ブイキューブ Research Memo(6):イベントDX事業とサードプレイスDX事業が急成長を遂げる
[21/04/06]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ブイキューブ<3681>の業績動向
2. 事業セグメント別業績
(1) エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業の売上高は前期比0.7%減の4,679百万円、セグメント利益は同264.1%増の841百万円となった。売上高が微減となっているのは、2019年12月期第1四半期の売上高に、当時連結子会社であったアイスタディ(現 クシム)の売上121百万円が含まれているためで、同要因を除いた既存事業ベースでは2.0%の増収となっている。利益面では、利益率の高い「SDK」の売上が急増したことに加えて、LMS/TMS事業の収益改善(前期比135百万円の増益)や、前期に前倒しで一括計上したロイヤリティ費用が減少したことなどが増益要因となった。
主力サービスの売上動向を見ると、「V-CUBEミーティング」等の汎用Web会議は、前期の33億円から30億円に減少した。前期は金融機関向けのオンプレミス案件の売上計上があったこと、戦略的に需要が旺盛なイベントDX事業やその他の付加価値サービスにリソースを投下したことなどが要因だ。また「SDK」については、ライブ配信需要の拡大等を背景に、前期の0.9億円から4.2億円に急拡大した。同サービスは限界利益率が80%以上と高く、利益増に直結する。加えて、緊急対策ソリューションも前期の2億円から5億円に拡大した。自然災害の多発により、自治体や消防署で導入が進んだ。
LMS/TMSは前期の10.6億円から7.8億円に減少したが、シンガポール子会社だけで見ても9.3億円から7.8億円と減収となっている。これは、学校向けサービスが前期比30%減と減少傾向が続いたことが要因だ。なお、企業向けに関しては同9.2%増と拡大が続いている。学校向けと企業向けの売上割合は前期の56:44から2020年12月期は45:55と初めて逆転しており、学校向けの売上が下げ止まれば増収に転じることになる。LMS/TMSの営業損益については、人員削減などに取り組んだ効果もあって、前期の13百万円の損失から122百万円の利益へ黒字転換している。
(2) イベントDX事業
イベントDX事業の売上高は前期比126.0%増の2,628百万円、セグメント利益は同316.7%増の575百万円となった。これは、コロナ禍においてWebセミナーを活用する企業が増加したことが要因だ。同事業の限界利益率は65〜70%程度で、売上高の増加に対して利益の増加が小さいように見えるが、これは急激な需要増加に対応するため、人材や機材の投資を行ったこと、外注を多く活用したこと、営業費用を各セグメントの売上按分で配賦している会計上の影響が要因となっている。
2020年12月期のイベント配信回数は前期比99.5%増の4,753回に急増した。前期までは8割強を製薬業界向けWeb講演会で占めていたが、当期は製薬業界だけでなく、就職説明会や各種投資セミナー、バーチャル株主総会、企業のIR説明会など様々な領域で需要が立ち上がったことが要因だ。また1回当たりの平均単価についても、前期の49.4万円か56.5万円と14.3%上昇した。なお、四半期ベースで見ると第2四半期に65.6万円と高くなっているが、これは緊急事態宣言下において医療関係者の安全のため製薬業界向けWeb講演会が一時的に落ち込み、逆にその他の業界にてオンライン化が急速に進んだことが影響したと見られる。
(3) サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業の売上高は前期比96.6%増の975百万円、セグメント利益は同765.2%増の199百万円となった。緊急事態宣言が発令された2020年4月から5月は、「テレキューブ」の設置工事も進まなかったため計画から遅れ気味となっていたが、第3四半期以降は企業向けを中心に急速に需要が拡大した。企業向けの販売台数は、サブスクリプションモデルも含めて同1,243台増加の1,523台に、公共空間向けは同83台増加の148台となり、累計設置台数では前期末比1,671台増加の2,055台となった。企業向けの販売の大半は、ロイヤリティ収入のみを計上するオカムラでの販売となっているため、台数の増加と比較して売上高の伸びは低いものの、利益率は前期の4.6%から20.5%と大きく上昇した。また公共空間向けに関しては、駅構内やオフィスビル、複合施設などに加えて、市役所やコンビニエンスストアなど生活圏内でも導入実績が出はじめており、今後もさらなる普及拡大が期待される状況となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別業績
