需要が急増しており、同社の当面の事業拡大のカギを握るものと思われる。直近の販売状況は、国内では非常に好調に推移している。海外では、同社初の販売チャネルである中国ECサイト「TMALL(天猫)」での販売が伸び悩んでいるようだが、国別では大きく伸びているところもあり、PR次第で今後拡販が大きく期待できるようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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