LTS Research Memo(3):プロフェッショナルサービス事業とプラットフォーム事業を展開
[21/03/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■会社概要
2. 事業内容
同社グループでは、企業の成長に不可欠な「変革の実行」を支援するための方法論となる「ビジネスプロセスマネジメント」を通じて、顧客企業のビジネスを変革・成長させるコンサルティングサービスを展開している。グループはエル・ティー・エス<6560>と連結子会社5社、及び持分法適用関連会社1社で構成されており、プロフェッショナルサービス事業とプラットフォーム事業の2つの事業セグメントで開示している。2020年12月期の売上構成比で見れば、プロフェッショナルサービス事業が全体の9割以上を占めているが、今後は同事業の拡大に加えて、限界利益率の高いプラットフォーム事業を育成していくことで、収益成長を加速していく戦略となっている。
(1) プロフェッショナルサービス事業
プロフェッショナルサービス事業では、長期支援型の「ビジネスプロセスマネジメント」とプロジェクト型の「コンサルティング」「デジタル活用サービス」の3つのサービスを展開しており、2020年12月期における売上構成比は「ビジネスプロセスマネジメント」が29%、「コンサルティング」が53%、「デジタル活用サービス」が18%となっている。プロジェクト支援により顧客との関係を構築し、年単位の契約となり、ストック型ビジネスとなる「ビジネスプロセスマネジメント」につなげている。
ビジネスプロセスマネジメントとは、顧客企業の事業構造をビジネスプロセスとして可視化・分析し、最適化手法を立案、実行及び定着まで支援していくサービスとなる。現在、自動車、商社、金融業界の大手やそのグループ会社、ベンチャー企業に至るまで、ITによる先進的な経営に積極的な企業を中心に顧客を抱えており、いずれも10年以上の取引年数となっている。
コンサルティングサービスとは、顧客企業の成長戦略構築や事業開発、業務改革並びに組織改革といった経営変革を支援するサービスで、顧客サイドの立ち位置で企画・構想段階から新業務導入後の運用支援、IT基盤構築や定着化・運用支援、及び顧客企業に必要な人材育成まで幅広く支援している。また、デジタル活用サービスでは企業の働き方改革や経営のDXを実現していくため、顧客の業務に合わせたリサーチ及びテクノロジー活用手法の策定、IoTやマーケティングデータ等の分析によるバリューチェーンの改善、AI・RPA等の導入による業務の効率化・最適化支援などを行っている。
これらプロジェクト型サービスは、外資系コンサルティングファームやERP、AI・RPAツール等の開発企業と必要に応じて協業しながら提供するケースが多く、同社は顧客側の立ち位置でプロジェクトに参画している。顧客企業ではITリテラシー等が不足しているケースも多く、顧客とコンサルティングファーム/ITツールベンダーとのリテラシーギャップを埋め、プロジェクトの成果を最大化するための役割を同社が果たすことになる。このため、これらコンサルティングファームやツールベンダーとは競合関係というよりも、協業関係を構築していることになる。
(2) プラットフォーム事業
子会社のアサインナビで展開しているプラットフォーム事業では、「課題を抱える顧客企業と解決手段を持つテクノロジー企業が出会えていない」「顧客企業の旺盛なIT投資に応えるIT人材の不足」「自社のIT人材を十分に活用するプロジェクト機会がない」といった課題を解決するためのマッチング用プラットフォームサービス「アサインナビ」の提供を行っているほか、フリーのITコンサルタント向けの案件紹介サービス「コンサルタントジョブ」を提供している。また、新サービスとしてDXを進めたい事業会社とDX関連企業のマッチングサイトとなる「CS Clip」のβ版を2020年7月にリリースしており、現在は登録会員数の積み上げに取り組んでいる段階にある。2020年12月期の売上構成比は「アサインナビ」で4割弱、「コンサルタントジョブ」で6割強となっている。
「アサインナビ」は2020年12月時点で法人会員数4,159社、個人会員数6,047人、合計10,206社・名が登録しており(無料会員含む)、増加トレンドが続いている。国内のIT企業は5〜8千社あると言われており、中堅・中小IT企業向けの人材・案件の紹介サイトとしての認知度も高い。同社では料金プランを2020年8月に変更しており、チケット制を導入した。具体的には、案件登録やスカウト、応募などを行う際にはチケットが1枚必要となり、その代わりに成約手数料を無料とした。チケットの消費期限は1ヶ月で、無料会員(ライトプラン)は毎月3枚付与されるが、それ以上利用する場合はチケットパック(10枚で2万円、30枚で5万円等)を購入して利用することになる。有料会員のうち、スタンダートプランの場合は、入会金10万円と年会費30万円を支払うことで、360枚/年のチケットが付与され、1枚当たりのチケット料金が無料会員よりも安価になる。また、プレミアムプランの場合は、入会金10万円と年会費60万円を支払うことで無制限の利用が可能となる。従来、無料会員については自己申告制にしていたため、売上につながりにくいという課題があったが、今回の料金改定によりこうした課題を解消したことになる。なお、現在の有料会員数は170〜180社程度で、法人会員も大半が無料会員での登録となっている。
「コンサルタントジョブ」では、フリーのITコンサルタント向けに月額160〜190万円の高単価案件の紹介サービスを行っている。売上は案件紹介成約時に発注企業から成約手数料を得る成果報酬型モデルとなる。発注元は大手コンサルティングファームや大手SIerとなり、同社が長年培ってきたネットワークを生かしたサービスとなっている。IT人材のマッチングサービスは数多くあるが、高単価のITコンサルタントに特化したサービスは少なく成長領域となっている。なお、同社もプロフェッショナルサービス事業の顧客へのサービス提供に際して、人的リソースが不足する場合は同サービスを活用して充足している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業内容
