平和RE Research Memo(1):継続的に分配金増加を実現、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は限定的
[21/02/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 東京都区部に集中投資、平和不動産のサポートが大きな強み
平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産<8803>グループの投資法人であり、中小規模の事業所数が多く、人口増加傾向が続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資する複合型REITだ。全国各地の証券取引所やオフィスビルを所有・賃貸し、日本橋兜町・茅場町の再活性化および札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業を幅広く展開する平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが、同REITの大きな強みである。
2. 2020年11月期の分配金は10期連続でスポンサー変更後の最高値を更新、コロナ禍の影響は軽微
2020年11月期は、営業収益7,072百万円(前期比7.3%増)、営業利益3,677百万円(同14.7%増)と増収増益で、おおむね期初予想通りの好決算となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響は限定的であり、外部成長戦略による資産の入替、内部成長戦略による既存オフィス・レジデンスの高い稼働率、財務運営による金利費用の削減などにより、賃貸ベースの利益が拡大したことが増収増益に寄与した。また、コロナ禍の影響で投資口価格が大きく下落している状況を考慮し、初めて投資口の取得・消却を実施した。以上の結果、1口当たり分配金を2,680円(前期比130円増)とし、10期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。着実な成長に加えて、一時差異等調整積立金残高等の内部留保残高53.7億円、フリーキャッシュ残高94.1億円を有することが、継続的な物件取得、財務基盤の安定化や、将来の安定的な分配金支払いを可能にしている。
3. 2021年5月期、2021年11月期も高水準の分配金を予想
2021年5月期業績予想については、既に確定している資産譲渡益を見込み、営業収益6,679百万円(前期比5.5%減)、営業利益3,259百万円(同11.4%減)を、また2021年11月期業績予想は、資産譲渡益を織り込まないことから営業収益6,307百万円(前期比5.6%減)、営業利益2,894百万円(同11.2%減)としている。これらは、コロナ禍の影響を十分に織り込んだうえで、慎重な予想を立てていると言える。具体的には、外部成長戦略では2021年5月期は確定している物件譲渡益を見込むが、前期比では減少する見通しだ。また、内部成長戦略では、新規取得物件による収益寄与を含め、賃貸収益の継続的な増加を見込む。さらに、財務戦略では、引き続き良好な金融環境のもと、リファイナンスとともに金利費用の減少を見込む。減収減益予想ながらも、潤沢な内部留保残高の活用もあり、2021年5月期の分配金は2,800円(前期比120円増)、2021年11月期も2,800円と、高水準を予想している。
4. 中期目標では分配金2,750円、資産規模2,000億円を目指しており、分配金目標は達成見通し
中期目標としては、分配金2,750円、資産規模2,000億円を掲げている。分配金の目標達成に向けては、資産の入替、賃料増額改定、諸費用の削減等を1つ1つ着実に積み重ねていくことで、継続的かつスピード感を持った分配金成長につなげるとしている。また、潤沢な内部留保やフリーキャッシュを活用して、継続的な分配金の増加を図る考えだ。2021年5月期には分配金の中期目標を達成する見通しであり、2021年5月期決算発表時には新たな中期目標を発表すると見られる。
5. 分配金の継続的な増加に伴い、投資家の評価もさらに高まると予想
同REITの投資口価格は、コロナ禍に伴う社会全体の景気・企業業績への不安に伴い、2020年3月に大きく下落した。しかし、感染症対策の進展もあり、投資口価格は東証リート指数を上回る回復基調で推移している。その結果、2021年1月29日現在のNAV倍率(1口当たり投資口価格/1口当たり純資産額)は1.09倍と、オフィス・レジデンス複合型REITの平均の0.92倍を上回っている。ただし同REITでは、入替戦略の推進、賃料増額改定、キャップレートの低下などに伴い、含み益は成長を続けている。加えて、今後も分配金の増加が継続すると期待されることから、投資家の評価は一層上がると見られる。更に、同REITは環境認証の取得にも注力している。これらのサスティナビリティへの積極的な取り組みが投資家に評価されていることも、同REITの投資口価格が堅調な一因と考えられる。
■Key Points
・東京都区部を中心とするオフィス・レジデンス複合型REITで、平和不動産のサポートが大きな強み
・2020年11月期は、コロナ禍の影響は限定的でおおむね期初予想通りの好決算。初めて自己投資口の取得・消却も実施し、分配金は10期連続でスポンサー変更後の最高値を更新
・2021年5月期は、コロナ禍の影響を十分に織り込んだうえで継続的な収支改善を見込むも、内部留保の活用により、分配金は2,800円(前期比120円増)を予想
・中期目標では、運用資産の着実な成長と中長期的な安定収益の確保や潤沢な内部留保などの活用により、分配金2,750円を目指す。2021年5月期には目標達成の見通し
