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TOKAI Research Memo(3):エネルギー事業、CATV事業、法人向け情報通信事業が利益をけん引

注目トピックス 日本株
■TOKAIホールディングス<3167>の業績動向

2. 事業セグメント別動向
(1) エネルギー事業
エネルギー事業の売上高は前年同期比3.2%減の53,437百万円、営業利益(間接費用配賦前営業利益となり、決算短信とは算出方法が異なる。以下、同様)は同27.0%増の5,034百万円となった。前年同期比での増益要因としては、顧客件数の増加(7.8億円)、仕入価格の下落(6.8億円)、巣ごもり需要による世帯当たり消費量の増加(2.7億円)が挙げられる。一方、減益要因は顧客獲得コストの増加(3.4億円)や人件費・その他コスト増加(3.0億円)となり、合計で10.7億円の増益となった。なお、四半期ベースで見ると第3四半期は売上高で前年同期比3.0%増と5四半期振りに増収に転じ、営業利益も同32.7%増と2四半期ぶりの増益となっている。

LPガス事業の売上高は前年同期比1.1%減の45,135百万円、営業利益は仕入価格下落に伴う利幅改善や顧客件数増加により2ケタ増益となった。2021年3月期第3四半期末の顧客件数は前年同期比で29千件増の676千件となり、前年同期の純増数(27千件)を上回るペースで増加した。商圏買収を積極的に進めたほか、新規エリア11拠点※での顧客獲得が着実に進んでいることが要因だ。期首からは24千件の増加となったが、このうち、既存エリアで16千件、新規エリアで8千件増加している。ただ、コロナ禍の影響により商圏買収が遅れたこともあって、計画比では12千件ほど下回ったもようだ。

※2015年に仙台、いわき、豊川、2016年に西三河、岐阜、2017年に多治見、岡山、2018年に福岡、2019年に津、2020年6月に春日井、四日市と合計11拠点で営業所を開設。


一方、都市ガス事業の売上高は前年同期比13.3%減の8,301百万円となった。原料費調整制度による販売単価の下落に加えて、前年同期は小中学校向け空調工事が含まれていた影響で減収率が大きくなっており、営業利益も減益となった。顧客件数については、2020年4月から新たに事業譲受した秋田県にかほ市(5千件)での営業を開始したことで、前年同期比5千件増の61千件となっている。

(2) 情報通信事業
情報通信事業の売上高は前年同期比2.6%減の37,831百万円、営業利益は同8.5%減の3,081百万円となった。法人向け事業についてはストック型サービスの好調により増収増益となったものの、コンシューマー向け事業が顧客件数の減少並びに顧客獲得コストの増加で減収減益となったことが響いた。第3四半期だけで見ても、売上高は前年同期比1.7%減、営業利益は同4.7%減となったが、社内計画に対しては営業利益で数千万円程度の下振れにとどまっている。

コンシューマー向け事業の売上高は前年同期比8.6%減の19,801百万円となった。営業利益は同5億円強の減益となったようで、主な減益要因としては顧客件数の減少で2.6億円、顧客獲得コストの増加で3.1億円となっている。2021年3月期第3四半期末のサービス別顧客件数を見ると、LIBMOが前年同期比7千件増の52千件、光コラボが同11千件増の335千件と増加したものの、従来型ISPサービスが同21千件減の375千件となり減収要因となった。ただ、前期末比ではこれら合計の契約件数で2千件増と2015年3月期以来の増加に転じた点は注目される。ここ数年は、大手携帯電話キャリアとの競争激化によって顧客件数の減少が続いていたが、大手家電量販店で光コラボの販促キャンペーンを展開しており、在宅勤務の需要を取り込めたことが大きい。新規顧客加入件数が増加しているほか、解約件数も減少しているようで、光コラボに関しては前四半期比で3四半期連続の増加となっているのも良い兆候だ。顧客当たり売上単価の高い光コラボを中心に顧客件数が今後も増加すれば、コンシューマー向け売上高は、2022年3月期の第1四半期には前年同期比で4年ぶりに増収に転じる可能性が高く、今後の動向が注目される。

