エリアリンク Research Memo(1):ストレージ運用を事業の柱とし、景気変動に強い会社を目指す
[21/03/10]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
エリアリンク<8914>は、「ハローストレージ」のブランドで知られるストレージ業界のトップ企業である。同社は、ストレージを通じて人々の豊かな暮らしに貢献すること、ストック型ビジネスで中長期的に安定成長を実現すること、ESG経営を推進し社会課題を解決することを目指している。少数精鋭の経営体制を維持しながら、安定収益を生むストレージ運用を事業の柱としており、景気変動に関わらず長期的に着実な利益成長を続けることで、業界の一層の発展をリードする考えだ。なおコア事業であるストレージ事業に加え、土地権利整備事業及びその他運用サービス事業を推進している。
1. 2020年12月期業績概要
2020年12月期業績は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)という厳しい経営環境のなかでもおおむね期初計画通りの決算となり、売上高22,477百万円(前期比23.4%減)、営業利益2,275百万円(同24.9%減)、経常利益2,161百万円(同28.0%減)の減収減益となった。前期に計上したビル売却益やストレージ流動化益など、一過性の利益がなくなったことが営業減益の主因だ。また、土地権利整備事業も在庫圧縮に伴い利益率が低下した。一方で、コア事業のストレージ運用は大幅増益となり、全体の業績を下支えしている。これは、コロナ禍の影響からストレージ事業の総室数は微増にとどまったものの、稼働率は80.66%と過去10年の最高水準に達したためである。なお、当期純利益は2,225百万円(前期は1,753百万円の損失)と黒字転換を果たした。これは、2019年12月期に計上した買戻損失引当金のうち、当期に買い戻さないことが確定したコンテナに対する引当金を取り崩すことで、買戻損失引当金戻入益を計上したことによる。この結果、自己資本比率は44.6%に上昇し、東証1部不動産業平均の30.7%を大きく上回る高い健全性を維持している。また、収益性においても、ROA5.2%、ROE12.9%と、東証1部不動産業平均の4.3%、8.5%を上回る。
2. 2021年12月期業績見通し
2021年12月期業績見通しについては、売上高19,700百万円(前期比12.4%減)、営業利益2,500百万円(同9.8%増)、経常利益2,400百万円(同11.0%増)、当期純利益1,400百万円(同37.1%減)と減収増益を見込んでいる。なお、当期純利益についても、前期に計上した特別利益の影響を除けば実質は増益となる。コア事業のストレージ事業は、安定的なストック収入が中心であり、自社投資で出店した物件の稼働率向上により収益性が押し上がることで、増収増益を見込む。一方、土地権利整備事業は、質の良い底地仕入れと販売活動に転換するため、減収減益を見込む。同社では、例年期初計画は慎重な予想を発表する傾向が強いため、前期のように経営環境が悪化することがなければ、目標を達成する可能性が高いと弊社では見ている。なお、1株当たり年間配当金は前期比3.0円増配の34.0円、配当性向は30.7%を予定している。
3. 中期経営計画
2021年2月に新たに発表した「中期経営計画21-23」(2021年12月期〜2023年12月期)では、2023年12月期に売上高23,800百万円(2020年12月期比5.9%増)、営業利益3,200百万円(同40.6%増)、経常利益3,100百万円(同43.4%増)と、コロナ禍でも毎年確実に10%以上の増益を目指す考えだ。ただし、計画の前提となるストレージの新規出店室数を控えめにしており、保守的な予想と言えよう。なお、計画達成に向けては、ストレージ運用を中心とした経営を継続する。すなわち、自社保有を進めることで収益性の改善を図ることに加え、小型木造の「ストレージミニ(仮称)」の出店や、住居利用可能な「ハロービズストレージ」といった新商品の展開を予定している。また、土地権利整備事業では、地代収入による利回りを目的とした不動産投資家への底地販売や、借地権を買取り、建物(アパート等)をリニューアルして保有・販売するなど、新スタイルの確立・展開を目指す。加えて、業界のリーディングカンパニーとして、ESG経営を推進し、利益追求と同時に顧客や株主の役に立つことを目指していることにも注目したい。
■Key Points
・ストレージ業界のトップ企業。少数精鋭の経営体制で、ストレージ事業を軸に、長期的に着実な利益成長を目指す
・2020年12月期業績はストレージ運用が大幅増益となったことで、減収減益も黒字転換を実現
・2021年12月期業績はストック型ビジネスへの移行により減収増益を見込む
