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エーバランス Research Memo(6):2021年6月期第2四半期業績はVSUNの新規連結化で大幅な増収増益

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年6月期第2四半期累計業績の概要
Abalance<3856>の2021年6月期第2四半期累計の連結業績は、売上高で前年同期比278.2%増の11,573百万円、営業利益で同297.2%増の845百万円、経常利益で同625.0%増の881百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益で同529.2%増の348百万円と大幅な増収増益となった。第2四半期よりVSUNを連結子会社として取り込んだことが主因で、世界的な再生エネルギーへの需要増などを背景に、グループとして一段上のステージに入った格好だ。

(1) グリーンエネルギー事業
グリーンエネルギー事業の売上高は前年同期比13.8%減の2,502百万円、セグメント利益は同8.0%増の501百万円となった。売上高は、前述したとおりフロー型ビジネスからストック型ビジネスへの転換を進めている影響で減収となったが、開発した発電所の売電開始により売電収入が増加傾向にあり、損益改善要因となった。近年売電を開始した発電所には、勝間第三太陽光発電所(稼働時期:2020年2月、年間想定売電収入:9百万円)、高梁第二太陽光発電所(売電開始時期:同3月、40百万円)、宮之浦太陽光発電所(同4月、110百万円)、湖西市太田ソーラーパーク(同6月、30百万円)、花畑太陽光発電所(一部区画。同11月、62百万円)等がある。

今後、新たに売電を開始する発電所としては、宮城県角田市太陽光発電所が2021年3月1日から売電を開始しており、売電収入額は年間750百万円(暦年ベース)を想定している。また、WWB河口湖太陽光発電所についても売電を開始(想定年間売電収入額:60百万円)したほか、同年6月には福島大波太陽光発電所で売電を開始(同218百万円)する予定となっている。さらには、M&Aにより取得した(株)BLESSが開発する神戸市天が岡の太陽光発電所も売電開始(同75百万円)の予定となっている。今後も新たな発電所を開発またはM&Aで取得しながら、売電収入の積み上げを図っていく方針となっている。

太陽光発電の事業は、不動産賃貸業と異なり、オフィスビルに見られるような空室リスクがない。また、発電量は過去のトラックレコードから合理的に推定が可能である。売電収入は中長期の安定収益源であるため、将来の増益が期待される。

すでに安定収益化しているO&M事業では、落雷対策で効果のあるアース線配線や、施設内カメラの設置によるセキュリティの確保、RPAシステムを通じた異常点探知等のシステム提案等が評価されており、着実に実績を積み上げている。

また、海外事業においては、ベトナム、台湾、カンボジア等、東南アジア諸国の旺盛な電力需要に対してグリーンエネルギーを供給するため、現地企業との合弁等により事業参画している。また、環境省が実施した2019年度「二国間クレジット制度資金支援事業のうち設備補助事業」の公募案件の採択を受け、カンボジア国内における太陽光発電(1MW)とバイオマス発電(0.5MW)を併設したハイブリッド発電設備の整備プロジェクトを推進していくことになっている。2020年はコロナ禍の影響により海外渡航制限などがあったが、2021年に入ってリスク管理を適切に行いながらプロジェクトを推進していくとしている。同社では今後も現地企業との合弁や、JCMを通じたプロジェクトに積極的に参画し、海外事業を拡大していく方針となっている。

そのほか、新規事業として陸上の小型風力発電所の開発を進めている。2020年3月に北海道檜山エリアにて10機の風力発電所を稼働しており、今後も採算性を見ながら小型風力発電所の開発を進めていく予定となっている。風力発電所についても、保有による売電収入を獲得していく方針である。また物販事業では、ポータブルバッテリー「楽でんくん」やヘルスケアラインのブランド「MaxarSAFETY+3」(ディスプレイ型自動検温システム)の販売を開始した。

(2) 太陽光パネル製造事業
太陽光パネル製造事業は売上高で8,760百万円、セグメント利益で545百万円を計上した(2020年10〜12月期の3ヶ月間の業績)。グリーンエネルギーの世界的な需要拡大を受け、欧米向けを中心に売上が伸長した。同期間においては米国での大型受注案件の売上も寄与した。グリーンエネルギーの世界的な需要拡大を受けて業績が拡大し、世界の太陽光パネル市場はその上位を中国企業が占めるなかで、VSUNは日系最大の太陽光パネルメーカーになったと同社は説明している。VSUNの2020年12月期売上高としては250億円を超えたもようで、前期比では2倍強の成長となったようだ。

(3) IT事業
IT事業の売上高は前年同期65.3%減の11百万円、セグメント損失は7百万円(前年同期は34百万円の損失)となった。業務効率の向上による生産性向上ツールとなる「Knowledge Market®」やRPA導入支援に係る製品・サービス等の拡販に取り組んだほか、IoTによる各種サーベイ調査の収集支援等を実施した。またグリーンエネルギーの供給やRE100推進等に関連したSDGsを志向する企業や自治体等からのニーズについては、グリーンエネルギー事業と連携を図りつつ事業を推進している。売上高については低調に推移したものの、利益面では2019年10月に会社分割によりAbitを設立した際に要した初期費用や広告宣伝費などが減少したことにより、前年同期に対して損失額が縮小している。

(4) 光触媒事業
光触媒事業については、売上高で前年同期比2.4%増の54百万円、セグメント損失で1百万円(前年同期は1百万円の損失)となった。売上高は抗菌・抗ウィルス製品「blocKIN」の商品ラインナップ拡充を図ったことや、新型コロナウィルス対策として「サガンコート」の施工サービスに注力したことで増収となった。一方、利益面では新製品の開発費用や販促のための広告宣伝費の増加により、前年同期並みの水準にとどまった。「サガンコート」の施工サービスについては「光触媒LIFE」事業として、2020年6月からFC加盟・代理店の募集も開始するなど、2021年6月期通期では黒字化が見通せる状況となっている。

(5) その他
その他には建機販売事業が含まれており、売上高は前年同期比247.8%増の244百万円、セグメント損失は13百万円(前年同期は41百万円の損失)となった。国内建機供給にとどまらず、バングラデシュや中国などのインフラ整備事業などへのレンタル事業も強化した。現地ニーズへの迅速かつきめ細かなフォローを持ち味とし、利益面は回復傾向にある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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