ケアネット Research Memo(4):提携を通じてコンテンツが拡充。会員増を通じて医薬品営業支援の訴求力もアップ
[21/03/05]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年12月期の業績見通し
ケアネット<2150>の2021年12月期通期(2021年1月-12月)の連結業績は、売上高で前期比13.1%増の6,000百万円、営業利益で同12.6%増の1,700百万円、経常利益で同12.3%増の1,692百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同30.8%増の1,066百万円を予想している。足元の市場拡大とそれに伴う収益増加を踏まえるとやや保守的な水準であると弊社は見ている。ただ、コロナ禍で不透明となっている事業環境を踏まえると、保守的な予想の分、会計期間中に業績予想が下方修正される可能性は一定程度抑えられ、そのような点で弊社はポジティブに考える。
2021年12月期の同社全体の取り組みとしては、先端技術を持ったベンチャー企業や、AI・デジタルヘルスケアに関連した事業に対して、企業買収や戦略的提携、資本参加を積極的に進める計画だ。また、事業部から法人へと格上げした、医師の働き方改革を支援するキャリア事業の拡大にも注力する。費用面においては、2020年12月期に引き続き、スペシャリティ医薬品に適したサービス・新規事業の開発投資・人員強化を進めるとしている。
2. 医薬品営業支援サービス
同サービスにおいては、製薬企業向けの既存サービスの販売体制強化、各製薬企業に合わせた高付加価値なサービス提供、製薬企業向けオウンドサイト支援の新規参画を図る。製薬企業向けオウンドサイト支援とは、製薬企業が自社で販促サイトを構築する際に、SEOや流入の面で技術的に支援するサービスのことである。また、コンプライアンス規制の厳格化など厳しい営業環境が続く製薬企業のニーズに応えるため、スペシャリティ医薬品に適した高品質なサービスの開発も継続する。
競合他社との差別化戦略として、同社はスペシャリティ医薬領域における疾患啓発・教育系サービスを強化している。例えば、疾患啓発では臨床医学動画メディア「MEDuLiTe」のコンテンツ拡充を進めていく。「MEDuLiTe」は2016年7月より開始したサービスで、主にスペシャリティ医薬品領域をターゲットにし、専門医に対して「新発売する医薬品に関連する疾患領域を印象付け、期待感を醸成し、処方に向けての準備をしてほしい」という製薬企業のニーズに応えるプロモーション施策となる。
そのほか、同社は他社との提携も推進しており、コンテンツの拡充や品質の継続的な改善を通じて「CareNeTV」の会員は今後も増加すると弊社は考える。それは直接的に医薬品営業支援サービスの付加価値も高めることにつながり、拡大する市場のなかで顧客を取り込んでいくうえでの大きな強みになる。コロナ禍を背景としたWeb講演会の需要拡大などに応えるほか、必要なツールを投資して同社内ではテレワーク体制も迅速に整備しており、外部環境に合わせた戦略を柔軟に吟味・執行できる事業運営体制も本質的な強みであると弊社は評価する。
製薬企業の経営DX化に取り組む製薬企業が増えるなか、eプロモーションを中心としたデジタル経営に関する様々な相談・依頼が寄せられており、サービスの裾野は販促領域だけでなく顧客企業の経営にまで広がる見通しだ。主力のeプロモーションはもちろん、製薬企業の多様なニーズに応える新サービスの開発・提供も今後注目すべきであると弊社は考える。
3. 医療コンテンツサービス
「CareNeTV」に関しては有料会員向けのサービスを強化し、会員数の増加を目指す。医師向けの教育コンテンツでは業界でも質・量ともにトップクラスであることを自負しており、今後医師の「生涯教育」をテーマとしたプログラムを企画・制作することで更なる差別化が可能だ。2020年12月末現在、「CareNeTV」は有料会員数5,452人で年間約3億円の売上規模となっている。2020年12月末までの伸びは特に大きく、2019年12月末時点から約1,000人増加した。コンテンツ1本当たりの制作コストは変わらないため、有料会員数が増えれば単純な足し算による増収のほか、利益率も向上することになり、今後の動向が注目される。
足元では医書ジェーピーと業務提携したことで、2020年11月からシステムを連携させたサービスを開始した。医書ジェーピーは7,000点以上の医学専門電子書籍を販売・配信するサービス「医書.jp」を運営しており、アンケートなどに協力した会員にケアネットポイントを発行する。同提携により、「医書.jp」に登録したケアネット医師会員は「CareNet.com」で貯めたポイントで「医書.jp」が提供する医学専門出版社40社以上の電子書籍・雑誌を購入できる。こうした一連のサービス強化を通じて「CareNet.com」の会員増加は加速し、結果として医薬営業支援サービスの「MRPlus」の価値も高まるといった連鎖効果が期待できると弊社は考える。
また、新規サービスとして2020年6月より「医業承継支援サービス」を開始した。ここ数年、クリニックを中心に医療機関で後継者不在の問題が顕在化し始めるなか、同社は新規開業を希望する医師をマッチングさせている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
