サムティ Research Memo(9):住宅や物流施設などは堅調に推移。低金利政策の長期化も追い風
[21/03/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■サムティ<3244>の業界環境
今後の成長戦略に重要な影響を及ぼすJ-REIT市場に目を向けると、2020年12月末の時価総額は約14兆3,974億円(前年比12.4%減)、銘柄数は62となっている。過去を振り返ると、リーマンショック後の金融引き締め等の影響により一旦低迷する局面があったものの、2012年以降は、国内景気の回復や長期にわたる金融緩和などにより拡大基調をたどってきた。ただ、2020年に入ってからは、コロナ禍による経済全体の停滞懸念を始め、インバウンド需要の低迷や移動制限、活動自粛などから、ホテルや商業施設などに対して慎重な姿勢がみられる一方、景気変動の影響を受けにくい住宅や物流施設などは堅調に推移しており、相場全体の底支えに貢献している。
東証REIT指数の動向についても、好調な国内不動産市況(賃料相場の上昇等)などからしばらく好調に推移してきた。特に、日銀による金融緩和政策の継続やこれまでの好調なオフィス需要などを背景として、国内外の機関投資家からは利回りを確保でき、キャッシュ・フローが比較的安定しているJ-REITに対する投資意欲は根強い。コロナ禍の影響により、2020年3月に一旦大きく落ち込んだものの、日銀の金融緩和の長期化期待等を背景として順調に回復してきた。
投資用マンションについては、入居者(利用者)及び投資家双方の旺盛な需要に支えられて好調に推移している。東京都総務局の公表データによると、同社の供給エリアの大部分を占める東京23区の人口は、東京都への転入超等を背景として増え続けている※。特に、若年層を含め、晩婚化や離婚率の増加などを背景として単身世帯の増加が目立っており、今後もワンルームマンションの賃貸需要を支えていくものと考えられる。また、この傾向は、大阪や名古屋はもちろん、福岡、札幌など地方大都市圏においてもみられており、国内人口が減少する一方で、人口の都市集中化が進んでいる。一方、投資家サイドでも、将来の年金受給や老後の生活不安を抱えた20〜30代の個人投資家や、基礎控除の引き下げによる相続税対策として高齢者からの需要が拡大している。加えて、都内一等地物件などに海外ファンドなどからの1棟買いの引き合いが強い。
※ただし、コロナ禍が本格化した2020年4月以降、月別の流出入動向では、東京都への移住の見合わせや在宅勤務の増加などにより流出超過へと転じる状況も見られ、その結果、2020年12月末の人口(東京23区)は前年比で微増にとどまった。ただ、中長期的に見れば、雇用機会や都市機能などの面で東京都の魅力度は依然として高く、コロナ禍の収束とともに一極集中を避ける動きも落ち着いてくるとの見方ができる。
一方、ホテル及びオフィスの開発事業について目を向けると、ホテルはインバウンド需要の拡大等を背景として高い稼働率が続いてきた。ただ、足元ではコロナ禍の影響を大きく受け、ホテル稼働率は大きく低下しているが、中長期的に見れば、政府による観光立国政策や構造的な需給バランスにより、回復に向かうものと考えられる。また、オフィスについても、働き方の変化(リモートワークやサテライトオフィスの普及など)による影響には注意する必要があるものの、同社が展開する地方大都市圏においてオフィス不足は深刻な状況にあり、ビジネス機会は十分にあると捉えることができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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今後の成長戦略に重要な影響を及ぼすJ-REIT市場に目を向けると、2020年12月末の時価総額は約14兆3,974億円(前年比12.4%減)、銘柄数は62となっている。過去を振り返ると、リーマンショック後の金融引き締め等の影響により一旦低迷する局面があったものの、2012年以降は、国内景気の回復や長期にわたる金融緩和などにより拡大基調をたどってきた。ただ、2020年に入ってからは、コロナ禍による経済全体の停滞懸念を始め、インバウンド需要の低迷や移動制限、活動自粛などから、ホテルや商業施設などに対して慎重な姿勢がみられる一方、景気変動の影響を受けにくい住宅や物流施設などは堅調に推移しており、相場全体の底支えに貢献している。
東証REIT指数の動向についても、好調な国内不動産市況(賃料相場の上昇等)などからしばらく好調に推移してきた。特に、日銀による金融緩和政策の継続やこれまでの好調なオフィス需要などを背景として、国内外の機関投資家からは利回りを確保でき、キャッシュ・フローが比較的安定しているJ-REITに対する投資意欲は根強い。コロナ禍の影響により、2020年3月に一旦大きく落ち込んだものの、日銀の金融緩和の長期化期待等を背景として順調に回復してきた。
投資用マンションについては、入居者(利用者)及び投資家双方の旺盛な需要に支えられて好調に推移している。東京都総務局の公表データによると、同社の供給エリアの大部分を占める東京23区の人口は、東京都への転入超等を背景として増え続けている※。特に、若年層を含め、晩婚化や離婚率の増加などを背景として単身世帯の増加が目立っており、今後もワンルームマンションの賃貸需要を支えていくものと考えられる。また、この傾向は、大阪や名古屋はもちろん、福岡、札幌など地方大都市圏においてもみられており、国内人口が減少する一方で、人口の都市集中化が進んでいる。一方、投資家サイドでも、将来の年金受給や老後の生活不安を抱えた20〜30代の個人投資家や、基礎控除の引き下げによる相続税対策として高齢者からの需要が拡大している。加えて、都内一等地物件などに海外ファンドなどからの1棟買いの引き合いが強い。
※ただし、コロナ禍が本格化した2020年4月以降、月別の流出入動向では、東京都への移住の見合わせや在宅勤務の増加などにより流出超過へと転じる状況も見られ、その結果、2020年12月末の人口(東京23区)は前年比で微増にとどまった。ただ、中長期的に見れば、雇用機会や都市機能などの面で東京都の魅力度は依然として高く、コロナ禍の収束とともに一極集中を避ける動きも落ち着いてくるとの見方ができる。
一方、ホテル及びオフィスの開発事業について目を向けると、ホテルはインバウンド需要の拡大等を背景として高い稼働率が続いてきた。ただ、足元ではコロナ禍の影響を大きく受け、ホテル稼働率は大きく低下しているが、中長期的に見れば、政府による観光立国政策や構造的な需給バランスにより、回復に向かうものと考えられる。また、オフィスについても、働き方の変化(リモートワークやサテライトオフィスの普及など)による影響には注意する必要があるものの、同社が展開する地方大都市圏においてオフィス不足は深刻な状況にあり、ビジネス機会は十分にあると捉えることができる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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