GMOメディア Research Memo(4):自社運営するメディアから得られる広告収入や課金収入が収益源(2)
[21/03/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
4. 市場環境とGMOメディア<6180>の強み、事業リスク
(1) 市場環境
国内のインターネット広告の市場規模は年率2ケタ成長で拡大を続けており、2019年は前年比19%増の21,048億円(「2019年日本の広告費」(電通調べ))と初めて2兆円を突破した。2014年に1兆円に乗せてから5年で2倍に拡大したことになる。スマートフォンやSNSサービスの普及拡大に伴い、インターネットを利用するユーザーが増加するだけでなく、利用時間の長時間化が進んでいることも背景にある。今後も市場の拡大傾向が続く見通しで、なかでもスマートフォン向け広告の比率は年々高まっていくものと予想される。このため、同社も「ポイントタウン」のスマートフォン会員獲得に注力しているほか、「ゲソてん」についても2018年4月よりスマートフォン版をリリースするなど、スマートフォンユーザーの取り込みに注力している。
(2) 同社の強み・事業リスク
a) 強み・優位性
同社の強みは、1)購買力があり、「消費したい、得をしたい」という欲求を持つ30代後半から50代前半までの「ポイント」にセンシティブなユーザー層と、10代の中高生を中心とする「流行に敏感で情報発信力が強い」と言われる若い女性ユーザー層という異なった属性のコア・ユーザー層の顧客基盤を有していること、2)社員の過半※1が技術者で新規サービス等の技術開発力を有していること、3)マーケティング・開発・運用のすべてを自社内で行っているほか、システムインフラを各サービス間で共用しているため、無駄な重複コストを発生させずに迅速で柔軟なサービス展開が行えること、4)PC・スマートフォンにおけるSEO※2・ASO※3・コンテンツマーケティング※4のノウハウを社内に蓄積し、プロモーションコストをかけずに低コストで新規会員を獲得する仕組みを構築していること、などが挙げられる。
※1 2020年12月末時点の正社員のうち、クリエイター(エンジニア、デザイナー、ディレクター)が68.2%を占めている。
※2 SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化のことで、サーチエンジンの検索結果ページの表示順位の上位に自らのWebサイトが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。
※3 ASO(App Store Optimization):スマートフォン向けアプリストアにおいて、検索結果ページやランキング表示の上位に自らのスマートフォンアプリが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。
※4 コンテンツマーケティング:顧客が必要とする情報を理解し、それを適切にコンテンツとして提供することで、集客・購買行動につなげていく手法。
ポイントサイトを運営する類似会社としては、セレス<3696>(運営サイト名:moppy、2020年12月期売上高5,764百万円)、リアルワールド<3691>(同:げん玉※、2020年9月期売上高512百万円)、(株)VOYAGE MARKETING(同:ECナビ)などがある。
※2020年10月1日付でサイブリッジグループ(株)に譲渡された。
b) 事業等のリスク
SEOのノウハウを活用して集客を行っているため、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)の変更によって順位の変動が起こり、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、同社のインターネット広告は、広告代理店やアドネットワーク事業者を通じて受注掲載している。特定の事業者の割合が多くなり事業者側の事情によって掲載方法の指定などレギュレーションの変更を受けると、広告掲載量や単価が下落する場合がある。加えて、同社の代表取締役社長である森輝幸(もりてるゆき)氏は創業以来(2002年2月に社長就任)、長期にわたり経営方針や事業戦略の決定及び社内風土の醸成に関して重要な役割を果たしており、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難になった場合には事業や業績に影響が出る可能性があり、同社の強みの源泉であると同時にリスクでもあると考えられる。
