クロスマーケ Research Memo(6):経営の効率化へ向けて決算期変更を実施
[21/03/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績見通し
1. 12月決算から6月決算に決算期を変更
クロス・マーケティンググループ<3675>は、セグメント変更と同時に、2021年から決算期を12月から6月に変更することとした。2020年12月期に関しては、業績見通しを発表しなかったが、これは決算月と利益の大きい繁忙月が重なっているところに新型コロナウイルス感染症という不安定要素が加わり、業績予想のボラティリティが大きくなったことが背景にある。決算月と繁忙月が重なることによる非効率はほかにもあり、投資や業績予想の策定、効率的なグループ運営などにも影響を及ぼしている。今回、新型コロナウイルス感染症によって12月決算の非効率がクローズアップされたのを機に、こうした非効率を是正し経営の効率化を図るため、決算期変更を決断した。これで、2020年12月までは通常通りの1年決算、2021年6月期が6ヶ月の変則決算、2022年6月期以降は1年決算となる見込みである。
ただし、決算期を変更しても、通常であれば業績見通しや配当予想が示されるが、決算期変更のリリースと同時に発表された2020年12月期決算短信では、業績見通しや配当予想は、従来の決算月である2021年12月期(2021年1月〜12月)をベースに示されているだけである。これは、2021年6月期の翌期となる2022年6月期に関して、新型コロナウイルス感染症の影響など今後の見通しが依然不透明な中、12ヶ月を超える先の業績を合理的に見通すことが困難なことが背景にある。一方、2021年6月期の戦略や業績見通し、配当予想については、合理的に見通せる2021年12月期(1月〜12月)の見通しを示すことで代替している(従来から中間期の業績見通しは公表していない)。このため、以下、業績見通しや配当予想に関して2021年(1月〜12月)をベースに述べるが、2021年6月期見通しの有り様もできるだけ併記することにする。
「DX ACTION」を掲げ、ビジネスモデルの進化と事業領域の拡大を推進
2. 2021年12月期(2021年1月〜12月)業績見通しと注力施策
同社は2021年12月期(2021年1月〜12月)の業績見通しについて、売上高21,500百万円(前期比34.5%増)、営業利益1,250百万円(同26.8%増)、経常利益1,235百万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益757百万円(同62.2%増)と見込んでいる。デジタルトランスフォーメーションを背景にリサーチ市場が急速に変化する中、同社はデジタルマーケティング事業を成長ドライバーに、総合マーケティングソリューション企業としてさらなる成長と企業価値の向上を図る考えである。
2021年12月期(2021年1月〜12月)の方針は、「DX ACTION」をテーマに、グループ全体で今まで以上に強力にデジタルシフトを推進して各種施策に取り組み、ドゥ・ハウスの子会社化もバネに、デジタルマーケティング領域でのビジネスモデルの進化と事業領域の拡大を進めていくというものである。具体的な取り組みとして、リアルな行動データを分析する「Data Marketing Solution」、WEBアクセスログなどのビッグデータから得られる顧客の行動分析を営業活動に生かす「Sales DX」、業務プロセスやシステムの見直しによりリモートワークの推進と業務生産性の向上を図る「Business Process Transformation」、膨大な消費者データの解析で顧客収益の最大化を図る「D2C Growth Partner」、アライアンスによりデジタルサービスの拡張を図る「Open Innovation」、専門部署で顧客の持つデータの活用・分析により顧客のデジタル課題を解消する「Digital Sales」といったサービスを強化する計画である。
この結果、新たなセグメントの売上高予想は、デジタルマーケティング事業9,014百万円(前期比93.5%増)、データマーケティング事業6,378百万円(同13.4%増)、インサイト事業(同7.1%増)と予想されている。2021年は、ドゥ・ハウスの業績が連結されるためデジタルマーケティング事業が突出して高い伸びになるが、既存の各事業がバランスよく伸び(回復し)、次の成長へ向けて飛躍するための土台を構築するというシナリオになっている。なお、2021年6月期は6ヶ月の変則決算だが2021年12月期(2021年1月〜12月)の上期決算という見方もできる。また、例年の上期と下期の収益バランスを考慮すると、上期の構成比の目安は売上高で50%弱、営業利益で期によって変動幅は大きいがおおむね40%程度ということになる。以上から2021年6月期は、売上高で10,000百万円(前年同期比30%増)、営業利益で500百万円(同3倍増)程度が同社のターゲットになっている可能性が高いと思われる。
中期的に売上高300億円を目指す
3. 中期成長イメージ
今般のセグメント変更によって、同社は、デジタルマーケティングという10兆円を超える新たな成長市場に明確に照準を合わせたことになった。今後はこうした市場に向けて継続的に施策や投資を打っていくことになり、これにより持続的な成長と企業価値の拡大を目指す。一方、依然大きな収益基盤であるリサーチやデータマーケティング、インサイトでも、デジタルトランスフォーメーションを取り込むことで安定した成長を目指すことになる。オンラインリサーチでスタートした同社の業態は、オフラインリサーチや分析、レポーティングなどの機能を付加することでマーケティングリサーチへと進化、さらにマーケティングリサーチにコンサルティングやITソリューションを取り込むことでマーケティングソリューションへと進化してきた。そして今、マーケティングソリューションにデジタルトランスフォーメーションという時代背景を与えることでデジタルマーケティングへの業態進化が始まった。こうした進化をバネに中長期的な成長を目指すことになるが、その過程で遠からず売上高300億円も視野に入ってくるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 12月決算から6月決算に決算期を変更
