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サイオス Research Memo(3):2020年12月期は10期連続増収、4期ぶりの営業増益に転じる

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2020年12月期業績の概要
サイオス<3744>の2020年12月期の連結業績は、売上高で前期比8.4%増の14,841百万円、営業利益で同329.9%増の236百万円、経常利益で同166.4%増の256百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同858.4%増の310百万円となり、売上高は10期連続の増収、営業利益、経常利益は4期ぶりの増益に転じた。また、同社が経営指標として重視しているEBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却額)で同127.0%増の329百万円、ROICについても6.9%と前期の1.7%から大きく回復した。

COVID-19拡大を契機に、企業のDX化、クラウドシフトの動きがより活発化したため、同社の主力自社製品である「LifeKeeper」、OSS関連製品・サービス、クラウドサービス等が好調に推移した。売上原価率は前期の68.2%から69.9%に上昇した一方で、販管費は前期比61百万円の減少となり増益要因となった。販管費の減少については、テレワーク体制への移行に伴う通勤手当、オフィス関連費用等の減少、研究開発費の減少が寄与したと思われる。

また、特別利益として第3四半期に事業分離に伴う移転利益を192百万円計上した。具体的には、放送局向けWebサービス事業※1の移転利益で68百万円、社会公共アウトソーシングサービス事業※2の移転利益で124百万円となっている。

※1 放送局が使用する音楽コンテンツ等の著作権管理をWeb上で行うサービス。
※2 健康保険組合向けの各種アウトソーシングサービス。


なお、同社は2020年10月29日付で期初会社計画(売上高14,300百万円、営業利益80百万円)の下方修正(売上高14,200百万円、営業利益40百万円)を行ったが、結果的には売上高、各利益ともに期初計画を上回って着地したことになる。2020年11月以降、COVID-19の感染が再拡大するなかで、2021年12月期にシステム導入を予定していた顧客から前倒しで導入したいとの要請があり、当該案件を売上計上したことや、複数の大型案件を新規に受注できたことが、主な修正要因となっている。


オープンシステム基盤事業は好調な増収増益

2. 事業セグメント別動向
(1) オープンシステム基盤事業
オープンシステム基盤事業の売上高は前期比15.4%増の8,883百万円、営業利益も同314.2%増の244百万円となった。EBITDAは同215.5%増の274百万円、EBITDAマージンは前期の1.1%から3.1%に上昇している。

売上面では、主力自社製品である「LifeKeeper」の国内販売及びRed Hat, Inc.関連商品において、案件の一部を前倒し受注したこと、複数の大型案件を新規に受注できたことにより、好調な増収となった。利益面では、「LifeKeeper」を中心に売上が好調に推移したことが増益要因となった。

(2) アプリケーション事業
アプリケーション事業の売上高は前期比0.6%減の5,957百万円、営業損失で8百万円(前期は4百万円の損失)となった。EBITDAは前期比5.4%減の54百万円と減益となり、EBITDAマージンは前期の1.0%から0.9%となった。

システム開発・構築支援は、教育機関など文教向けの統合認証システムが好調に推移した。また、クラウドサービス「Gluegentシリーズ」も、企業のクラウドシフトやテレワーク体制の導入を背景に販売が好調に推移した。

一方、主力自社製品であるMFP向けソフトウェア製品は、出荷本数は前期比で増加したものの、サブスクリプション販売へのシフトによる影響が大きく、減収となった。同社では2019年12月期第4四半期から売り切りモデルに加えてサブスクリプションモデルを導入しており、2020年以降、サブスクリプション販売の比率は上昇傾向が続いている。ただ、これまでにサブスクリプション方式で契約した分については、2021年12月期以降の売上にも貢献することになる。また、既述のように社会公共アウトソーシングサービス事業を他社に売却したことも減収要因の一つとなっている。

利益面では、文教向けシステム開発・構築支援等の増収に加え、金融機関向けシステム開発・構築支援において前期に発生した不採算案件の影響等がなくなったものの、MFP向けソフトウェア製品の減収による影響が大きかったため、前期比で営業損失が若干拡大した。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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