なお、同社が取り扱うインターネット広告市場は、他のメディア広告市場に比べると高い成長率を依然として維持している成長市場であるものの、市場の変化や景気動向によって広告クライアントの出稿意欲が低下した場合は、需給変化によって広告掲載単価が下落する可能性があり、同社の業績に影響を及ぼすリスクがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
4. 市場環境とGMOメディア<6180>の強み、事業リスク
(1) 市場環境
国内のインターネット広告の市場規模は年率2ケタ成長で拡大を続けており、2019年は前年比19%増の21,048億円(「2019年日本の広告費」(電通調べ))と初めて2兆円を突破した。2014年に1兆円に乗せてから5年で2倍に拡大したことになる。スマートフォンやSNSサービスの普及拡大に伴い、インターネットを利用するユーザーが増加するだけでなく、利用時間の長時間化が進んでいることも背景にある。今後も市場の拡大傾向が続く見通しで、なかでもスマートフォン向け広告の比率は年々高まっていくものと予想される。このため、同社も「ポイントタウン」のスマートフォン会員獲得に注力しているほか、「ゲソてん」についても2018年4月よりスマートフォン版をリリースするなど、スマートフォンユーザーの取り込みに注力している。
(2) 同社の強み・事業リスク
a) 強み・優位性
同社の強みは、1)購買力があり、「消費したい、得をしたい」という欲求を持つ30代後半から50代前半までの「ポイント」にセンシティブなユーザー層と、10代の中高生を中心とする「流行に敏感で情報発信力が強い」と言われる若い女性ユーザー層という異なった属性のコア・ユーザー層の顧客基盤を有していること、2)社員の過半※1が技術者で新規サービス等の技術開発力を有していること、3)マーケティング・開発・運用のすべてを自社内で行っているほか、システムインフラを各サービス間で共用しているため、無駄な重複コストを発生させずに迅速で柔軟なサービス展開が行えること、4)PC・スマートフォンにおけるSEO※2・ASO※3・コンテンツマーケティング※4のノウハウを社内に蓄積し、プロモーションコストをかけずに低コストで新規会員を獲得する仕組みを構築していること、などが挙げられる。
※1 2020年12月末時点の正社員のうち、クリエイター(エンジニア、デザイナー、ディレクター)が68.2%を占めている。
※2 SEO(Search Engine Optimization):検索エンジン最適化のことで、サーチエンジンの検索結果ページの表示順位の上位に自らのWebサイトが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。
※3 ASO(App Store Optimization):スマートフォン向けアプリストアにおいて、検索結果ページやランキング表示の上位に自らのスマートフォンアプリが表示されるように工夫すること、またそのための技術やサービス。
※4 コンテンツマーケティング:顧客が必要とする情報を理解し、それを適切にコンテンツとして提供することで、集客・購買行動につなげていく手法。
ポイントサイトを運営する類似会社としては、セレス<3696>(運営サイト名:moppy、2020年12月期売上高5,764百万円)、リアルワールド<3691>(同:げん玉※、2020年9月期売上高512百万円)、(株)VOYAGE MARKETING(同:ECナビ)などがある。
※2020年10月1日付でサイブリッジグループ(株)に譲渡された。
b) 事業等のリスク
SEOのノウハウを活用して集客を行っているため、検索エンジンの表示順位判定基準(アルゴリズム)の変更によって順位の変動が起こり、業績に影響を及ぼす可能性がある。また、同社のインターネット広告は、広告代理店やアドネットワーク事業者を通じて受注掲載している。特定の事業者の割合が多くなり事業者側の事情によって掲載方法の指定などレギュレーションの変更を受けると、広告掲載量や単価が下落する場合がある。加えて、同社の代表取締役社長である森輝幸(もりてるゆき)氏は創業以来(2002年2月に社長就任)、長期にわたり経営方針や事業戦略の決定及び社内風土の醸成に関して重要な役割を果たしており、何らかの理由により同氏が業務を継続することが困難になった場合には事業や業績に影響が出る可能性があり、同社の強みの源泉であると同時にリスクでもあると考えられる。
なお、同社が取り扱うインターネット広告市場は、他のメディア広告市場に比べると高い成長率を依然として維持している成長市場であるものの、市場の変化や景気動向によって広告クライアントの出稿意欲が低下した場合は、需給変化によって広告掲載単価が下落する可能性があり、同社の業績に影響を及ぼすリスクがある。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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