・コロナ禍の影響により2020年3月に投資口価格が下落するも、市場平均を上回る回復基調で推移。継続的な分配金の増加やサスティナビリティへの取り組みを背景に、投資家の評価は更に上がると見られる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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1. 東京都区部に集中投資、平和不動産のサポートが大きな強み
平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産<8803>グループの投資法人であり、中小規模の事業所数が多く、人口増加傾向が続く東京都区部を中心に、オフィス及びレジデンスに集中的に投資する複合型REITだ。全国各地の証券取引所やオフィスビルを所有・賃貸し、日本橋兜町・茅場町の再活性化および札幌再開発事業化を推進する再開発事業などのデベロッパー事業を幅広く展開する平和不動産の経験とノウハウを最大限に活用できることが、同REITの大きな強みである。
2. 2020年11月期の分配金は10期連続でスポンサー変更後の最高値を更新、コロナ禍の影響は軽微
2020年11月期は、営業収益7,072百万円(前期比7.3%増)、営業利益3,677百万円(同14.7%増)と増収増益で、おおむね期初予想通りの好決算となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響は限定的であり、外部成長戦略による資産の入替、内部成長戦略による既存オフィス・レジデンスの高い稼働率、財務運営による金利費用の削減などにより、賃貸ベースの利益が拡大したことが増収増益に寄与した。また、コロナ禍の影響で投資口価格が大きく下落している状況を考慮し、初めて投資口の取得・消却を実施した。以上の結果、1口当たり分配金を2,680円(前期比130円増)とし、10期連続でスポンサー変更後の最高値を更新した。着実な成長に加えて、一時差異等調整積立金残高等の内部留保残高53.7億円、フリーキャッシュ残高94.1億円を有することが、継続的な物件取得、財務基盤の安定化や、将来の安定的な分配金支払いを可能にしている。
3. 2021年5月期、2021年11月期も高水準の分配金を予想
2021年5月期業績予想については、既に確定している資産譲渡益を見込み、営業収益6,679百万円(前期比5.5%減)、営業利益3,259百万円(同11.4%減)を、また2021年11月期業績予想は、資産譲渡益を織り込まないことから営業収益6,307百万円(前期比5.6%減)、営業利益2,894百万円(同11.2%減)としている。これらは、コロナ禍の影響を十分に織り込んだうえで、慎重な予想を立てていると言える。具体的には、外部成長戦略では2021年5月期は確定している物件譲渡益を見込むが、前期比では減少する見通しだ。また、内部成長戦略では、新規取得物件による収益寄与を含め、賃貸収益の継続的な増加を見込む。さらに、財務戦略では、引き続き良好な金融環境のもと、リファイナンスとともに金利費用の減少を見込む。減収減益予想ながらも、潤沢な内部留保残高の活用もあり、2021年5月期の分配金は2,800円(前期比120円増)、2021年11月期も2,800円と、高水準を予想している。
4. 中期目標では分配金2,750円、資産規模2,000億円を目指しており、分配金目標は達成見通し
中期目標としては、分配金2,750円、資産規模2,000億円を掲げている。分配金の目標達成に向けては、資産の入替、賃料増額改定、諸費用の削減等を1つ1つ着実に積み重ねていくことで、継続的かつスピード感を持った分配金成長につなげるとしている。また、潤沢な内部留保やフリーキャッシュを活用して、継続的な分配金の増加を図る考えだ。2021年5月期には分配金の中期目標を達成する見通しであり、2021年5月期決算発表時には新たな中期目標を発表すると見られる。
5. 分配金の継続的な増加に伴い、投資家の評価もさらに高まると予想
同REITの投資口価格は、コロナ禍に伴う社会全体の景気・企業業績への不安に伴い、2020年3月に大きく下落した。しかし、感染症対策の進展もあり、投資口価格は東証リート指数を上回る回復基調で推移している。その結果、2021年1月29日現在のNAV倍率(1口当たり投資口価格/1口当たり純資産額)は1.09倍と、オフィス・レジデンス複合型REITの平均の0.92倍を上回っている。ただし同REITでは、入替戦略の推進、賃料増額改定、キャップレートの低下などに伴い、含み益は成長を続けている。加えて、今後も分配金の増加が継続すると期待されることから、投資家の評価は一層上がると見られる。更に、同REITは環境認証の取得にも注力している。これらのサスティナビリティへの積極的な取り組みが投資家に評価されていることも、同REITの投資口価格が堅調な一因と考えられる。
■Key Points
・東京都区部を中心とするオフィス・レジデンス複合型REITで、平和不動産のサポートが大きな強み
・2020年11月期は、コロナ禍の影響は限定的でおおむね期初予想通りの好決算。初めて自己投資口の取得・消却も実施し、分配金は10期連続でスポンサー変更後の最高値を更新
・2021年5月期は、コロナ禍の影響を十分に織り込んだうえで継続的な収支改善を見込むも、内部留保の活用により、分配金は2,800円(前期比120円増)を予想
・中期目標では、運用資産の着実な成長と中長期的な安定収益の確保や潤沢な内部留保などの活用により、分配金2,750円を目指す。2021年5月期には目標達成の見通し
・コロナ禍の影響により2020年3月に投資口価格が下落するも、市場平均を上回る回復基調で推移。継続的な分配金の増加やサスティナビリティへの取り組みを背景に、投資家の評価は更に上がると見られる
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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