(1) エンタープライズDX事業
エンタープライズDX事業の売上高は前期比0.7%減の4,679百万円、セグメント利益は同264.1%増の841百万円となった。売上高が微減となっているのは、2019年12月期第1四半期の売上高に、当時連結子会社であったアイスタディ(現 クシム)の売上121百万円が含まれているためで、同要因を除いた既存事業ベースでは2.0%の増収となっている。利益面では、利益率の高い「SDK」の売上が急増したことに加えて、LMS/TMS事業の収益改善(前期比135百万円の増益)や、前期に前倒しで一括計上したロイヤリティ費用が減少したことなどが増益要因となった。
主力サービスの売上動向を見ると、「V-CUBEミーティング」等の汎用Web会議は、前期の33億円から30億円に減少した。前期は金融機関向けのオンプレミス案件の売上計上があったこと、戦略的に需要が旺盛なイベントDX事業やその他の付加価値サービスにリソースを投下したことなどが要因だ。また「SDK」については、ライブ配信需要の拡大等を背景に、前期の0.9億円から4.2億円に急拡大した。同サービスは限界利益率が80%以上と高く、利益増に直結する。加えて、緊急対策ソリューションも前期の2億円から5億円に拡大した。自然災害の多発により、自治体や消防署で導入が進んだ。
LMS/TMSは前期の10.6億円から7.8億円に減少したが、シンガポール子会社だけで見ても9.3億円から7.8億円と減収となっている。これは、学校向けサービスが前期比30%減と減少傾向が続いたことが要因だ。なお、企業向けに関しては同9.2%増と拡大が続いている。学校向けと企業向けの売上割合は前期の56:44から2020年12月期は45:55と初めて逆転しており、学校向けの売上が下げ止まれば増収に転じることになる。LMS/TMSの営業損益については、人員削減などに取り組んだ効果もあって、前期の13百万円の損失から122百万円の利益へ黒字転換している。
(2) イベントDX事業
イベントDX事業の売上高は前期比126.0%増の2,628百万円、セグメント利益は同316.7%増の575百万円となった。これは、コロナ禍においてWebセミナーを活用する企業が増加したことが要因だ。同事業の限界利益率は65〜70%程度で、売上高の増加に対して利益の増加が小さいように見えるが、これは急激な需要増加に対応するため、人材や機材の投資を行ったこと、外注を多く活用したこと、営業費用を各セグメントの売上按分で配賦している会計上の影響が要因となっている。
2020年12月期のイベント配信回数は前期比99.5%増の4,753回に急増した。前期までは8割強を製薬業界向けWeb講演会で占めていたが、当期は製薬業界だけでなく、就職説明会や各種投資セミナー、バーチャル株主総会、企業のIR説明会など様々な領域で需要が立ち上がったことが要因だ。また1回当たりの平均単価についても、前期の49.4万円か56.5万円と14.3%上昇した。なお、四半期ベースで見ると第2四半期に65.6万円と高くなっているが、これは緊急事態宣言下において医療関係者の安全のため製薬業界向けWeb講演会が一時的に落ち込み、逆にその他の業界にてオンライン化が急速に進んだことが影響したと見られる。
(3) サードプレイスDX事業
サードプレイスDX事業の売上高は前期比96.6%増の975百万円、セグメント利益は同765.2%増の199百万円となった。緊急事態宣言が発令された2020年4月から5月は、「テレキューブ」の設置工事も進まなかったため計画から遅れ気味となっていたが、第3四半期以降は企業向けを中心に急速に需要が拡大した。企業向けの販売台数は、サブスクリプションモデルも含めて同1,243台増加の1,523台に、公共空間向けは同83台増加の148台となり、累計設置台数では前期末比1,671台増加の2,055台となった。企業向けの販売の大半は、ロイヤリティ収入のみを計上するオカムラでの販売となっているため、台数の増加と比較して売上高の伸びは低いものの、利益率は前期の4.6%から20.5%と大きく上昇した。また公共空間向けに関しては、駅構内やオフィスビル、複合施設などに加えて、市役所やコンビニエンスストアなど生活圏内でも導入実績が出はじめており、今後もさらなる普及拡大が期待される状況となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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