ネクスグループ Research Memo(6):2020年11月期はコロナ禍の影響を受けるもIoT関連事業は伸長(2)
[21/03/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ネクスグループ<6634>の業績動向
2. セグメント別動向
(1) IoT関連事業
IoT関連事業全体では、既述のとおり、「UX302NC-R」が(株)NTTドコモの取扱製品として広く認知されたことと、在宅勤務などのテレワークの導入企業の増加に伴い販売が伸長しており、売上高は1,356百万円(前期比9.1%増)、営業利益は204百万円(同76.6%増)と大きく伸長した。
ネクスでは、培ってきた自動車テレマティクスをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指している。例えば、画像認識分野では、AIコンピューティングの分野で様々なプラットフォームを提供しているNVIDIA Corporationが提供するGPU(画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置)を利用した、リアルタイム画像認識技術の開発を行っている。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野での活用や工場ラインでの不良品検出、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に活用できる技術であり、将来性が期待される。また、画像認識に関する研究開発は、自社の農業ICT事業でも、非接触でのトマトの糖度識別や収穫期のトマトの検知、最終的には自動収穫を行うロボット開発までを予定している。
既存製品については、米国政府機関による中国の華為技術(Huawei)など5社に対する調達禁止措置により、該当5社からの部品採用を行っていない同社製品への切り替え需要が増加している。今後の動向については引き続き注視しながら、市場ニーズに対応した製品群の更なる拡充に取り組み、今後普及が見込まれるLPWA※や次世代通信規格5Gなど、モバイルコンピューティングや高付加価値通信デバイスとソフトウェアの融合により自動車テレマティクスソリューションやその他の様々なソリューションの提供を行っていく。
※Low Power Wide Areaの略。消費電力を抑えて遠距離通信を実現する通信方式のことで、IoTの構成要素の1つとして注目されている。
農業ICT事業(NCXX FARM)については、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進している。「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)や、加工品の「GOLDEN BERRYアイス」、2020年9月には本社がある岩手県花巻市の地場企業との協業により、ゴールデンベリーのクラフトビールを製造・販売開始し好評である。
また、「フランチャイズ事業」では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加え、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品の提供を行う農業総合コンサルティングサービスを開始した(詳細は後述)。
(2) インターネット旅行事業
インターネット旅行事業全体では、売上高は625百万円(前期比76.3%減)、営業損失は140百万円(前期は13百万円の損失)となった。取り扱う旅行の大半が海外旅行であるため、コロナ禍による海外渡航制限の影響を受けた。その後、国内旅行需要喚起策である「Go Toトラベルキャンペーン」でやや持ち直しの気配を見せているものの、足元の販売環境は厳しくなっている。ただし、旅行の提案・プランニングは旅のエキスパートである外部のトラベルコンシェルジュ(約600人)であるなど、固定費の割合が小さいビジネスモデルである。したがって、他の旅行代理店と比較すると損益の影響は限定的である。
イー・旅ネット・ドット・コム及びその子会社では、コロナ禍で旅行需要が大幅に変化するなかで、国内旅行の強化及びアフターコロナに向けた海外旅行の情報提供、オンラインでのセミナー開催などに資源を集中し、サイトのフルリニューアルと自治体向けの情報提供サービスを開始した。
グロリアツアーズでは、2021年に開催延期となった東京パラリンピックに向け、主に国内大会のサポートや強化合宿の需要が増加した。また、パラスポーツ選手・人材をキャスティングするサービスや、パラスポーツの普及に向けたYouTube動画を公式チャンネルで配信を開始した。フランス語留学においては、国内でのスクーリング授業の開催や現地とのオンライン留学を開催した。
