TOKAI Research Memo(4):2021年3月期業績は利益ベースで会社計画を上回る見通し
[21/02/22]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年3月期業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>の2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.8%増の205,300百万円、営業利益が同5.5%増の15,000百万円、経常利益が同2.7%増の14,870百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.7%増の8,460百万円と期初計画を据え置いた。2021年3月期第3四半期までの進捗率を見ると、売上高で68.1%、営業利益で66.0%となっており、直近3ヶ年の平均進捗率(売上高72.0%、営業利益59.9%)と比較すると、売上高は若干下回るペースとなっているものの営業利益は1割強上回るペースとなっている。各利益については会社計画をやや上回り、3期連続で最高益を更新する可能性が高いと弊社では見ている。
2021年3月期第4四半期においても引き続き「継続取引顧客件数の拡大」(前期末比102千件増の3,105千件を計画)による月次課金収益の積み上げを図ると同時に、「M&Aの更なる推進」「ABCIR+Sの実践」「TLCの深化」に取り組むことで、中長期的なグループ成長を支える収益基盤を構築していく考えだ。事業セグメント別では、主要事業となるエネルギー事業や情報通信事業、CATV事業を中心に増益を見込んでいる。顧客件数については2021年3月期第3四半期までの遅れを第4四半期ですべて取り戻すのは困難で、計画を数千件下回る可能性があるが、着実に顧客基盤が拡大していることに変わりない。
主要事業の業績見通しについては以下の通り。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業に関しては、顧客件数の拡大が続くものの販売単価の下落が影響して売上高は減収となる可能性が高い。しかし、仕入価格下落による利幅改善が続き2021年3月期通期では前期比14億円程度の増益となる見通し。
LPガス事業の顧客件数は前期末比51千件増の703千件を計画しているが、2021年3月期第3四半期末までで24千件の増加にとどまっている。第4四半期に商圏買収や新規エリアの顧客開拓に注力することで、前期末比40千件以上の増加は可能と見られる。このうち、2020年6月に新規開設した春日井市、四日市市では2021年3月期第4四半期から営業活動を本格的に開始しており、合わせて3千件の顧客獲得が見込まれる。
一方、都市ガス事業については、顧客件数で前期末比横ばいの61千件となる見通し。2020年3月期末の数字には2020年4月より事業を開始した秋田県にかほ市の顧客5千件分が含まれるため、実際の顧客件数は前期末比9%の増加となる。販売単価の下落により売上高は減収となる見通しだ。
(2) 情報通信事業
情報通信事業は売上高で前期比若干の増収、営業利益で2.5億円の増益を見込んでいるが、利益の増益幅は若干縮小する見通しだ。内訳は、法人向けで4億円強の増益、コンシューマー向けで減益を見込んでいる。
コンシューマー向けの顧客件数は前期末比2千件増の975千件と増加に転じる見通し。内訳は、従来型ISP等で21千件減の368千件、光コラボで13千件増の337千件、LIBMOで15千件増の63千件、モバイルで5千件減の207千件となる。2021年3月期第3四半期までの進捗は、従来型ISP等で14千件減、光コラボで11千件増、LIBMOで4千件増、モバイルで3千件減となっている。LIBMOの加入増ペースが計画から遅れている一方で、光コラボはやや上回るペースとなっている。LIBMOについては2021年3月期第1四半期にコロナ禍で店舗が休業していたこと、格安スマホ市場における競争が激化していることなどが伸び悩んでいる要因となっており、今後、光コラボとのセットプランによる販促を強化してキャッチアップを図る考えだ。
一方、法人向けについては受託開発部門で下振れ懸念があるものの、クラウドサービス市場の拡大を追い風としたネットワーク接続サービスなどストック収入の成長により増収増益が続く見通しだ。
(3) CATV事業、建築設備不動産事業、アクア事業
CATV事業は売上高で前期比6%増、営業利益で同2%増を見込んでいたが、2021年3月期第3四半期までの進捗は計画を上回るペースとなっており、通期でも計画を上回る増収増益が見込まれる。顧客件数は前期末比37千件増加の1,191千件を計画しているが、2021年3月期第3四半期末までに34千件の増加と計画を若干上回るペースとなっている。人員体制の強化や光化投資に伴う減価償却費の増加等により、期初計画では利益率が若干低下すると見ていたが、第3四半期に法人事業税の還付などがあったこともあり、利益率も2020年3月期並みの水準を維持する可能性が高い。なお、設備投資額は2020年3月期の53億円から67億円に増加する計画となっている。
建築設備不動産事業は期初計画で増収増益を見込んでいたが、コロナ禍の影響で2021年3月期第3四半期までは減収減益となっている。ただ、受注状況が徐々に回復しているほかM&A効果もあって、通期では期初計画通り増収増益を目指していく方針となっている。
アクア事業は売上高で前期比6%増、営業利益で減益を見込んでいる。顧客件数は前期末比11千件増の172千件を見込んでいたが、2021年3月期第3四半期末までで1千件の増加にとどまっており、売上高は3%前後の増収にとどまる見通しだ。一方、営業利益に関しては物流費用の増加はあるものの顧客獲得コストの減少等により、ほぼ計画並みの減益となる見通しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