同社グループでは、企業の成長に不可欠な「変革の実行」を支援するための方法論となる「ビジネスプロセスマネジメント」を通じて、顧客企業のビジネスを変革・成長させるコンサルティングサービスを展開している。グループはエル・ティー・エス<6560>と連結子会社5社、及び持分法適用関連会社1社で構成されており、プロフェッショナルサービス事業とプラットフォーム事業の2つの事業セグメントで開示している。2020年12月期の売上構成比で見れば、プロフェッショナルサービス事業が全体の9割以上を占めているが、今後は同事業の拡大に加えて、限界利益率の高いプラットフォーム事業を育成していくことで、収益成長を加速していく戦略となっている。
(1) プロフェッショナルサービス事業
プロフェッショナルサービス事業では、長期支援型の「ビジネスプロセスマネジメント」とプロジェクト型の「コンサルティング」「デジタル活用サービス」の3つのサービスを展開しており、2020年12月期における売上構成比は「ビジネスプロセスマネジメント」が29%、「コンサルティング」が53%、「デジタル活用サービス」が18%となっている。プロジェクト支援により顧客との関係を構築し、年単位の契約となり、ストック型ビジネスとなる「ビジネスプロセスマネジメント」につなげている。
ビジネスプロセスマネジメントとは、顧客企業の事業構造をビジネスプロセスとして可視化・分析し、最適化手法を立案、実行及び定着まで支援していくサービスとなる。現在、自動車、商社、金融業界の大手やそのグループ会社、ベンチャー企業に至るまで、ITによる先進的な経営に積極的な企業を中心に顧客を抱えており、いずれも10年以上の取引年数となっている。
コンサルティングサービスとは、顧客企業の成長戦略構築や事業開発、業務改革並びに組織改革といった経営変革を支援するサービスで、顧客サイドの立ち位置で企画・構想段階から新業務導入後の運用支援、IT基盤構築や定着化・運用支援、及び顧客企業に必要な人材育成まで幅広く支援している。また、デジタル活用サービスでは企業の働き方改革や経営のDXを実現していくため、顧客の業務に合わせたリサーチ及びテクノロジー活用手法の策定、IoTやマーケティングデータ等の分析によるバリューチェーンの改善、AI・RPA等の導入による業務の効率化・最適化支援などを行っている。
これらプロジェクト型サービスは、外資系コンサルティングファームやERP、AI・RPAツール等の開発企業と必要に応じて協業しながら提供するケースが多く、同社は顧客側の立ち位置でプロジェクトに参画している。顧客企業ではITリテラシー等が不足しているケースも多く、顧客とコンサルティングファーム/ITツールベンダーとのリテラシーギャップを埋め、プロジェクトの成果を最大化するための役割を同社が果たすことになる。このため、これらコンサルティングファームやツールベンダーとは競合関係というよりも、協業関係を構築していることになる。
(2) プラットフォーム事業
子会社のアサインナビで展開しているプラットフォーム事業では、「課題を抱える顧客企業と解決手段を持つテクノロジー企業が出会えていない」「顧客企業の旺盛なIT投資に応えるIT人材の不足」「自社のIT人材を十分に活用するプロジェクト機会がない」といった課題を解決するためのマッチング用プラットフォームサービス「アサインナビ」の提供を行っているほか、フリーのITコンサルタント向けの案件紹介サービス「コンサルタントジョブ」を提供している。また、新サービスとしてDXを進めたい事業会社とDX関連企業のマッチングサイトとなる「CS Clip」のβ版を2020年7月にリリースしており、現在は登録会員数の積み上げに取り組んでいる段階にある。2020年12月期の売上構成比は「アサインナビ」で4割弱、「コンサルタントジョブ」で6割強となっている。
「アサインナビ」は2020年12月時点で法人会員数4,159社、個人会員数6,047人、合計10,206社・名が登録しており(無料会員含む)、増加トレンドが続いている。国内のIT企業は5〜8千社あると言われており、中堅・中小IT企業向けの人材・案件の紹介サイトとしての認知度も高い。同社では料金プランを2020年8月に変更しており、チケット制を導入した。具体的には、案件登録やスカウト、応募などを行う際にはチケットが1枚必要となり、その代わりに成約手数料を無料とした。チケットの消費期限は1ヶ月で、無料会員(ライトプラン)は毎月3枚付与されるが、それ以上利用する場合はチケットパック(10枚で2万円、30枚で5万円等)を購入して利用することになる。有料会員のうち、スタンダートプランの場合は、入会金10万円と年会費30万円を支払うことで、360枚/年のチケットが付与され、1枚当たりのチケット料金が無料会員よりも安価になる。また、プレミアムプランの場合は、入会金10万円と年会費60万円を支払うことで無制限の利用が可能となる。従来、無料会員については自己申告制にしていたため、売上につながりにくいという課題があったが、今回の料金改定によりこうした課題を解消したことになる。なお、現在の有料会員数は170〜180社程度で、法人会員も大半が無料会員での登録となっている。
「コンサルタントジョブ」では、フリーのITコンサルタント向けに月額160〜190万円の高単価案件の紹介サービスを行っている。売上は案件紹介成約時に発注企業から成約手数料を得る成果報酬型モデルとなる。発注元は大手コンサルティングファームや大手SIerとなり、同社が長年培ってきたネットワークを生かしたサービスとなっている。IT人材のマッチングサービスは数多くあるが、高単価のITコンサルタントに特化したサービスは少なく成長領域となっている。なお、同社もプロフェッショナルサービス事業の顧客へのサービス提供に際して、人的リソースが不足する場合は同サービスを活用して充足している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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