<EY>
1. 2021年12月期の業績見通し
ケアネット<2150>の2021年12月期通期(2021年1月-12月)の連結業績は、売上高で前期比13.1%増の6,000百万円、営業利益で同12.6%増の1,700百万円、経常利益で同12.3%増の1,692百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同30.8%増の1,066百万円を予想している。足元の市場拡大とそれに伴う収益増加を踏まえるとやや保守的な水準であると弊社は見ている。ただ、コロナ禍で不透明となっている事業環境を踏まえると、保守的な予想の分、会計期間中に業績予想が下方修正される可能性は一定程度抑えられ、そのような点で弊社はポジティブに考える。
2021年12月期の同社全体の取り組みとしては、先端技術を持ったベンチャー企業や、AI・デジタルヘルスケアに関連した事業に対して、企業買収や戦略的提携、資本参加を積極的に進める計画だ。また、事業部から法人へと格上げした、医師の働き方改革を支援するキャリア事業の拡大にも注力する。費用面においては、2020年12月期に引き続き、スペシャリティ医薬品に適したサービス・新規事業の開発投資・人員強化を進めるとしている。
2. 医薬品営業支援サービス
同サービスにおいては、製薬企業向けの既存サービスの販売体制強化、各製薬企業に合わせた高付加価値なサービス提供、製薬企業向けオウンドサイト支援の新規参画を図る。製薬企業向けオウンドサイト支援とは、製薬企業が自社で販促サイトを構築する際に、SEOや流入の面で技術的に支援するサービスのことである。また、コンプライアンス規制の厳格化など厳しい営業環境が続く製薬企業のニーズに応えるため、スペシャリティ医薬品に適した高品質なサービスの開発も継続する。
競合他社との差別化戦略として、同社はスペシャリティ医薬領域における疾患啓発・教育系サービスを強化している。例えば、疾患啓発では臨床医学動画メディア「MEDuLiTe」のコンテンツ拡充を進めていく。「MEDuLiTe」は2016年7月より開始したサービスで、主にスペシャリティ医薬品領域をターゲットにし、専門医に対して「新発売する医薬品に関連する疾患領域を印象付け、期待感を醸成し、処方に向けての準備をしてほしい」という製薬企業のニーズに応えるプロモーション施策となる。
そのほか、同社は他社との提携も推進しており、コンテンツの拡充や品質の継続的な改善を通じて「CareNeTV」の会員は今後も増加すると弊社は考える。それは直接的に医薬品営業支援サービスの付加価値も高めることにつながり、拡大する市場のなかで顧客を取り込んでいくうえでの大きな強みになる。コロナ禍を背景としたWeb講演会の需要拡大などに応えるほか、必要なツールを投資して同社内ではテレワーク体制も迅速に整備しており、外部環境に合わせた戦略を柔軟に吟味・執行できる事業運営体制も本質的な強みであると弊社は評価する。
製薬企業の経営DX化に取り組む製薬企業が増えるなか、eプロモーションを中心としたデジタル経営に関する様々な相談・依頼が寄せられており、サービスの裾野は販促領域だけでなく顧客企業の経営にまで広がる見通しだ。主力のeプロモーションはもちろん、製薬企業の多様なニーズに応える新サービスの開発・提供も今後注目すべきであると弊社は考える。
3. 医療コンテンツサービス
「CareNeTV」に関しては有料会員向けのサービスを強化し、会員数の増加を目指す。医師向けの教育コンテンツでは業界でも質・量ともにトップクラスであることを自負しており、今後医師の「生涯教育」をテーマとしたプログラムを企画・制作することで更なる差別化が可能だ。2020年12月末現在、「CareNeTV」は有料会員数5,452人で年間約3億円の売上規模となっている。2020年12月末までの伸びは特に大きく、2019年12月末時点から約1,000人増加した。コンテンツ1本当たりの制作コストは変わらないため、有料会員数が増えれば単純な足し算による増収のほか、利益率も向上することになり、今後の動向が注目される。
足元では医書ジェーピーと業務提携したことで、2020年11月からシステムを連携させたサービスを開始した。医書ジェーピーは7,000点以上の医学専門電子書籍を販売・配信するサービス「医書.jp」を運営しており、アンケートなどに協力した会員にケアネットポイントを発行する。同提携により、「医書.jp」に登録したケアネット医師会員は「CareNet.com」で貯めたポイントで「医書.jp」が提供する医学専門出版社40社以上の電子書籍・雑誌を購入できる。こうした一連のサービス強化を通じて「CareNet.com」の会員増加は加速し、結果として医薬営業支援サービスの「MRPlus」の価値も高まるといった連鎖効果が期待できると弊社は考える。
また、新規サービスとして2020年6月より「医業承継支援サービス」を開始した。ここ数年、クリニックを中心に医療機関で後継者不在の問題が顕在化し始めるなか、同社は新規開業を希望する医師をマッチングさせている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 石津大希)
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