・新中期経営計画では、2023年12月期に売上高23,800百万円、営業利益3,200百万円、経常利益3,100百万円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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エリアリンク<8914>は、「ハローストレージ」のブランドで知られるストレージ業界のトップ企業である。同社は、ストレージを通じて人々の豊かな暮らしに貢献すること、ストック型ビジネスで中長期的に安定成長を実現すること、ESG経営を推進し社会課題を解決することを目指している。少数精鋭の経営体制を維持しながら、安定収益を生むストレージ運用を事業の柱としており、景気変動に関わらず長期的に着実な利益成長を続けることで、業界の一層の発展をリードする考えだ。なおコア事業であるストレージ事業に加え、土地権利整備事業及びその他運用サービス事業を推進している。
1. 2020年12月期業績概要
2020年12月期業績は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)という厳しい経営環境のなかでもおおむね期初計画通りの決算となり、売上高22,477百万円(前期比23.4%減)、営業利益2,275百万円(同24.9%減)、経常利益2,161百万円(同28.0%減)の減収減益となった。前期に計上したビル売却益やストレージ流動化益など、一過性の利益がなくなったことが営業減益の主因だ。また、土地権利整備事業も在庫圧縮に伴い利益率が低下した。一方で、コア事業のストレージ運用は大幅増益となり、全体の業績を下支えしている。これは、コロナ禍の影響からストレージ事業の総室数は微増にとどまったものの、稼働率は80.66%と過去10年の最高水準に達したためである。なお、当期純利益は2,225百万円(前期は1,753百万円の損失)と黒字転換を果たした。これは、2019年12月期に計上した買戻損失引当金のうち、当期に買い戻さないことが確定したコンテナに対する引当金を取り崩すことで、買戻損失引当金戻入益を計上したことによる。この結果、自己資本比率は44.6%に上昇し、東証1部不動産業平均の30.7%を大きく上回る高い健全性を維持している。また、収益性においても、ROA5.2%、ROE12.9%と、東証1部不動産業平均の4.3%、8.5%を上回る。
2. 2021年12月期業績見通し
2021年12月期業績見通しについては、売上高19,700百万円(前期比12.4%減)、営業利益2,500百万円(同9.8%増)、経常利益2,400百万円(同11.0%増)、当期純利益1,400百万円(同37.1%減)と減収増益を見込んでいる。なお、当期純利益についても、前期に計上した特別利益の影響を除けば実質は増益となる。コア事業のストレージ事業は、安定的なストック収入が中心であり、自社投資で出店した物件の稼働率向上により収益性が押し上がることで、増収増益を見込む。一方、土地権利整備事業は、質の良い底地仕入れと販売活動に転換するため、減収減益を見込む。同社では、例年期初計画は慎重な予想を発表する傾向が強いため、前期のように経営環境が悪化することがなければ、目標を達成する可能性が高いと弊社では見ている。なお、1株当たり年間配当金は前期比3.0円増配の34.0円、配当性向は30.7%を予定している。
3. 中期経営計画
2021年2月に新たに発表した「中期経営計画21-23」(2021年12月期〜2023年12月期)では、2023年12月期に売上高23,800百万円(2020年12月期比5.9%増)、営業利益3,200百万円(同40.6%増)、経常利益3,100百万円(同43.4%増)と、コロナ禍でも毎年確実に10%以上の増益を目指す考えだ。ただし、計画の前提となるストレージの新規出店室数を控えめにしており、保守的な予想と言えよう。なお、計画達成に向けては、ストレージ運用を中心とした経営を継続する。すなわち、自社保有を進めることで収益性の改善を図ることに加え、小型木造の「ストレージミニ(仮称)」の出店や、住居利用可能な「ハロービズストレージ」といった新商品の展開を予定している。また、土地権利整備事業では、地代収入による利回りを目的とした不動産投資家への底地販売や、借地権を買取り、建物(アパート等)をリニューアルして保有・販売するなど、新スタイルの確立・展開を目指す。加えて、業界のリーディングカンパニーとして、ESG経営を推進し、利益追求と同時に顧客や株主の役に立つことを目指していることにも注目したい。
■Key Points
・ストレージ業界のトップ企業。少数精鋭の経営体制で、ストレージ事業を軸に、長期的に着実な利益成長を目指す
・2020年12月期業績はストレージ運用が大幅増益となったことで、減収減益も黒字転換を実現
・2021年12月期業績はストック型ビジネスへの移行により減収増益を見込む
・新中期経営計画では、2023年12月期に売上高23,800百万円、営業利益3,200百万円、経常利益3,100百万円を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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