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タマホーム Research Memo(7):2021年5月期業績は期初計画から上方修正するも、なお増額余地あり

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

1. 2021年5月期の業績見通し
タマホーム<1419>の2021年5月期の連結業績は、売上高で前期比0.4%増の210,000百万円、営業利益で同8.8%減の9,000百万円、経常利益で同8.8%減の8,900百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同1.8%増の5,200百万円と期初計画から売上高で7.7%、各利益で20%以上の上方修正を発表した。期初段階ではコロナ禍が業績に与える影響が不透明だったことから、住宅販売棟数(注文及び戸建分譲)を前期比5.4%減の9,000棟と保守的に見込んでいたが、前述したように第2四半期まで受注は計画を上回って好調に推移したことで、通期の販売棟数も期初計画を上回る見通しとなったことが主因だ。修正後の販売棟数について、会社側では開示していないが、売上高の修正幅から考えると前期比で1%程度の増加を見込んでいるものと思われる。

なお、下期だけの比較で見ると売上高が前年同期比で1.3%増と増収に転じる一方で、営業利益は同17.3%減と逆に減益を見込んでいることになる。上期の増益要因でもあった広告宣伝費について下期は例年並みの費用を計画しているほか(各種イベントが中止になれば減少する可能性あり)、注文住宅の価格改定による収益改善効果が上期でほぼ一巡していること、受注が好調とはいえ、引渡の集中する下期の生産余力は上期のそれと比べ少なくなるため下期の販売棟数は前年同期比で若干増にとどまる可能性があることなどから、注文住宅事業の下期の増益率については期末にかけ逓減する計画となっており、また、不動産事業においては前第4四半期に比較的まとまった収益を計上したオフィス区分所有権販売事業について、2021年5月期下期は市場環境の変化から前期水準での売上の進捗を見込んでおらず減益で見込んでいること、そのほか費用面ではコロナ禍の影響が依然不透明なことからやや保守的に見積もっていることが要因と見られる。ただ、下期はマンション事業で新規プロジェクト2件の完売を計画に織り込んでいるほか、追加で2件の新築分譲マンションの販売も下期には販売開始する予定となっており、これらの販売状況次第では上振れ要因となる可能性がある。

(1) 住宅事業
住宅事業のうち、注文住宅事業については期初段階では減収減益で見込んでいたが、第2四半期までの受注が好調に推移したことから、通期では増収増益が見込める状況となっている。12月の月次受注も前年同月比42%増と大手のなかでは最も高い伸びを見せており、好調が続いていることに変わりない。リスク要因としては、コロナ禍によって建築資材の調達が滞り、施工スケジュールが遅延する可能性がある点が挙げられる。

注文住宅の平均販売単価は、第3四半期以降も1,800万円台で高水準が続く見通しとなっている。同社商品よりも割高な競合商品の購入を検討していた顧客が同社で住宅を購入する場合、価格の下方圧力はかかりにくいためだ。当然、競合メーカーも対抗措置を取ってくることが想定されるが、同社では短いサイクルで商品の見直しを行うことで、収益性と競争力を維持していく戦略となっている。営業戦略としては、積極的な来場施策の推進とWeb集客の強化に取り組み、感染再拡大に伴う移動制限や外出自粛の影響による集客数の減少に備え、早期受注・早期着工・早期売上の方針を継続して推進していく。

リフォーム事業については、同社が販売した築10年目の住宅に対する保証延長工事の受注獲得に引き続き注力するとともに、住宅設備の経年劣化に伴う交換需要を的確に捉えてゆくことで、2ケタ台の増収増益が見込まれる。2021年5月期における築10年点検対象見込み棟数は約8,000棟あり、1件当たり平均売上高は180〜200万円程度となるため、これらすべてで保証延長工事を受注できれば、潜在的に年間売上高は150億円前後まで拡大することが可能となる。リフォーム事業売上高は2020年5月期の7,100百万円から2021年5月期は+10%前後の増収ペースで進捗しており、今後も10年点検の保証延長工事に関する捕捉率(前期実績で約30%超)を引き上げていくことに加え、経年劣化による住宅設備の更新ニーズを的確に捕捉することで、年率2ケタ成長が可能と見られる。

(2) 不動産事業
不動産事業のうち、戸建分譲事業は2ケタ増収増益基調が続く見通し。引き続き仕入れ体制を強化し、10区画未満で良質な宅地の確保と安定供給に取り組むとともに、高品質な分譲住宅を適正価格で販売することで収益拡大を図っていく方針だ。販売単価は平均3,000万円前後で上限の目安はおおむね4,500万円までとなる。同社は仕入のさらなる強化を図るため、2020年3月より「土地買取センター」の出店を開始した。2021年1月時点で福岡東店、姫路店、東村山店、岐阜店、広島店の5店舗を相次いで出店した。また、全体の仕入に与える影響は軽微だが、専門の買取センターを出店することで現地での認知度が広がれば、仕入力の強化につながるものと考えられる。同社では今後も戸建分譲のニーズが強いエリアを中心にして、同センターを出店していく予定にしている。

マンション事業は増収増益となる見通し。新築マンション4棟のうち、3棟が下期に竣工し、うち2棟が期末までに完売する見通しとなっている。1棟あたりの売上規模としては10〜15億円程度となる見込みだ。また、残る2棟についても下期に販売開始する予定になっており、2021年5月期中に福岡市の竣工済みプロジェクトの一部売上が計上される可能性がある。

都心7区を中心に展開しているサブリース事業については、第3四半期以降も管理物件の稼働率が高水準を維持する見込みとなっていることから、通期も増収となる見通し。一方、オフィス区分所有権販売事業については、コロナ禍でオフィスビルの市況が軟調になってきていることから、仕入について慎重なスタンスを継続しており、販売在庫が少なくなるなかで通期も減収減益となる見通しだ。

(3) その他の事業
金融事業は住宅の販売棟数と連動することから、増収増益となる見通し。また、エネルギー事業やその他事業についてはおおむね前期並みの水準で計画に織り込んでいるようだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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