GMOメディア Research Memo(7):2021年12月期も新規事業に対する積極的なプロモーション投資を実施
[21/03/18]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年12月期業績見通し
GMOメディア<6180>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比20.0%増の6,000百万円、営業損失で150百万円(前期は216百万円の損失)、経常損失で150百万円(同214百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で175百万円(同408百万円の損失)となる見通し。なお、前期は減損損失233百万円を特別損失として計上したが、2021年12月期において同規模での特別損失が発生する可能性は極めて低く親会社株主に帰属する当期純損失は大きく縮小する見込みとなっている。
会社別で見ると、単独業績は売上高で前期比11.2%増の4,200百万円、営業利益で50〜60百万円程度と増収増益となり、GMOくまポンは売上高で1,800百万円、営業損失で200百万円となる見通しだ。単独売上高では、ECメディア事業で10%以上の成長を見込んでいるほか、ソーシャルメディア事業のうち「コエテコ」で2倍増を目指す計画だ。その他メディア支援事業については、前期比横ばい水準を見込んでいる。
ECメディア事業のうち、ポイントメディアについては引き続き外部提携パートナーの拡充に取り組んでいく。コロナ禍において広告出稿数や単価については2021年12月期第2四半期まで若干弱含み、第3四半期以降の回復を想定しており、通期では増収を見込んでいる。一方、ゲームプラットフォームについては、引き続き広告収入を中心に売上高は高成長が見込まれる。2021年2月には(株)CMサイトよりカジュアルゲーム事業を譲受しており売上高で年間1億円弱程度の増収効果が見込まれているが、「コーデスナップ」を2020年12月に売却しており相殺される格好となる。
GMOくまポンについては、「キレイパス」の成長を見込んでいる。美容医療向けのチケット販売サービスは2020年に入って類似のサービスを提供する企業が複数出てきたものの、事前決済まで行うサービスを提供しているのは同社のみであり差別化が可能と見ている。プロモーション戦略については、当初テレビCMを活用する予定であったが費用対効果の高いSNS広告などを中心に進めていく方針となっており、グループ全体の広告宣伝費は前期比約2倍増となる2億円程度となる見通しだ。
「コエテコ」「キレイパス」を育成し、2024年12月期に過去最高営業利益の更新を目指す
2. 成長戦略
同社は2020年2月に5カ年の業績目標を発表しており、2021年12月期までを戦略的投資期間として位置付け、2022年12月期からの黒字化、2024年12月期の過去最高営業利益更新(2016年12月期505百万円)を目指す方針を打ち出していた。前述したように、当初計画に対して「キレイパス」のプロモーション戦略を見直したことから(テレビCMからSNS広告へ)、営業損失額は2021年12月期実績、並びに2021年12月期計画ともに当初計画より縮小する格好となるが、2024年12月期に過去最高営業利益を更新するという目標は変えていない。
2021年12月期以降の成長戦略として、「ポイントタウン」「ゲソてん」「くまポン」等の既存サービスについては、自社運営サイトでの集客に加えて外部提携パートナーの拡大により収益の最大化に取り組み、年率10%以上の売上成長を目指しいていく方針となっている。特に、ゲームプラットフォーム事業に関しては、「かんたんゲームボックス」の提供媒体数増加とともに広告収入が大きく伸長し始めており、今後の高成長が期待される。
一方、「キレイパス」「コエテコ」等の新規サービスについては、2021年12月期も積極的な投資を継続し、2022年12月期以降の大きな成長を目指す方針となっている。「キレイパス」や「コエテコ」など領域特化型のヴァーティカルメディアは、集客施策において費用対効果が高いことから、同領域で高いシェアを確立することができれば安定して高収益が得られる可能性が高く、将来的に収益柱の1つに育つものとして注目される。
