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平和RE Research Memo(2):東京都区部中心のオフィス・レジデンス複合型REIT(1)

注目トピックス 日本株
■特長・優位性

1. 概要
平和不動産リート投資法人<8966>は、平和不動産グループの投資法人であり、東京都区部を中心とする、オフィス・レジデンス複合型REITだ。2002年1月に前身であるクレッシェンド投資法人を設立後、2005年3月には東証不動産投資信託証券(J-REIT)市場に新規上場、2010年10月にはジャパン・シングルレジデンス投資法人と合併し、名称を平和不動産リート投資法人に変更したうえで今日に至っている。

また、投資主より募集した資金を主として不動産等に対する投資として運用することを目的とし、「運用資産の着実な成長」と「中期的な安定収益の確保」を資産運用の基本方針(基本理念)として掲げている。実際の資産運用はすべて、平和不動産アセットマネジメント(株)に委託しており、資産運用については、平和不動産のグループから様々なサポートを得られるのが大きな強みである。

同REITは、「戦略的なポートフォリオの構築」「平和不動産の強力なスポンサーシップ」「分配金安定化ツールの活用」といった特長・優位性を有している。また、基本理念の「運用資産の着実な成長」と「中期的な安定収益の確保」を着実に遂行することで、投資主価値の最大化に取り組んでいる。

2. 戦略的なポートフォリオの構築
同REITは、高い需要に支えられた「東京都区部を中心とする投資エリアに存するオフィス及びレジデンス」に集中的に投資している点に大きな特長がある。多数の物件に投資することで戦略的にポートフォリオの分散を図っていることが、安定した稼働率と収益の源泉になっている。

(1) オフィスビル分野
東京都区部には主なテナント層である中小規模の事業所が多く、豊富な需要がある。ただ、オフィスビルの全てが安定収益を確保できるとは限らず、立地条件、建物スペック等の要素によって、淘汰される物件とそうでない物件に“二極化”が進むと予想される。したがって同REITでは、数多くの投資機会の中から、中長期的に収益安定性を有すると考えられる優良なオフィスビルを厳選して取得することを目指している。

実際、5年ごとに実施される総務省統計局「平成28年経済センサス」データによれば、全国事業所数のうち、同REITの投資対象エリアに属する都道府県に立地するオフィス数の割合は57.6%に達しており、同REITがオフィス需要の高い地域に効率よく投資エリアを絞っていると言える。また、同データによれば、全国の総事業所に占める従業員50名未満の事業所の割合は96.9%に達し、投資対象エリアの主要都市において中小規模のオフィス需要が非常に高いことがわかる。直近では、コロナ禍に伴う非常事態宣言発出により、同REITのテナントの動きは一時停滞していたものの、現在は回復基調であり、主要顧客の中小事業者ではテレワーク促進等による退去の動きは見られないようだ。

(2) レジデンス分野
コロナ禍の影響により、都心部を中心に一時的に稼働率が低下し、リーシング期間が長期化したものの、各種リーシング施策を実施したことで、稼働率は急速に回復している。今後コロナ禍が収束に向かえば、東京都では従来のように人口増加傾向が強まり、堅調な需要が見込まれる。実際、単身世帯からシニア世帯まで、あらゆる世帯層が利便性の高い都心部への移住を希望している。不動産価格の高額化とも相まって、都心部の賃貸住宅に関する需要は今後も堅調に推移すると予想される。ただし、レジデンス分野は、各種設備の機能的陳腐化がオフィスビルよりも早いので、同REITでは新築物件を中心に、極力築年数の浅い物件を集中的に取得することを目指している。

現在の日本は人口減少期に突入しているが、一方で、総務省統計局データによれば、同REITの投資対象エリアに属する主要都道府県では人口増加が続いている。また、国立社会保障・人口問題研究所のデータによると、2015年からの10年間に都市部の世帯数は増加する見込みであり、特に東京経済圏・名古屋経済圏での世帯数増加は他のエリアを大きく引き離している。同データによれば、世帯の形の変化によって世帯の少人数化が進展することで、今後はシングル・コンパクトタイプの住居を必要とする世帯数が増加していくと読み取れる。同REITでは、ファミリータイプよりもシングル・コンパクトタイプの住居に数多く投資することで、同規模の建物からより多くの賃料収入を得ることが可能な、効率的な運営を図っている。

2020年11月30日時点における同REITのポートフォリオの用途別内訳を見ると、オフィス44.1%、レジデンス55.9%となっている。厳格な投資基準に基づき、多数の物件へ投資することにより、用途・棟数・テナントの分散を行い、ポートフォリオの収益変動リスクの極小化を図っている。具体的には、オフィス及びレジデンス各々の投資メリットを効率的に享受するため、原則としてそれぞれポートフォリオの50%(取得価格ベース)を目途としている。オフィス賃料は景気感応度が高く、収益の変動性が高いのに対し、レジデンス賃料は景気変動を受けにくく、収益の安定性が高いことから、両方にバランスよく投資することで、収益性と安定性の双方を追求できるポートフォリオを構築している。

また、投資エリア別では都心5区43.9%、その他の東京23区27.1%、首都圏9.6%、その他地域19.5%となっている。地域的には第1投資エリア(東京23区)を主たる投資地域と位置付けるが、各エリアのマーケット状況(取得物件のストック量、取引価格の状況及び賃貸マーケット状況等)を勘案しながら、第2投資エリア(23区以外の東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)及び地方投資エリア(政令指定都市をはじめとする全国の主要都市、すなわち平和不動産のサポートが得られる地方大都市)にも投資する。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)




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