すららネット Research Memo(6):2021年3月期は先行投資費用増加により減益予想も、上方修正の余地あり
[21/03/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年12月期業績見通し
すららネット<3998>の2021年12月期通期の業績は、売上高1,920百万円(前期比16.4%増)、営業利益323百万円(同40.1%減)、経常利益360百万円(同34.3%減)、当期純利益239百万円(同36.8%減)と予想されている。
2021年12月期も同社を取り巻く環境はフォローであることから増収を見込んでいるが、コンテンツ拡充のための開発費増、利用者数増加に伴うサーバー費用の増加、営業人員の増員、出張費用の増加(2019年12月期水準に回復)などを計画している。この結果、営業利益は前期比で減益を予想しているが、売上高の予想が控え目であるのに対して費用の予算は厳しく見ているため、この予想を上回る可能性は高いと思われる。
2. 市場別売上高見通し
(1) コロナ禍の影響
コロナ禍の影響については非常に見通しが難しい状況のため、通常の経済活動に徐々に戻ることを前提としている。
(2) 学習塾マーケット
教育現場でのICT化がさらに進むと予想され、放課後等デイサービス施設での導入も伸長する見込みであることから、学習塾マーケットの売上高は777百万円(前期比8.0%)を見込んでいる。
(3) 学校マーケット
2021年3月末に公立小中学校でのPC導入が一定程度整うことから、公立学校でのすらら導入はさらに進むと予想される。その一方で、EdTech導入補助金については、2021年4月以降は想定していない。また、GIGAスクール構想については、2021年7月まで代理店経由での売上の一部が無料になるため、売上の伸びは限定的と見ている。このため、学校マーケットの売上高は766百万円(前期比24.5%増)を見込んでいる。
(4) BtoC・その他マーケット
BtoCマーケットにおいては、不登校・発達障がいの生徒にも対応した教材という同社独自のポジショニングが幅広く認知されつつあり、堅調に推移すると予想される。一方で海外市場については、潜在的な成長性は高いものの、足元の状況はコロナ禍により不透明であることから大きな売上は見込んでいない。そのため、BtoC・その他マーケットの売上高は375百万円(前期比19.2%増)を見込んでいる。
3. 売上原価と主な費用の見通し
(1) 売上原価
コンテンツの拡充、すららシステムの開発強化などの先行投資を行うことから、ソフトウェア資産の減価償却費が増加する見込み。さらに、利用者数増加に伴うサーバーコスト増、新機能リリースにより運用・保守費用も増加する見込みであることから、売上原価は572百万円(前期比60.2%増)を見込んでいる。
(2) 人件費
すらら導入拡大対応のために営業人員の増員、コンテンツ拡充・システム強化のための企画開発人員の増員などを計画しており、2021年12月期末正社員数は66人(前期末比17人増)を計画している。またAfterコロナは通常営業に戻ることを前提としていることから、出張費用等が2019年12月期水準に回復すると見ている。この結果、人件費は604百万円(前期比39.5%増)を見込んでいる。
(3) 広告宣伝費・販促費
With/Afterコロナでイベント等が実施されることを想定している。広告宣伝については、TVCMは実施せずWeb広告を中心に計画している。この結果、広告宣伝費・販促費は232百万円(前期比61.1%増)を見込んでいる。また、その他経費は187百万円(同8.1%増)を見込んでいる。
4. 営業利益の増減要因
営業利益の増減要因としては、増収により270百万円増、売上原価の増加により215百万円減、広告宣伝費・販促費の増加により87百万円減、人件費関連の増加等により170百万円減、その他費用の増加により15百万円減を見込んでいる。
5. 重要施策
(1) 学習塾
AI×アダプティブ×オンラインで複数分野での事業拡大を狙う。
(2) 学校
GIGAスクール構想進捗により、公立学校・地方自治体での導入に注力する。
(3) BtoC
社会の課題を解決することで事業の成長エンジンに変える。BtoC市場の特性としては、発達障がい・学習障がい児や不登校、海外子女も増加傾向であることに加え、コロナ禍により在宅学習需要が拡大している。このため、発達障がい・学習障がい児や不登校の子ども達でも一から体系的に理解できる唯一のサービスという独自のポジショニングを強化する方針である。
(4) 海外
コロナ禍で厳しい経営環境ではあるものの、オンライン教材の強みを活かして教育機会の提供を目指す。具体的には、インドネシア・スリランカを中心に教育機会を提供したり、フィリピンで事業を継続する。また、エジプトでのJICA中小企業・SDGsビジネス支援事業調査事業を継続する。
(5) コンテンツ開発
他社との連携により最新技術を取り入れ、コンテンツの可能性を追求する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