一方、法人向け事業の売上高は前年同期比5.0%増の18,030百万円、営業利益は増収効果で2.2億円の増益となった。受託開発事業がコロナ禍の影響と前年同期に大型案件があった反動で減収となったものの、クラウドサービスやテレワークの需要取り込みによるストックビジネスの好調でカバーした。

(3) CATV事業
CATV事業の売上高は前年同期比6.7%増の24,994百万円、営業利益は同8.2%増の4,102百万円となり、会社計画を上回る進捗となっている。2020年3月に子会社化した仙台CATV(株)の売上高が7〜8億円の上乗せ要因(営業利益はのれん償却後ベースで影響無し)となり、同要因を除けば約3%の増収だった。利益面では、顧客件数の増加による増益で人件費等その他費用の増加を吸収し増益となっている。2021年3月期第3四半期の業績については売上高で前年同期比8.5%増、営業利益で同17.4%増と利益の伸びが大きくなっているが、このうち1億円弱は法人事業税の還付によるものとなっている。

顧客件数は前年同期比100千件増(うち、仙台CATV57千件)の1,188千件となった。このうち、放送サービスの契約件数は同70千件増の871千件、通信サービスは同30千件増の317千件といずれも順調に拡大している。通信サービスについては、グループ会社で4K放送への対応を含めた光化投資を進めており、CATV-FTTHサービスの加入件数が増加している。

(4) 建築設備不動産事業
建築設備不動産事業の売上高は前年同期比0.7%減の14,815百万円、営業利益は同11.9%減の1,094百万円となった。コロナ禍による営業活動の遅れによりリフォーム・設備機器販売の売上減少が響き、利益面では計画を2億円強下回ったと見られる。

2019年9月に子会社化した日産工業(株)※1の営業利益は1億円となり、また、2020年8月に子会社化した中央電機工事(株)※2、同年11月に子会社化した(株)イノウエテクニカ※3の営業利益は合わせて0.8億円となった。これらM&Aの実施によって、同社グループは総合建設事業者として土木・建築工事から空調・衛生・電気といった屋内工事、ビルメンテナンスまで総合的に提供できる体制を構築したことになり、今後東海地方における更なる事業規模拡大を目指していく。

※1 日産工業は岐阜県内で公共工事や一般建築などを手掛け、年間売上高は20億円規模。
※2 中央電機工事は愛知県内で電設工事業を従業員30名弱で展開している。
※3 イノウエテクニカは静岡県東部でビルメンテナンス事業を展開しており、年間売上高は約5億円。


(5) アクア事業
アクア事業の売上高は前年同期比3.1%増の5,778百万円、営業利益は同3.2%減の578百万円となった。コロナ禍の影響により主要販路となるショッピングモール等での営業自粛を余儀なくされたことから、顧客件数は前年同期比2千件増の162千件にとどまったものの、巣ごもり需要による契約世帯当たり消費量の増加が増収要因となった。利益面では顧客件数増加による増益に加えて顧客獲得コストの減少(1.4億円)があったものの、組織体制変更に伴うコスト増や物流費用の増加が減益要因となった。2021年3月期第3四半期の業績は売上高で前年同期比2.5%増、営業利益で同33.0%減となり、2四半期連続で減益となっている。ただし会社計画比では、顧客獲得コストの減少に伴い、営業利益では1億円強上回ったもようだ。

(6) その他
その他の売上高は前年同期比17.9%減の2,934百万円となった。内訳を見ると、介護事業は2020年3月期にサービス付き高齢者住宅を運営(19室)する(株)テンダーを子会社化したことにより、同9.9%増の995百万円となった。一方、造船事業は船舶修繕工事の減少により、同5.8%減の991百万円に、婚礼催事事業はコロナ禍における婚礼の延期や宴会の自粛等により同68.8%減の322百万円と大幅減収となった。なお、内部調整額も含めた営業損失は3,988百万円(前年同期は3,682百万円の損失)となっている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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