1. 2021年3月期業績見通し
TOKAIホールディングス<3167>の2021年3月期の連結業績は、売上高が前期比4.8%増の205,300百万円、営業利益が同5.5%増の15,000百万円、経常利益が同2.7%増の14,870百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同2.7%増の8,460百万円と期初計画を据え置いた。2021年3月期第3四半期までの進捗率を見ると、売上高で68.1%、営業利益で66.0%となっており、直近3ヶ年の平均進捗率(売上高72.0%、営業利益59.9%)と比較すると、売上高は若干下回るペースとなっているものの営業利益は1割強上回るペースとなっている。各利益については会社計画をやや上回り、3期連続で最高益を更新する可能性が高いと弊社では見ている。
2021年3月期第4四半期においても引き続き「継続取引顧客件数の拡大」(前期末比102千件増の3,105千件を計画)による月次課金収益の積み上げを図ると同時に、「M&Aの更なる推進」「ABCIR+Sの実践」「TLCの深化」に取り組むことで、中長期的なグループ成長を支える収益基盤を構築していく考えだ。事業セグメント別では、主要事業となるエネルギー事業や情報通信事業、CATV事業を中心に増益を見込んでいる。顧客件数については2021年3月期第3四半期までの遅れを第4四半期ですべて取り戻すのは困難で、計画を数千件下回る可能性があるが、着実に顧客基盤が拡大していることに変わりない。
主要事業の業績見通しについては以下の通り。
(1) エネルギー事業
エネルギー事業に関しては、顧客件数の拡大が続くものの販売単価の下落が影響して売上高は減収となる可能性が高い。しかし、仕入価格下落による利幅改善が続き2021年3月期通期では前期比14億円程度の増益となる見通し。
LPガス事業の顧客件数は前期末比51千件増の703千件を計画しているが、2021年3月期第3四半期末までで24千件の増加にとどまっている。第4四半期に商圏買収や新規エリアの顧客開拓に注力することで、前期末比40千件以上の増加は可能と見られる。このうち、2020年6月に新規開設した春日井市、四日市市では2021年3月期第4四半期から営業活動を本格的に開始しており、合わせて3千件の顧客獲得が見込まれる。
一方、都市ガス事業については、顧客件数で前期末比横ばいの61千件となる見通し。2020年3月期末の数字には2020年4月より事業を開始した秋田県にかほ市の顧客5千件分が含まれるため、実際の顧客件数は前期末比9%の増加となる。販売単価の下落により売上高は減収となる見通しだ。
(2) 情報通信事業
情報通信事業は売上高で前期比若干の増収、営業利益で2.5億円の増益を見込んでいるが、利益の増益幅は若干縮小する見通しだ。内訳は、法人向けで4億円強の増益、コンシューマー向けで減益を見込んでいる。
コンシューマー向けの顧客件数は前期末比2千件増の975千件と増加に転じる見通し。内訳は、従来型ISP等で21千件減の368千件、光コラボで13千件増の337千件、LIBMOで15千件増の63千件、モバイルで5千件減の207千件となる。2021年3月期第3四半期までの進捗は、従来型ISP等で14千件減、光コラボで11千件増、LIBMOで4千件増、モバイルで3千件減となっている。LIBMOの加入増ペースが計画から遅れている一方で、光コラボはやや上回るペースとなっている。LIBMOについては2021年3月期第1四半期にコロナ禍で店舗が休業していたこと、格安スマホ市場における競争が激化していることなどが伸び悩んでいる要因となっており、今後、光コラボとのセットプランによる販促を強化してキャッチアップを図る考えだ。
一方、法人向けについては受託開発部門で下振れ懸念があるものの、クラウドサービス市場の拡大を追い風としたネットワーク接続サービスなどストック収入の成長により増収増益が続く見通しだ。
(3) CATV事業、建築設備不動産事業、アクア事業
CATV事業は売上高で前期比6%増、営業利益で同2%増を見込んでいたが、2021年3月期第3四半期までの進捗は計画を上回るペースとなっており、通期でも計画を上回る増収増益が見込まれる。顧客件数は前期末比37千件増加の1,191千件を計画しているが、2021年3月期第3四半期末までに34千件の増加と計画を若干上回るペースとなっている。人員体制の強化や光化投資に伴う減価償却費の増加等により、期初計画では利益率が若干低下すると見ていたが、第3四半期に法人事業税の還付などがあったこともあり、利益率も2020年3月期並みの水準を維持する可能性が高い。なお、設備投資額は2020年3月期の53億円から67億円に増加する計画となっている。
建築設備不動産事業は期初計画で増収増益を見込んでいたが、コロナ禍の影響で2021年3月期第3四半期までは減収減益となっている。ただ、受注状況が徐々に回復しているほかM&A効果もあって、通期では期初計画通り増収増益を目指していく方針となっている。
アクア事業は売上高で前期比6%増、営業利益で減益を見込んでいる。顧客件数は前期末比11千件増の172千件を見込んでいたが、2021年3月期第3四半期末までで1千件の増加にとどまっており、売上高は3%前後の増収にとどまる見通しだ。一方、営業利益に関しては物流費用の増加はあるものの顧客獲得コストの減少等により、ほぼ計画並みの減益となる見通しとなっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>