サムティ Research Memo(7):2021年11月期は収益構造の転換に向けて減収も、経常利益率は高い水準を維持
[21/03/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
1. 2021年11月期の業績予想
2021年11月期の業績予想についてサムティ<3244>は、売上高を76,600百万円(前期比24.2%減)〜92,200百万円(同8.8%減)、営業利益を8,100百万円(同53.3%減)〜11,800百万円(同32.0%減)、経常利益を11,600百万円(同23.9%減)〜15,400百万円(同1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益を10,700百万円(同0.8%増)〜12,000百万円(同13.0%増)と見込んでいる。レンジ予想となっているのは、外部環境の不透明感を踏まえ、確実性の高い販売計画を下限としたうえで、追加的な物件売却の可能性を上限として加味したものである。
売上高が上・下限ともに減収予想となっているのは、中期経営計画の見直しに従い、完成物件の早期売却から賃貸保有へと転換していくプロセスにおいて、物件売却数が一時的に減少することが理由である。下限における販売計画の前提は、開発流動化が16物件(前期は23物件)、再生流動化が25物件(同42物件)、その他(投資分譲)が2物件(同5物件)となっている。
一方、利益面では、減収に伴って営業利益段階では上・下限ともに大幅な減益となっており、営業利益率も10.6%〜12.8%(前期は17.2%)と大きく低下する見通しである。もっとも、事業スキームによる会計上の理由により、営業外損益として計上される利益(営業利益には反映されない利益)が約66億円発生することも影響している。したがって、経常利益段階では上限で増益となるとともに、経常利益率も15.1%〜16.7%(前期は15.1%)と前期以上の水準を確保する見通しであり、収益性の悪化を反映したものではないことに注意が必要である。
また、投資計画については、開発用地に約397億円(前期実績は222億円)、収益不動産に約640億円(同303億円)を予定しており、グループ資産拡大に向けて戦略的投資を継続していく方針である。
2. 弊社の見方
弊社でも、業績予想の下限は確実性の高いラインとして捉えており、どれだけ上限に近いところで着地できるかがポイントになると見ている。なお、収益構造の転換を進めるにあたって、当面は保有資産の積み上げを優先する(物件売却を抑える)ことが想定されるため、それに伴って売上高の伸びが一旦緩やかになる可能性があることに注意が必要である。したがって、戦略的な進捗を評価するためには、保有資産の拡大ペースや不動産賃貸事業(賃貸収入等)の伸びに着目することが妥当であろう。もっとも、原則3年以内の物件売却を予定していることから、最長でも3年後には売上高の伸びも回復していくことが想定される。また、現地の有力デベロッパーとの協業による海外事業(ベトナム)のポテンシャルにも期待が持てる。今回のプロジェクトを契機として、いかにこれまで培ってきたノウハウや迅速な経営判断を活かし、さらなる展開に結び付けていけるかがポイントとなろう。いずれにせよ、今後さらに事業を拡大し、持続的な成長を実現していくためには、積み上げ型の収益モデルへの転換や海外展開は理にかなった戦略であり、同社はまさに次のステージに向けた変革期にあると捉えることできる。中長期的な目線から、(1)ホテルREIT設立を含めたホテル事業(稼働率)の回復に向けた動きや、(2)地方都市圏における戦略的投資の進捗、(3)海外事業(ベトナム)の動向や今後の展開などに注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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1. 2021年11月期の業績予想
2021年11月期の業績予想についてサムティ<3244>は、売上高を76,600百万円(前期比24.2%減)〜92,200百万円(同8.8%減)、営業利益を8,100百万円(同53.3%減)〜11,800百万円(同32.0%減)、経常利益を11,600百万円(同23.9%減)〜15,400百万円(同1.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益を10,700百万円(同0.8%増)〜12,000百万円(同13.0%増)と見込んでいる。レンジ予想となっているのは、外部環境の不透明感を踏まえ、確実性の高い販売計画を下限としたうえで、追加的な物件売却の可能性を上限として加味したものである。
売上高が上・下限ともに減収予想となっているのは、中期経営計画の見直しに従い、完成物件の早期売却から賃貸保有へと転換していくプロセスにおいて、物件売却数が一時的に減少することが理由である。下限における販売計画の前提は、開発流動化が16物件(前期は23物件)、再生流動化が25物件(同42物件)、その他(投資分譲)が2物件(同5物件)となっている。
一方、利益面では、減収に伴って営業利益段階では上・下限ともに大幅な減益となっており、営業利益率も10.6%〜12.8%(前期は17.2%)と大きく低下する見通しである。もっとも、事業スキームによる会計上の理由により、営業外損益として計上される利益(営業利益には反映されない利益)が約66億円発生することも影響している。したがって、経常利益段階では上限で増益となるとともに、経常利益率も15.1%〜16.7%(前期は15.1%)と前期以上の水準を確保する見通しであり、収益性の悪化を反映したものではないことに注意が必要である。
また、投資計画については、開発用地に約397億円(前期実績は222億円)、収益不動産に約640億円(同303億円)を予定しており、グループ資産拡大に向けて戦略的投資を継続していく方針である。
2. 弊社の見方
弊社でも、業績予想の下限は確実性の高いラインとして捉えており、どれだけ上限に近いところで着地できるかがポイントになると見ている。なお、収益構造の転換を進めるにあたって、当面は保有資産の積み上げを優先する(物件売却を抑える)ことが想定されるため、それに伴って売上高の伸びが一旦緩やかになる可能性があることに注意が必要である。したがって、戦略的な進捗を評価するためには、保有資産の拡大ペースや不動産賃貸事業(賃貸収入等)の伸びに着目することが妥当であろう。もっとも、原則3年以内の物件売却を予定していることから、最長でも3年後には売上高の伸びも回復していくことが想定される。また、現地の有力デベロッパーとの協業による海外事業(ベトナム)のポテンシャルにも期待が持てる。今回のプロジェクトを契機として、いかにこれまで培ってきたノウハウや迅速な経営判断を活かし、さらなる展開に結び付けていけるかがポイントとなろう。いずれにせよ、今後さらに事業を拡大し、持続的な成長を実現していくためには、積み上げ型の収益モデルへの転換や海外展開は理にかなった戦略であり、同社はまさに次のステージに向けた変革期にあると捉えることできる。中長期的な目線から、(1)ホテルREIT設立を含めたホテル事業(稼働率)の回復に向けた動きや、(2)地方都市圏における戦略的投資の進捗、(3)海外事業(ベトナム)の動向や今後の展開などに注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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