ウェブトラベルでは、「Go Toトラベルキャンペーン」においてオーダーメイドでの国内旅行の積極的な取り組みを推進したことに加え、分散型旅の「海外旅行のように過ごす新しい国内旅行」やワーケーション、日本一周など他社との差別化を意識したサイトを立ち上げた。また、トラベルコンシェルジュが旅行以外の特技を活かせる場として始めたクラウドソーシング事業(翻訳など)も対応できる幅を広げるため、スキルを重視したクラウドソーシング専門のコンシェルジュの募集を新たに実施し、グループ内からの受注を強化するとともに、グループ外の営業を進めている。一例を挙げると、ツアー経験を活かした講演会の開催や旅行ガイドブックの出版などがある。
(3) ブランドリテールプラットフォーム事業
ブランドリテールプラットフォーム事業全体では、売上高は4,540百万円(前期比21.4%減)、営業損失は364百万円(前期は423百万円の損失)となった。コロナ禍の影響で、リアル店舗における一時休業・時短営業や来客数減少により、売上高は大幅に減少した。一方で、前期から継続して進めている構造改革によって、固定費の抑制を進めたことで、損失幅は減少した。
チチカカは、店舗事業においては2020年10月末時点で72店舗体制(前期末比20店舗減)、EC事業で8店舗体制となっている。前期に引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めている。コロナ禍の影響により店舗事業においては、2020年3月の営業自粛要請による時短営業及び来店客数減少により売上が減少し、一時的には週間売上が前年比で最大90%減の状態まで至った。その後、6月には緊急事態宣言解除に伴う反動需要及び6月中旬に実施した創業祭で売上は好調に推移したが、7月以降の感染症再拡大により再び来店客数が減少するなど、一進一退が続いた。
一方でオンライン事業は計画比113%と好調に推移した。緊急事態宣言発出による自粛期間に開始したスタッフによるコーディネイトで顧客が増加した。また、追加施策として、店舗で撮影した商品詳細がわかる動画をオンライン店舗及び自社アプリに掲載し、更なる売上向上を図る。
(4) 暗号資産・ブロックチェーン事業
暗号資産・ブロックチェーン事業では、売上高は30百万円(前期比213.4%増)、営業利益は18百万円(前期は16百万円の損失)となった。本事業では、引き続きAI技術を利用した暗号資産のトレーディングシステムの開発を継続していく。開発に伴うトレーディングシステムの試験運用に関しては、暗号資産市場の動向を踏まえた資金効率を意識した運用を行っていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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2. セグメント別動向
(1) IoT関連事業
IoT関連事業全体では、既述のとおり、「UX302NC-R」が(株)NTTドコモの取扱製品として広く認知されたことと、在宅勤務などのテレワークの導入企業の増加に伴い販売が伸長しており、売上高は1,356百万円(前期比9.1%増)、営業利益は204百万円(同76.6%増)と大きく伸長した。
ネクスでは、培ってきた自動車テレマティクスをはじめとする様々な分野に対するIoT技術をベースに「IoT×ブロックチェーン技術」、「IoT×AI技術」など、「IoT×新技術」を活用した新たなサービスの提供を目指している。例えば、画像認識分野では、AIコンピューティングの分野で様々なプラットフォームを提供しているNVIDIA Corporationが提供するGPU(画像処理やディープラーニングに不可欠な並列演算処理を行う演算装置)を利用した、リアルタイム画像認識技術の開発を行っている。リアルタイム画像認識技術は、顔認証システムや監視カメラの映像分析などのセキュリティ分野での活用や工場ラインでの不良品検出、自動車の自動運転や運転アシストなど様々な分野に活用できる技術であり、将来性が期待される。また、画像認識に関する研究開発は、自社の農業ICT事業でも、非接触でのトマトの糖度識別や収穫期のトマトの検知、最終的には自動収穫を行うロボット開発までを予定している。
既存製品については、米国政府機関による中国の華為技術(Huawei)など5社に対する調達禁止措置により、該当5社からの部品採用を行っていない同社製品への切り替え需要が増加している。今後の動向については引き続き注視しながら、市場ニーズに対応した製品群の更なる拡充に取り組み、今後普及が見込まれるLPWA※や次世代通信規格5Gなど、モバイルコンピューティングや高付加価値通信デバイスとソフトウェアの融合により自動車テレマティクスソリューションやその他の様々なソリューションの提供を行っていく。
※Low Power Wide Areaの略。消費電力を抑えて遠距離通信を実現する通信方式のことで、IoTの構成要素の1つとして注目されている。
