システムサポート Research Memo(8):高い技術力を強みに、ストック型ビジネスの積み上げにより高成長を目指す
[21/04/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
2. 成長戦略
システムサポート<4396>は今後の成長戦略として、ソリューション事業におけるクラウドやERP、データベース関連の既存事業の拡大に取り組んでいくほか、ストック型ビジネスとなるデータセンターサービス等のアウトソーシング事業、プロダクト事業を伸ばしていくことで収益成長を加速していく戦略となっている。また成長戦略を支える人材については、連結ベースで新卒社員60名、キャリア社員90名ペースで年間採用を行っていく。事業拠点のある東京、大阪、名古屋、金沢でそれぞれ現地採用をしており、2021年春の新卒社員は東京で32名、名古屋で7名、大阪で10名、金沢で11名を採用した。各事業の重点施策は以下のとおり。
(1) ソリューション事業
ソリューション事業では主に3つの取り組みを推進していくことで、成長を目指していく。1つ目は、「データベース×クラウド基盤」の構築案件の受注を強化する。ここ数年、企業は既存のITシステムをクラウド基盤、特にMicrosoft Azure やAWSなどのグローバルIT企業が提供するクラウドへ移行する動きを活発化させている。同社ではこうした顧客に対するコンサルティングや基盤構築、移行支援案件の受注を取り込み、また、同時に各クラウドのアカウントリセールやオプションサービスを開発・提供していくことで、ストック型ビジネスの収益を積み上げていく戦略だ。
同社は長年培ってきたデータベース分野の技術力を強みとして、クラウドでのデータベースやデータ分析基盤の利用に関する案件(専門性が高く、参入障壁の高い分野)を数多く手掛けて、2014年には国内で初めてAWSのAPNパートナー制度「Oracle コンピテンシー」※に認定されている。今後もデータベース関連についてはクラウド移行案件も含めて安定収益源として受注を取り組んでいく方針だ。また、今後も技術者の採用並びに育成に積極的に投資し、AWSやMicrosoftといった国内トップシェアを持つクラウドベンダーとの連携を強化することで、顧客紹介により営業コストをかけることなく、継続的な受注を確保し、成長を目指していく。
※ 「Oracleコンピテンシー」は、AWSクラウド上で実行されるOracleベースのワークロードを設計、デプロイ、及び管理・運用までをトータルでサポートする技術・実績のあるパートナーをAWSが評価し認定するもの。2021年3月時点国内認定企業は5社となっている。
2つ目の重点施策として、高成長が続いている「ServiceNow」の導入・利用支援サービスを強化していく。前述したとおり、同サービスは企業の業務の標準化・自動化に寄与する様々な機能が用意されており、ここ数年、世界で高成長を続けている。2020年は国内においてもコロナ禍で企業のDX化に対する取り組みが加速するなか、非接触を前提としたワークフローの構築や可視化を手軽に実現できる「ServiceNow」の機能性に注目が集まり、成長が加速している状況にある。
同社は北米子会社を通じて現地の最新IT動向を収集しており、そのなかで「ServiceNow」の成長性にいち早く着目し、2015年にパートナー契約を締結、積極的に拡販に取り組んできた。こうした実績が評価され、2017年に国内企業で初めて、「Bronze Services Partner」※に認定されたほか、2019年には「Elite Partner」※に認定されている。今後も技術者の育成に取り組み、安定的にサービス提供できる体制を整備していくことで、旺盛な需要に対応していく方針だ。競合はアクセンチュア(株)や(株)日立ソリューションズなどである。売上高が2018年6月期の約2億円から2019年6月期に約4億円、2020年6月期に約7億円となり、2021年6月期は10億円を突破する勢いとなっている。利益率も相対的に高く、同事業の成長によってソリューション事業の収益性もさらに上昇する可能性があり、今後の動向が注目される。
※ ServiceNowのパートナープログラムでの認定は顧客満足度や販売・導入実績などが基準となる。なお同社は、国内でのServiceNow認定構築資格取得数は2020年12月末で2位となっている。