クロス・マーケティンググループ<3675>は、セグメント変更と同時に、2021年から決算期を12月から6月に変更することとした。2020年12月期に関しては、業績見通しを発表しなかったが、これは決算月と利益の大きい繁忙月が重なっているところに新型コロナウイルス感染症という不安定要素が加わり、業績予想のボラティリティが大きくなったことが背景にある。決算月と繁忙月が重なることによる非効率はほかにもあり、投資や業績予想の策定、効率的なグループ運営などにも影響を及ぼしている。今回、新型コロナウイルス感染症によって12月決算の非効率がクローズアップされたのを機に、こうした非効率を是正し経営の効率化を図るため、決算期変更を決断した。これで、2020年12月までは通常通りの1年決算、2021年6月期が6ヶ月の変則決算、2022年6月期以降は1年決算となる見込みである。
ただし、決算期を変更しても、通常であれば業績見通しや配当予想が示されるが、決算期変更のリリースと同時に発表された2020年12月期決算短信では、業績見通しや配当予想は、従来の決算月である2021年12月期(2021年1月〜12月)をベースに示されているだけである。これは、2021年6月期の翌期となる2022年6月期に関して、新型コロナウイルス感染症の影響など今後の見通しが依然不透明な中、12ヶ月を超える先の業績を合理的に見通すことが困難なことが背景にある。一方、2021年6月期の戦略や業績見通し、配当予想については、合理的に見通せる2021年12月期(1月〜12月)の見通しを示すことで代替している(従来から中間期の業績見通しは公表していない)。このため、以下、業績見通しや配当予想に関して2021年(1月〜12月)をベースに述べるが、2021年6月期見通しの有り様もできるだけ併記することにする。
「DX ACTION」を掲げ、ビジネスモデルの進化と事業領域の拡大を推進
2. 2021年12月期(2021年1月〜12月)業績見通しと注力施策
同社は2021年12月期(2021年1月〜12月)の業績見通しについて、売上高21,500百万円(前期比34.5%増)、営業利益1,250百万円(同26.8%増)、経常利益1,235百万円(同14.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益757百万円(同62.2%増)と見込んでいる。デジタルトランスフォーメーションを背景にリサーチ市場が急速に変化する中、同社はデジタルマーケティング事業を成長ドライバーに、総合マーケティングソリューション企業としてさらなる成長と企業価値の向上を図る考えである。
2021年12月期(2021年1月〜12月)の方針は、「DX ACTION」をテーマに、グループ全体で今まで以上に強力にデジタルシフトを推進して各種施策に取り組み、ドゥ・ハウスの子会社化もバネに、デジタルマーケティング領域でのビジネスモデルの進化と事業領域の拡大を進めていくというものである。具体的な取り組みとして、リアルな行動データを分析する「Data Marketing Solution」、WEBアクセスログなどのビッグデータから得られる顧客の行動分析を営業活動に生かす「Sales DX」、業務プロセスやシステムの見直しによりリモートワークの推進と業務生産性の向上を図る「Business Process Transformation」、膨大な消費者データの解析で顧客収益の最大化を図る「D2C Growth Partner」、アライアンスによりデジタルサービスの拡張を図る「Open Innovation」、専門部署で顧客の持つデータの活用・分析により顧客のデジタル課題を解消する「Digital Sales」といったサービスを強化する計画である。
この結果、新たなセグメントの売上高予想は、デジタルマーケティング事業9,014百万円(前期比93.5%増)、データマーケティング事業6,378百万円(同13.4%増)、インサイト事業(同7.1%増)と予想されている。2021年は、ドゥ・ハウスの業績が連結されるためデジタルマーケティング事業が突出して高い伸びになるが、既存の各事業がバランスよく伸び(回復し)、次の成長へ向けて飛躍するための土台を構築するというシナリオになっている。なお、2021年6月期は6ヶ月の変則決算だが2021年12月期(2021年1月〜12月)の上期決算という見方もできる。また、例年の上期と下期の収益バランスを考慮すると、上期の構成比の目安は売上高で50%弱、営業利益で期によって変動幅は大きいがおおむね40%程度ということになる。以上から2021年6月期は、売上高で10,000百万円(前年同期比30%増)、営業利益で500百万円(同3倍増)程度が同社のターゲットになっている可能性が高いと思われる。
中期的に売上高300億円を目指す
3. 中期成長イメージ
今般のセグメント変更によって、同社は、デジタルマーケティングという10兆円を超える新たな成長市場に明確に照準を合わせたことになった。今後はこうした市場に向けて継続的に施策や投資を打っていくことになり、これにより持続的な成長と企業価値の拡大を目指す。一方、依然大きな収益基盤であるリサーチやデータマーケティング、インサイトでも、デジタルトランスフォーメーションを取り込むことで安定した成長を目指すことになる。オンラインリサーチでスタートした同社の業態は、オフラインリサーチや分析、レポーティングなどの機能を付加することでマーケティングリサーチへと進化、さらにマーケティングリサーチにコンサルティングやITソリューションを取り込むことでマーケティングソリューションへと進化してきた。そして今、マーケティングソリューションにデジタルトランスフォーメーションという時代背景を与えることでデジタルマーケティングへの業態進化が始まった。こうした進化をバネに中長期的な成長を目指すことになるが、その過程で遠からず売上高300億円も視野に入ってくるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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