農業ICT事業(NCXX FARM)については、農作物の生産、加工、販売を行う「6次産業化事業」と、特許農法による「化学的土壌マネジメント」+ICTシステムによる「デジタル管理」のパッケージ販売を行う「フランチャイズ事業」の事業化を推進している。「6次産業化事業」では、スーパーフードとして人気の高いGOLDEN BERRY(食用ほおずき)や、加工品の「GOLDEN BERRYアイス」、2020年9月には本社がある岩手県花巻市の地場企業との協業により、ゴールデンベリーのクラフトビールを製造・販売開始し好評である。
また、「フランチャイズ事業」では、自社試験圃場での栽培実績をもとに、独自の特許農法(多段式ポット)とICTシステムの提供に加え、顧客の要望に沿った多種多様な農法・システム・農業関連製品の提供を行う農業総合コンサルティングサービスを開始した(詳細は後述)。
(2) インターネット旅行事業
インターネット旅行事業全体では、売上高は625百万円(前期比76.3%減)、営業損失は140百万円(前期は13百万円の損失)となった。取り扱う旅行の大半が海外旅行であるため、コロナ禍による海外渡航制限の影響を受けた。その後、国内旅行需要喚起策である「Go Toトラベルキャンペーン」でやや持ち直しの気配を見せているものの、足元の販売環境は厳しくなっている。ただし、旅行の提案・プランニングは旅のエキスパートである外部のトラベルコンシェルジュ(約600人)であるなど、固定費の割合が小さいビジネスモデルである。したがって、他の旅行代理店と比較すると損益の影響は限定的である。
イー・旅ネット・ドット・コム及びその子会社では、コロナ禍で旅行需要が大幅に変化するなかで、国内旅行の強化及びアフターコロナに向けた海外旅行の情報提供、オンラインでのセミナー開催などに資源を集中し、サイトのフルリニューアルと自治体向けの情報提供サービスを開始した。
グロリアツアーズでは、2021年に開催延期となった東京パラリンピックに向け、主に国内大会のサポートや強化合宿の需要が増加した。また、パラスポーツ選手・人材をキャスティングするサービスや、パラスポーツの普及に向けたYouTube動画を公式チャンネルで配信を開始した。フランス語留学においては、国内でのスクーリング授業の開催や現地とのオンライン留学を開催した。
ウェブトラベルでは、「Go Toトラベルキャンペーン」においてオーダーメイドでの国内旅行の積極的な取り組みを推進したことに加え、分散型旅の「海外旅行のように過ごす新しい国内旅行」やワーケーション、日本一周など他社との差別化を意識したサイトを立ち上げた。また、トラベルコンシェルジュが旅行以外の特技を活かせる場として始めたクラウドソーシング事業(翻訳など)も対応できる幅を広げるため、スキルを重視したクラウドソーシング専門のコンシェルジュの募集を新たに実施し、グループ内からの受注を強化するとともに、グループ外の営業を進めている。一例を挙げると、ツアー経験を活かした講演会の開催や旅行ガイドブックの出版などがある。
(3) ブランドリテールプラットフォーム事業
ブランドリテールプラットフォーム事業全体では、売上高は4,540百万円(前期比21.4%減)、営業損失は364百万円(前期は423百万円の損失)となった。コロナ禍の影響で、リアル店舗における一時休業・時短営業や来客数減少により、売上高は大幅に減少した。一方で、前期から継続して進めている構造改革によって、固定費の抑制を進めたことで、損失幅は減少した。
チチカカは、店舗事業においては2020年10月末時点で72店舗体制(前期末比20店舗減)、EC事業で8店舗体制となっている。前期に引き続き、不採算店舗の閉店や人員体制の見直しなどによる構造改革を進めている。コロナ禍の影響により店舗事業においては、2020年3月の営業自粛要請による時短営業及び来店客数減少により売上が減少し、一時的には週間売上が前年比で最大90%減の状態まで至った。その後、6月には緊急事態宣言解除に伴う反動需要及び6月中旬に実施した創業祭で売上は好調に推移したが、7月以降の感染症再拡大により再び来店客数が減少するなど、一進一退が続いた。
一方でオンライン事業は計画比113%と好調に推移した。緊急事態宣言発出による自粛期間に開始したスタッフによるコーディネイトで顧客が増加した。また、追加施策として、店舗で撮影した商品詳細がわかる動画をオンライン店舗及び自社アプリに掲載し、更なる売上向上を図る。
(4) 暗号資産・ブロックチェーン事業
暗号資産・ブロックチェーン事業では、売上高は30百万円(前期比213.4%増)、営業利益は18百万円(前期は16百万円の損失)となった。本事業では、引き続きAI技術を利用した暗号資産のトレーディングシステムの開発を継続していく。開発に伴うトレーディングシステムの試験運用に関しては、暗号資産市場の動向を踏まえた資金効率を意識した運用を行っていく。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 山田秀樹)
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