3つ目の重点施策として、「SAP ERP」を中心としたERP関連の受注拡大に取り組んでいく。「SAP ERP」に関しては、製品の保守サポートが2027年に終了することが決まっており、現在、現行システムである「SAP ERP」から次世代ソリューションの「SAP S/4 HANA」への移行需要が増加しているほか、当面は「SAP ERP」を継続して使い続けるといった両方の需要もある。また、「SAP S/4 HANA」に関してはオンプレミス版とSaaS版で提供しており、オンプレミス版はAWSやGoogleのパブリッククラウド、SAPのプライベートクラウドなどで利用が可能なため、クラウドへの移行支援案件も多く、2027年の保守期限切れまでにこうしたERP関連の需要は年率10%程度の成長が続くものと予想されている。「SAP ERP」に関しては同社と子会社のT4Cを合わせて技術者が約170名在籍しており、「SAP ERP」の主領域及び全階層(インフラ、ミドルウェア、アプリケーション)の開発に対応しているほか、SAP以外のERP製品にも技術・ノウハウを有しており、顧客ニーズに応じて幅広く安定的なサービスを提供できることが強みとなっている。2027年に向けた需要の高まりに対応すべく、今後も技術者の増員及び育成を図ると同時に、北陸地区で既存システムの保守に関するニアショア対応可能な体制を構築しながら、着実な成長を目指していく方針となっている。なお、ERP利用支援の競合は多いが、大規模案件の場合はリスクを考え直接受注はせず、NRI<4307>やアクセンチュアが元請けとなり、共同でプロジェクトを進めていくケースが多い。
(2) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業では、ストック型ビジネスとなるデータセンターサービスの積み上げに引き続き注力していく。データセンターを地震発生リスクの低い金沢市に2ケ所設置しており、BCP対策としてのバックアップ用途としての需要拡大が期待でき、プライベートクラウドを構築する企業が顧客ターゲットとなる。独自の付加価値サービスをフック役として、更なる成長を目指していく。なお、データセンターの処理能力はまだ余裕があり、既存のセンターの能力を逐次増強していくことで、売上成長は可能だ。2020年12月時点でデータセンターサービスの初期費用を除く月額や年額の売上は月間で88百万円程度と、前年同月比で10%台の成長が続いており、今後も同様のペースで拡大が続くものと予想される。
(3) プロダクト事業
プロダクト事業においては、各プロダクトの機能向上や、代理店経由での販売強化、Webマーケティングなどの施策に取り組み、また、顧客ニーズに合わせたカスタマイズにも取り組んでいくことで、契約件数を伸ばし、収益を拡大していく戦略となっている。既に、「建て役者」「MOS」は黒字化しており、今後は機能強化のための開発費を除けば、売上増分が利益増に直結する体制になってきている。また、「MOS」や「就業役者」は働き方改革や在宅勤務の普及といった追い風を受け、引き合いが増加している。今後は、Webマーケティングや販売チャネルの強化により、いかに契約件数を伸ばしていくことができるかが収益成長の鍵を握ることになる。なお、プロダクト事業に関してはM&Aも視野に検討していく意向となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 成長戦略
システムサポート<4396>は今後の成長戦略として、ソリューション事業におけるクラウドやERP、データベース関連の既存事業の拡大に取り組んでいくほか、ストック型ビジネスとなるデータセンターサービス等のアウトソーシング事業、プロダクト事業を伸ばしていくことで収益成長を加速していく戦略となっている。また成長戦略を支える人材については、連結ベースで新卒社員60名、キャリア社員90名ペースで年間採用を行っていく。事業拠点のある東京、大阪、名古屋、金沢でそれぞれ現地採用をしており、2021年春の新卒社員は東京で32名、名古屋で7名、大阪で10名、金沢で11名を採用した。各事業の重点施策は以下のとおり。
(1) ソリューション事業
ソリューション事業では主に3つの取り組みを推進していくことで、成長を目指していく。1つ目は、「データベース×クラウド基盤」の構築案件の受注を強化する。ここ数年、企業は既存のITシステムをクラウド基盤、特にMicrosoft Azure やAWSなどのグローバルIT企業が提供するクラウドへ移行する動きを活発化させている。同社ではこうした顧客に対するコンサルティングや基盤構築、移行支援案件の受注を取り込み、また、同時に各クラウドのアカウントリセールやオプションサービスを開発・提供していくことで、ストック型ビジネスの収益を積み上げていく戦略だ。
同社は長年培ってきたデータベース分野の技術力を強みとして、クラウドでのデータベースやデータ分析基盤の利用に関する案件(専門性が高く、参入障壁の高い分野)を数多く手掛けて、2014年には国内で初めてAWSのAPNパートナー制度「Oracle コンピテンシー」※に認定されている。今後もデータベース関連についてはクラウド移行案件も含めて安定収益源として受注を取り組んでいく方針だ。また、今後も技術者の採用並びに育成に積極的に投資し、AWSやMicrosoftといった国内トップシェアを持つクラウドベンダーとの連携を強化することで、顧客紹介により営業コストをかけることなく、継続的な受注を確保し、成長を目指していく。
※ 「Oracleコンピテンシー」は、AWSクラウド上で実行されるOracleベースのワークロードを設計、デプロイ、及び管理・運用までをトータルでサポートする技術・実績のあるパートナーをAWSが評価し認定するもの。2021年3月時点国内認定企業は5社となっている。