美容医療業界の国内市場規模は3千億円を超え安定成長が続くなかで、新規顧客の獲得は経営の重要課題となっており、費用対効果の高い施策が求められている。前述したように、「キレイパス」は完全成果報酬型で事前決済型サービスとなっていることもあり事業者にとって効果的な集客ツールになっていると考えられ、今後更に利用店舗数が増加していくものと予想される。また、認知度向上のためのプロモーション施策やスマートフォンアプリの機能強化による利便性向上を図ることで登録会員数を更に拡大していくことで、美容医療業界のヴァーティカルメディアとしてのブランドを確立していく考えだ。2021年12月期は先行投資により損失が継続するが、2022年12月期以降は売上高の成長加速により黒字化することを目標としている。
小学生向けプログラミング・ロボット教育のポータルサイトとして業界トップの地位を確立している「コエテコ」に関しては、今後は中高生や社会人を対象としたプログラミング教室へも対象を拡大していくことで、更なる事業拡大を目指していく。プログラミング教育は2020年春から小学生で必修化されたのに続き、2021年春から中学生、2022年春から高校生でも必修化される予定となっているほか、2024年以降は大学受験でプログラミングが受験科目に採用される可能性もあり、学力強化に向けた教育サービスに対するニーズは拡大するものと予想される。また、社会人向けプログラミング教室に関しても教室運営会社からの要望を受け2020年12月期第4四半期から掲載を開始しており、2021年以降本格的に掲載数を増やしていくことにしている。小学生向け教室に関しては、体験申込み件数に応じた成果報酬型のビジネスモデルを採用していたが、社会人向け教室に関しては資料請求件数に応じた成果報酬システムも導入する予定となっている。サイトの機能強化などシステム投資も継続しながら売上規模の拡大を図り(PV数獲得のための広告宣伝費は投下せずオーガニック成長を見込む)、2022年12月期の黒字化を目指している。
なお、子ども向けプログラミング教室の市場規模は2019年の11,420百万円から2025年には29,226百万円と年率17%の成長が予測されている。学習塾業界の広告宣伝費の対売上比率は5%前後と見られ、同じ水準だとすれば潜在需要は2025年に15億円程度となり、これに社会人向けの市場が加わることになる。圧倒的シェアを維持していくことができれば、中長期的に同社の安定収益源として貢献するものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年12月期業績見通し
GMOメディア<6180>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比20.0%増の6,000百万円、営業損失で150百万円(前期は216百万円の損失)、経常損失で150百万円(同214百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失で175百万円(同408百万円の損失)となる見通し。なお、前期は減損損失233百万円を特別損失として計上したが、2021年12月期において同規模での特別損失が発生する可能性は極めて低く親会社株主に帰属する当期純損失は大きく縮小する見込みとなっている。
会社別で見ると、単独業績は売上高で前期比11.2%増の4,200百万円、営業利益で50〜60百万円程度と増収増益となり、GMOくまポンは売上高で1,800百万円、営業損失で200百万円となる見通しだ。単独売上高では、ECメディア事業で10%以上の成長を見込んでいるほか、ソーシャルメディア事業のうち「コエテコ」で2倍増を目指す計画だ。その他メディア支援事業については、前期比横ばい水準を見込んでいる。
ECメディア事業のうち、ポイントメディアについては引き続き外部提携パートナーの拡充に取り組んでいく。コロナ禍において広告出稿数や単価については2021年12月期第2四半期まで若干弱含み、第3四半期以降の回復を想定しており、通期では増収を見込んでいる。一方、ゲームプラットフォームについては、引き続き広告収入を中心に売上高は高成長が見込まれる。2021年2月には(株)CMサイトよりカジュアルゲーム事業を譲受しており売上高で年間1億円弱程度の増収効果が見込まれているが、「コーデスナップ」を2020年12月に売却しており相殺される格好となる。
GMOくまポンについては、「キレイパス」の成長を見込んでいる。美容医療向けのチケット販売サービスは2020年に入って類似のサービスを提供する企業が複数出てきたものの、事前決済まで行うサービスを提供しているのは同社のみであり差別化が可能と見ている。プロモーション戦略については、当初テレビCMを活用する予定であったが費用対効果の高いSNS広告などを中心に進めていく方針となっており、グループ全体の広告宣伝費は前期比約2倍増となる2億円程度となる見通しだ。
