ピーバン Research Memo(1):「P板.com」を通じたプリント基板製造サービスからEMS事業へと領域を拡大
[21/03/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
ピーバンドットコム<3559>は、試作・小ロットから量産製造まで、さまざまな用途のプリント基板を安価に提供するECプラットフォーム「P板.com(ピーバンドットコム)」を運営する企業である。製造・設計・実装まですべて外部委託で提供するファブレス企業で製造委託先は国内外に30社程度ある。顧客となる登録ユーザー数は2020年12月末で60,478人、利用社数で約2.4万社と顧客基盤は安定しており、業界別売上高も自動車やFA機器・通信機器・医療機器・OA機器・家電など偏りなく分散されている。2020年3月期より新規事業としてEMS(電子機器受託製造サービス)事業を開始し、2021年3月期より専門人材を採用して本格的に営業活動をスタートしている。
1. 2021年3月期第3四半期累計業績の概要
2021年3月期第3四半期累計(2020年4月-12月)業績は、売上高で前年同期比12.5%減の1,377百万円、営業利益で同41.7%減の113百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による設備投資抑制の影響で産業用電子機器の新規開発需要が冷え込み、減収要因となった。利益面では減収に加えて、価格戦略を実施した影響で売上総利益率が前年同期比1.5ポイント低下したこと、またEMS事業やシステム開発における人材採用に伴う人件費の増加が減益要因となった。
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期は売上高で前期比9.9%減の1,923百万円、営業利益で同25.9%減の182百万円と2期連続の減益となる見通しとしている。四半期ベースで見ると、売上高は第2四半期の441百万円を底に、第3四半期は483百万円と回復に転じており、需要最盛期となる第4四半期も545百万円と回復トレンドが続く見通しとなっている。また利益面では、テレワークの継続による経費削減効果等により、第4四半期の営業利益は前年同期比32.7%増の69百万円と増益に転じる見通しとなっている。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、EMS事業で新規顧客の開拓を進め、これら顧客から試作・小ロット用のプリント基板の受注を取り込んでいくことを狙っている。EMS事業では専門人材を2名採用しており、既に工場や施設内の電気使用量を監視するためのIoTセンサモジュールの受注を獲得するなど実績も出始めている。国内の試作品及び産業用電子機器向け少量生産リピート市場の市場規模は約1,500億円となっており潜在需要は大きい。特に大手企業の顧客開拓が鍵を握ることになる。また受注可能なプリント基板のラインアップ拡充により、売上規模の拡大を図っていく。2019年にメタル放熱基板や100層までの高多層基板のサービスを開始したが、2021年1月からは新たに多層フレキシブル基板もラインアップに追加した。IoT関連機器やウェアラブルデバイスなど成長分野からの受注を見込んでいる。また、アライアンスやM&Aによる事業拡大も前向きに検討しているようだ。2021年3月期の決算発表に合わせて中長期経営計画も発表する予定としているが、既存事業では年率2ケタ成長を目標に事業戦略を策定しているもようで、その内容が注目される。
■Key Points
・プリント基板のECプラットフォーム「P板.com」の運営会社として成長
・2021年3月期は減収減益見通しだが、第4四半期の営業利益は経費削減効果も寄与し2ケタ増益に転じる見込み
・顧客基盤の拡大により既存事業で年率2ケタ成長を目指し、M&Aで成長を加速していく戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
ピーバンドットコム<3559>は、試作・小ロットから量産製造まで、さまざまな用途のプリント基板を安価に提供するECプラットフォーム「P板.com(ピーバンドットコム)」を運営する企業である。製造・設計・実装まですべて外部委託で提供するファブレス企業で製造委託先は国内外に30社程度ある。顧客となる登録ユーザー数は2020年12月末で60,478人、利用社数で約2.4万社と顧客基盤は安定しており、業界別売上高も自動車やFA機器・通信機器・医療機器・OA機器・家電など偏りなく分散されている。2020年3月期より新規事業としてEMS(電子機器受託製造サービス)事業を開始し、2021年3月期より専門人材を採用して本格的に営業活動をスタートしている。
1. 2021年3月期第3四半期累計業績の概要
2021年3月期第3四半期累計(2020年4月-12月)業績は、売上高で前年同期比12.5%減の1,377百万円、営業利益で同41.7%減の113百万円となった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)による設備投資抑制の影響で産業用電子機器の新規開発需要が冷え込み、減収要因となった。利益面では減収に加えて、価格戦略を実施した影響で売上総利益率が前年同期比1.5ポイント低下したこと、またEMS事業やシステム開発における人材採用に伴う人件費の増加が減益要因となった。
2. 2021年3月期業績見通し
2021年3月期は売上高で前期比9.9%減の1,923百万円、営業利益で同25.9%減の182百万円と2期連続の減益となる見通しとしている。四半期ベースで見ると、売上高は第2四半期の441百万円を底に、第3四半期は483百万円と回復に転じており、需要最盛期となる第4四半期も545百万円と回復トレンドが続く見通しとなっている。また利益面では、テレワークの継続による経費削減効果等により、第4四半期の営業利益は前年同期比32.7%増の69百万円と増益に転じる見通しとなっている。
3. 成長戦略
同社は今後の成長戦略として、EMS事業で新規顧客の開拓を進め、これら顧客から試作・小ロット用のプリント基板の受注を取り込んでいくことを狙っている。EMS事業では専門人材を2名採用しており、既に工場や施設内の電気使用量を監視するためのIoTセンサモジュールの受注を獲得するなど実績も出始めている。国内の試作品及び産業用電子機器向け少量生産リピート市場の市場規模は約1,500億円となっており潜在需要は大きい。特に大手企業の顧客開拓が鍵を握ることになる。また受注可能なプリント基板のラインアップ拡充により、売上規模の拡大を図っていく。2019年にメタル放熱基板や100層までの高多層基板のサービスを開始したが、2021年1月からは新たに多層フレキシブル基板もラインアップに追加した。IoT関連機器やウェアラブルデバイスなど成長分野からの受注を見込んでいる。また、アライアンスやM&Aによる事業拡大も前向きに検討しているようだ。2021年3月期の決算発表に合わせて中長期経営計画も発表する予定としているが、既存事業では年率2ケタ成長を目標に事業戦略を策定しているもようで、その内容が注目される。
■Key Points
・プリント基板のECプラットフォーム「P板.com」の運営会社として成長
・2021年3月期は減収減益見通しだが、第4四半期の営業利益は経費削減効果も寄与し2ケタ増益に転じる見込み
・顧客基盤の拡大により既存事業で年率2ケタ成長を目指し、M&Aで成長を加速していく戦略
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>