AOITYOHold Research Memo(1):2020年12月期は大きく後退も第4四半期は回復し修正予想上回る
[21/03/26]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
1. 会社概要と設立の経緯
AOI TYO Holdings<3975>は、株式会社AOI Pro.と株式会社ティー・ワイ・オー(TYO)の経営統合により2017年1月に設立された共同持株会社である。主力のテレビCMの企画・制作をはじめ、広告主直接取引や動画コンテンツマーケティングを軸とした「ソリューション事業」などに注力している。業界大手2社の経営統合により、テレビCM制作においてはトップシェアを握る。
インターネットを中心としたメディア(媒体)やデバイス(スマートフォンやタブレットなど)の多様化に加え、通信速度やデータ解析、VR(仮想現実)※1やAR(拡張現実)※2などのテクノロジーの進化により業界環境が大きく変化している。こうしたなかで、これまでのテレビCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造変化を伴いながらも拡大していくものと予想されていることが経営統合に至った背景である。経営資源の結集及び有効活用により、スケールメリットやシナジー創出を実現し、新たな価値創造と事業拡大のスピードを速めるところに狙いがある。
※1 VR(仮想現実)とは、仮想世界を含めたあらゆる体験を、時間や空間を超えてまるで現実世界のように表現する技法やその手法のこと。
※2 AR(拡張現実)とは、現実世界で人が感知できる情報に「何かの情報」を加え、現実を「拡張」表現する技術やその手法のこと。
2. 2020年12月期業績の概要
2020年12月期の業績は、売上高が前期比21.7%減の51,087百万円、営業損失が727百万円(前期は2,118百万円の利益)と新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けて大幅な減収となり、営業損失に転落した。特に、緊急事態宣言発令(1回目)に伴う撮影業務の中止・延期、広告需要の減少等により「動画広告事業」が大幅に落ち込んだ。また「広告関連事業」についても、各種イベントの中止や延期等により落ち込み幅が大きかった。もっとも第4四半期には「動画広告事業」と「ソリューション事業」がほぼ前期並みの水準にまで回復し、修正予想を上回る水準で着地することができた。利益面でも、減収による収益の下押しにより営業損失に転落したものの、下期だけで見ると、売上高の回復やコスト削減により営業黒字化を実現している。
3. 今後の方向性
同社は、2019年3月に中期経営方針を策定し、「規模より質」を重視した経営への転換を進めてきた。しかし、コロナ禍の影響により生活様式の大きな変化が環境変化のスピードをさらに高めたことや、新たな広告主ニーズへの対応が急務となってきたことから、中期経営方針を加速させるため新たに5ヶ年の中期経営計画を公表した(2020年8月24日公表)。ただ、今後の方向性に大きな変更はない。「プロデュース機能のアップデート」をテーマに掲げ、変革の時代に対応すべくグループの大幅な組織再編を実施、最終年度(2025年12月期)の業績目標として、連結売上高680億円、連結営業利益44億円、EBITDA57億円、ROE10%以上を目指していく。特に業績目標については、コスト削減等による収益性の向上に重きを置いた前提となっている。なお組織再編に伴って、2021年12月期からは「コンテンツプロデュース事業」及び「コミュニケーションデザイン事業」の2事業体制へと移行している。
4. 2021年12月期の業績予想
2021年12月期の業績予想について同社は、売上高を前期比3.7%増の53,000百万円、営業利益を900百万円(前期は727百万円の損失)と、増収及び大幅な増益により黒字転換を見込んでいる。国内広告市場が緩やかな回復に向かう前提のもと、売上高は「コンテンツプロデュース事業」はほぼ横ばいで推移する一方、「コミュニケーションデザイン事業」がコロナ禍の影響を受けた2020年12月期からの回復や新たな広告主ニーズの取り込みにより、伸長する見通しである。利益面でも、増収による収益の押し上げのほかコスト削減の継続により、大幅な増益を実現する想定である。
■Key Points
・2020年12月期は、コロナ禍の影響により大幅な減収、営業損失を計上。しかし第4四半期に急回復し、修正計画を上回る水準で着地
・新たに公表した5ヶ年の中期経営計画では、「プロデュース機能のアップデート」をテーマに掲げ、変革の時代に対応すべくグループの大幅な組織再編を実施
・最終年度(2025年12月期)の目標として、連結売上高680億円、連結営業利益44億円を掲げ、コスト削減による収益性の向上にも取り組む
・2021年12月期は、2020年12月期からの回復、新たな広告主ニーズの取り込み、コスト削減の継続により大幅な増益(黒字転換)を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<EY>