<YM>
1. 2021年12月期業績見通し
すららネット<3998>の2021年12月期通期の業績は、売上高1,920百万円(前期比16.4%増)、営業利益323百万円(同40.1%減)、経常利益360百万円(同34.3%減)、当期純利益239百万円(同36.8%減)と予想されている。
2021年12月期も同社を取り巻く環境はフォローであることから増収を見込んでいるが、コンテンツ拡充のための開発費増、利用者数増加に伴うサーバー費用の増加、営業人員の増員、出張費用の増加(2019年12月期水準に回復)などを計画している。この結果、営業利益は前期比で減益を予想しているが、売上高の予想が控え目であるのに対して費用の予算は厳しく見ているため、この予想を上回る可能性は高いと思われる。
2. 市場別売上高見通し
(1) コロナ禍の影響
コロナ禍の影響については非常に見通しが難しい状況のため、通常の経済活動に徐々に戻ることを前提としている。
(2) 学習塾マーケット
教育現場でのICT化がさらに進むと予想され、放課後等デイサービス施設での導入も伸長する見込みであることから、学習塾マーケットの売上高は777百万円(前期比8.0%)を見込んでいる。
(3) 学校マーケット
2021年3月末に公立小中学校でのPC導入が一定程度整うことから、公立学校でのすらら導入はさらに進むと予想される。その一方で、EdTech導入補助金については、2021年4月以降は想定していない。また、GIGAスクール構想については、2021年7月まで代理店経由での売上の一部が無料になるため、売上の伸びは限定的と見ている。このため、学校マーケットの売上高は766百万円(前期比24.5%増)を見込んでいる。
(4) BtoC・その他マーケット
BtoCマーケットにおいては、不登校・発達障がいの生徒にも対応した教材という同社独自のポジショニングが幅広く認知されつつあり、堅調に推移すると予想される。一方で海外市場については、潜在的な成長性は高いものの、足元の状況はコロナ禍により不透明であることから大きな売上は見込んでいない。そのため、BtoC・その他マーケットの売上高は375百万円(前期比19.2%増)を見込んでいる。
3. 売上原価と主な費用の見通し
(1) 売上原価
コンテンツの拡充、すららシステムの開発強化などの先行投資を行うことから、ソフトウェア資産の減価償却費が増加する見込み。さらに、利用者数増加に伴うサーバーコスト増、新機能リリースにより運用・保守費用も増加する見込みであることから、売上原価は572百万円(前期比60.2%増)を見込んでいる。
(2) 人件費
すらら導入拡大対応のために営業人員の増員、コンテンツ拡充・システム強化のための企画開発人員の増員などを計画しており、2021年12月期末正社員数は66人(前期末比17人増)を計画している。またAfterコロナは通常営業に戻ることを前提としていることから、出張費用等が2019年12月期水準に回復すると見ている。この結果、人件費は604百万円(前期比39.5%増)を見込んでいる。
(3) 広告宣伝費・販促費
With/Afterコロナでイベント等が実施されることを想定している。広告宣伝については、TVCMは実施せずWeb広告を中心に計画している。この結果、広告宣伝費・販促費は232百万円(前期比61.1%増)を見込んでいる。また、その他経費は187百万円(同8.1%増)を見込んでいる。
4. 営業利益の増減要因
営業利益の増減要因としては、増収により270百万円増、売上原価の増加により215百万円減、広告宣伝費・販促費の増加により87百万円減、人件費関連の増加等により170百万円減、その他費用の増加により15百万円減を見込んでいる。
5. 重要施策
(1) 学習塾
AI×アダプティブ×オンラインで複数分野での事業拡大を狙う。
(2) 学校
GIGAスクール構想進捗により、公立学校・地方自治体での導入に注力する。
(3) BtoC
社会の課題を解決することで事業の成長エンジンに変える。BtoC市場の特性としては、発達障がい・学習障がい児や不登校、海外子女も増加傾向であることに加え、コロナ禍により在宅学習需要が拡大している。このため、発達障がい・学習障がい児や不登校の子ども達でも一から体系的に理解できる唯一のサービスという独自のポジショニングを強化する方針である。
(4) 海外
コロナ禍で厳しい経営環境ではあるものの、オンライン教材の強みを活かして教育機会の提供を目指す。具体的には、インドネシア・スリランカを中心に教育機会を提供したり、フィリピンで事業を継続する。また、エジプトでのJICA中小企業・SDGsビジネス支援事業調査事業を継続する。
(5) コンテンツ開発
他社との連携により最新技術を取り入れ、コンテンツの可能性を追求する。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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