2つ目の重点施策として、高成長が続いている「ServiceNow」の導入・利用支援サービスを強化していく。前述したとおり、同サービスは企業の業務の標準化・自動化に寄与する様々な機能が用意されており、ここ数年、世界で高成長を続けている。2020年は国内においてもコロナ禍で企業のDX化に対する取り組みが加速するなか、非接触を前提としたワークフローの構築や可視化を手軽に実現できる「ServiceNow」の機能性に注目が集まり、成長が加速している状況にある。
同社は北米子会社を通じて現地の最新IT動向を収集しており、そのなかで「ServiceNow」の成長性にいち早く着目し、2015年にパートナー契約を締結、積極的に拡販に取り組んできた。こうした実績が評価され、2017年に国内企業で初めて、「Bronze Services Partner」※に認定されたほか、2019年には「Elite Partner」※に認定されている。今後も技術者の育成に取り組み、安定的にサービス提供できる体制を整備していくことで、旺盛な需要に対応していく方針だ。競合はアクセンチュア(株)や(株)日立ソリューションズなどである。売上高が2018年6月期の約2億円から2019年6月期に約4億円、2020年6月期に約7億円となり、2021年6月期は10億円を突破する勢いとなっている。利益率も相対的に高く、同事業の成長によってソリューション事業の収益性もさらに上昇する可能性があり、今後の動向が注目される。
※ ServiceNowのパートナープログラムでの認定は顧客満足度や販売・導入実績などが基準となる。なお同社は、国内でのServiceNow認定構築資格取得数は2020年12月末で2位となっている。
3つ目の重点施策として、「SAP ERP」を中心としたERP関連の受注拡大に取り組んでいく。「SAP ERP」に関しては、製品の保守サポートが2027年に終了することが決まっており、現在、現行システムである「SAP ERP」から次世代ソリューションの「SAP S/4 HANA」への移行需要が増加しているほか、当面は「SAP ERP」を継続して使い続けるといった両方の需要もある。また、「SAP S/4 HANA」に関してはオンプレミス版とSaaS版で提供しており、オンプレミス版はAWSやGoogleのパブリッククラウド、SAPのプライベートクラウドなどで利用が可能なため、クラウドへの移行支援案件も多く、2027年の保守期限切れまでにこうしたERP関連の需要は年率10%程度の成長が続くものと予想されている。「SAP ERP」に関しては同社と子会社のT4Cを合わせて技術者が約170名在籍しており、「SAP ERP」の主領域及び全階層(インフラ、ミドルウェア、アプリケーション)の開発に対応しているほか、SAP以外のERP製品にも技術・ノウハウを有しており、顧客ニーズに応じて幅広く安定的なサービスを提供できることが強みとなっている。2027年に向けた需要の高まりに対応すべく、今後も技術者の増員及び育成を図ると同時に、北陸地区で既存システムの保守に関するニアショア対応可能な体制を構築しながら、着実な成長を目指していく方針となっている。なお、ERP利用支援の競合は多いが、大規模案件の場合はリスクを考え直接受注はせず、NRI<4307>やアクセンチュアが元請けとなり、共同でプロジェクトを進めていくケースが多い。
(2) アウトソーシング事業
アウトソーシング事業では、ストック型ビジネスとなるデータセンターサービスの積み上げに引き続き注力していく。データセンターを地震発生リスクの低い金沢市に2ケ所設置しており、BCP対策としてのバックアップ用途としての需要拡大が期待でき、プライベートクラウドを構築する企業が顧客ターゲットとなる。独自の付加価値サービスをフック役として、更なる成長を目指していく。なお、データセンターの処理能力はまだ余裕があり、既存のセンターの能力を逐次増強していくことで、売上成長は可能だ。2020年12月時点でデータセンターサービスの初期費用を除く月額や年額の売上は月間で88百万円程度と、前年同月比で10%台の成長が続いており、今後も同様のペースで拡大が続くものと予想される。
(3) プロダクト事業
プロダクト事業においては、各プロダクトの機能向上や、代理店経由での販売強化、Webマーケティングなどの施策に取り組み、また、顧客ニーズに合わせたカスタマイズにも取り組んでいくことで、契約件数を伸ばし、収益を拡大していく戦略となっている。既に、「建て役者」「MOS」は黒字化しており、今後は機能強化のための開発費を除けば、売上増分が利益増に直結する体制になってきている。また、「MOS」や「就業役者」は働き方改革や在宅勤務の普及といった追い風を受け、引き合いが増加している。今後は、Webマーケティングや販売チャネルの強化により、いかに契約件数を伸ばしていくことができるかが収益成長の鍵を握ることになる。なお、プロダクト事業に関してはM&Aも視野に検討していく意向となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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