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サイバーコム Research Memo(7):新3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023〜増収増益の継続〜」を発表

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

2. 3ヶ年中期計画
サイバーコム<3852>は、2021年度からスタートする新3ヶ年中期計画「サイバーコムビジョン2023〜増収増益の継続〜」を発表した。基本方針としては、1)満足度の追求、2)サービス提供型ビジネスへの転換、3)戦略的投資による拡大、4)本部制活用による効率化、の4点に取り組むことで増収増益の継続を目指していく。

(1) ソフトウェア開発事業
ソフトウェア開発事業については、「リモートワークでの生産性向上と品質確保」「サービス提供型ビジネスに向けた大型プロジェクトと高収益プロジェクトの拡大」を成長戦略として掲げた。分野別にみた強化ポイントは以下の通り。

a) 通信ソフトウェア開発
通信ソフトウェア開発では、次世代移動通信5G/ローカル5Gの普及拡大に向けて技術者の増強を図っていくことに加えて、通信基盤の仮想化・マイグレーション※への対応強化、超高速モバイルIP制御対応、IoT技術領域の拡大などが今後の戦略テーマとなる。特に、移動通信分野ではNTTとNECが5G以降の次世代通信網の共同開発を行うことを発表しており、今後、付加価値の高い先進的な製品を開発することで世界シェア上位を目指す方針を掲げている点は、NECグループを主要顧客とする同社にとっても追い風となる可能性がある。2019年まで世界の基地局市場はファーウェイ、エリクソン、ノキアの3社で7〜8割のシェアを占める寡占市場となっており、日系企業のシェアは2%前後にとどまっている。ただ、トップシェアだったファーウェイについては米国を中心に先進国で調達を取りやめる動きとなっていることから今後シェアが低下する見通しであり、NEC-NTT連合が6G基地局で世界シェアを拡大する好機ともなる。同社の通信インフラ向けの売上は、既に5G/ローカル5Gの開発需要増加で拡大基調に転じているが、今後、NEC-NTTによる開発強化が進めば、同社の売上も中長期的に成長が続く可能性が高く、その動向が注目される。

※システムの移行作業のこと。


b) 制御ソフトウェア開発
制御ソフトウェア開発では、ロボット技術を応用した最先端分野への挑戦と、車載システムのなかでもCASEやMaaSのモビリティ系への展開に注力していく。自動車分野においても自動運転技術の実現には高速無線通信技術が必要となるため、同領域で高い技術開発力を持つ同社の活躍余地は大きいと見られる。

c) 業務ソフトウェア開発
業務ソフトウェア開発では、クラウド技術者の増強(AWS、Microsoft Azure)やAI(画像認識、予測)・RPA技術者の増強による受注能力の拡大に加えて、ECサイト保守運用の高付加価値化やIoT技術をベースとしたDX(デジタルトランスフォーメーション)対応技術の高度化に取り組むことで、成長を目指していく。

(2) サービス事業
サービス事業における成長戦略としては、「新しいビジネスモデルの確立」と「ストックビジネスの拡大」をテーマに掲げている。

a) SIサービス
SIサービスのうちサーバ/ネットワーク構築分野では、多様化するクラウド基盤(AWS、Microsoft Azure、仮想化等)への対応力を強化していくこと、サイバーセキュリティ技術やネットワーク仮想化技術の高度化に取り組み、構築系技術者の増強を図ることで、高成長を継続していく。

運用・保守分野では、運用設計技術者の増強とRPA活用による効率化の推進を図っていく。また、評価検証サービス分野では、プロトコルを含む次世代通信規格への対応(5G、Wi-Fi6)やテスト自動化支援ツールによる効率化などに取り組んでいく。

b) 自社プロダクト
自社プロダクトでは「Cyber Smartシリーズ」や「楽々セキュアコネクト」「Cyber Position Navi」などの自社プロダクトの拡販に取り組んでいく。販売戦略としては、オンラインによる提案型営業、プロモーション活動(Web広告、SEO対策、ダイレクトメール)による認知度向上のほか、アライアンスの推進や地方拠点、グループ会社との連携なども図りながら効率的に推進していく。一方、開発面では市場ニーズを捉えた魅力的な商品の開発や、ニーズに応じた柔軟なカスタマイズ、多様な機能拡張、利便性向上、プロダクト連携、テレワーク対応などをテーマに顧客視点に立った開発を今後も進めていく方針だ。

今回の中期経営計画では具体的な経営数値目標は打ち出していないものの、人財投資など戦略的な投資も進めていくことを踏まえて、売上高は1ケタ台後半の成長、営業利益率は5〜6%台の水準を維持して増収増益を継続し、ROEで10%以上の水準を目標にしているものと思われる。また、SDGsへの取り組みについても今後強化していく方針で、様々な活動を加速させている。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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