「コエテコ」「キレイパス」を育成し、2024年12月期に過去最高営業利益の更新を目指す
2. 成長戦略
同社は2020年2月に5カ年の業績目標を発表しており、2021年12月期までを戦略的投資期間として位置付け、2022年12月期からの黒字化、2024年12月期の過去最高営業利益更新(2016年12月期505百万円)を目指す方針を打ち出していた。前述したように、当初計画に対して「キレイパス」のプロモーション戦略を見直したことから(テレビCMからSNS広告へ)、営業損失額は2021年12月期実績、並びに2021年12月期計画ともに当初計画より縮小する格好となるが、2024年12月期に過去最高営業利益を更新するという目標は変えていない。
2021年12月期以降の成長戦略として、「ポイントタウン」「ゲソてん」「くまポン」等の既存サービスについては、自社運営サイトでの集客に加えて外部提携パートナーの拡大により収益の最大化に取り組み、年率10%以上の売上成長を目指しいていく方針となっている。特に、ゲームプラットフォーム事業に関しては、「かんたんゲームボックス」の提供媒体数増加とともに広告収入が大きく伸長し始めており、今後の高成長が期待される。
一方、「キレイパス」「コエテコ」等の新規サービスについては、2021年12月期も積極的な投資を継続し、2022年12月期以降の大きな成長を目指す方針となっている。「キレイパス」や「コエテコ」など領域特化型のヴァーティカルメディアは、集客施策において費用対効果が高いことから、同領域で高いシェアを確立することができれば安定して高収益が得られる可能性が高く、将来的に収益柱の1つに育つものとして注目される。
美容医療業界の国内市場規模は3千億円を超え安定成長が続くなかで、新規顧客の獲得は経営の重要課題となっており、費用対効果の高い施策が求められている。前述したように、「キレイパス」は完全成果報酬型で事前決済型サービスとなっていることもあり事業者にとって効果的な集客ツールになっていると考えられ、今後更に利用店舗数が増加していくものと予想される。また、認知度向上のためのプロモーション施策やスマートフォンアプリの機能強化による利便性向上を図ることで登録会員数を更に拡大していくことで、美容医療業界のヴァーティカルメディアとしてのブランドを確立していく考えだ。2021年12月期は先行投資により損失が継続するが、2022年12月期以降は売上高の成長加速により黒字化することを目標としている。
小学生向けプログラミング・ロボット教育のポータルサイトとして業界トップの地位を確立している「コエテコ」に関しては、今後は中高生や社会人を対象としたプログラミング教室へも対象を拡大していくことで、更なる事業拡大を目指していく。プログラミング教育は2020年春から小学生で必修化されたのに続き、2021年春から中学生、2022年春から高校生でも必修化される予定となっているほか、2024年以降は大学受験でプログラミングが受験科目に採用される可能性もあり、学力強化に向けた教育サービスに対するニーズは拡大するものと予想される。また、社会人向けプログラミング教室に関しても教室運営会社からの要望を受け2020年12月期第4四半期から掲載を開始しており、2021年以降本格的に掲載数を増やしていくことにしている。小学生向け教室に関しては、体験申込み件数に応じた成果報酬型のビジネスモデルを採用していたが、社会人向け教室に関しては資料請求件数に応じた成果報酬システムも導入する予定となっている。サイトの機能強化などシステム投資も継続しながら売上規模の拡大を図り(PV数獲得のための広告宣伝費は投下せずオーガニック成長を見込む)、2022年12月期の黒字化を目指している。
なお、子ども向けプログラミング教室の市場規模は2019年の11,420百万円から2025年には29,226百万円と年率17%の成長が予測されている。学習塾業界の広告宣伝費の対売上比率は5%前後と見られ、同じ水準だとすれば潜在需要は2025年に15億円程度となり、これに社会人向けの市場が加わることになる。圧倒的シェアを維持していくことができれば、中長期的に同社の安定収益源として貢献するものと期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>