1. 会社概要と設立の経緯
AOI TYO Holdings<3975>は、株式会社AOI Pro.と株式会社ティー・ワイ・オー(TYO)の経営統合により2017年1月に設立された共同持株会社である。主力のテレビCMの企画・制作をはじめ、広告主直接取引や動画コンテンツマーケティングを軸とした「ソリューション事業」などに注力している。業界大手2社の経営統合により、テレビCM制作においてはトップシェアを握る。
インターネットを中心としたメディア(媒体)やデバイス(スマートフォンやタブレットなど)の多様化に加え、通信速度やデータ解析、VR(仮想現実)※1やAR(拡張現実)※2などのテクノロジーの進化により業界環境が大きく変化している。こうしたなかで、これまでのテレビCM制作では大きな成長は見込みにくくなる一方、広告に関連する事業領域は、その手法や構造変化を伴いながらも拡大していくものと予想されていることが経営統合に至った背景である。経営資源の結集及び有効活用により、スケールメリットやシナジー創出を実現し、新たな価値創造と事業拡大のスピードを速めるところに狙いがある。
※1 VR(仮想現実)とは、仮想世界を含めたあらゆる体験を、時間や空間を超えてまるで現実世界のように表現する技法やその手法のこと。
※2 AR(拡張現実)とは、現実世界で人が感知できる情報に「何かの情報」を加え、現実を「拡張」表現する技術やその手法のこと。
2. 2020年12月期業績の概要
2020年12月期の業績は、売上高が前期比21.7%減の51,087百万円、営業損失が727百万円(前期は2,118百万円の利益)と新型コロナウイルス感染症の拡大(以下、コロナ禍)の影響を受けて大幅な減収となり、営業損失に転落した。特に、緊急事態宣言発令(1回目)に伴う撮影業務の中止・延期、広告需要の減少等により「動画広告事業」が大幅に落ち込んだ。また「広告関連事業」についても、各種イベントの中止や延期等により落ち込み幅が大きかった。もっとも第4四半期には「動画広告事業」と「ソリューション事業」がほぼ前期並みの水準にまで回復し、修正予想を上回る水準で着地することができた。利益面でも、減収による収益の下押しにより営業損失に転落したものの、下期だけで見ると、売上高の回復やコスト削減により営業黒字化を実現している。
3. 今後の方向性
同社は、2019年3月に中期経営方針を策定し、「規模より質」を重視した経営への転換を進めてきた。しかし、コロナ禍の影響により生活様式の大きな変化が環境変化のスピードをさらに高めたことや、新たな広告主ニーズへの対応が急務となってきたことから、中期経営方針を加速させるため新たに5ヶ年の中期経営計画を公表した(2020年8月24日公表)。ただ、今後の方向性に大きな変更はない。「プロデュース機能のアップデート」をテーマに掲げ、変革の時代に対応すべくグループの大幅な組織再編を実施、最終年度(2025年12月期)の業績目標として、連結売上高680億円、連結営業利益44億円、EBITDA57億円、ROE10%以上を目指していく。特に業績目標については、コスト削減等による収益性の向上に重きを置いた前提となっている。なお組織再編に伴って、2021年12月期からは「コンテンツプロデュース事業」及び「コミュニケーションデザイン事業」の2事業体制へと移行している。
4. 2021年12月期の業績予想
2021年12月期の業績予想について同社は、売上高を前期比3.7%増の53,000百万円、営業利益を900百万円(前期は727百万円の損失)と、増収及び大幅な増益により黒字転換を見込んでいる。国内広告市場が緩やかな回復に向かう前提のもと、売上高は「コンテンツプロデュース事業」はほぼ横ばいで推移する一方、「コミュニケーションデザイン事業」がコロナ禍の影響を受けた2020年12月期からの回復や新たな広告主ニーズの取り込みにより、伸長する見通しである。利益面でも、増収による収益の押し上げのほかコスト削減の継続により、大幅な増益を実現する想定である。
■Key Points
・2020年12月期は、コロナ禍の影響により大幅な減収、営業損失を計上。しかし第4四半期に急回復し、修正計画を上回る水準で着地
・新たに公表した5ヶ年の中期経営計画では、「プロデュース機能のアップデート」をテーマに掲げ、変革の時代に対応すべくグループの大幅な組織再編を実施
・最終年度(2025年12月期)の目標として、連結売上高680億円、連結営業利益44億円を掲げ、コスト削減による収益性の向上にも取り組む
・2021年12月期は、2020年12月期からの回復、新たな広告主ニーズの取り込み、コスト削減の継続により大幅な増益(黒字転換)を見込む
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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