SBSHD Research Memo(3):2020年12月期は宅配事業や不動産収益の拡大により過去最高業績を連続更新
[21/04/19]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2020年12月期の業績概要
SBSホールディングス<2384>の2020年12月期の連結業績は、売上高で前期比0.6%増の257,192百万円、営業利益で同7.7%増の10,960百万円、経常利益で同7.0%増の10,883百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同12.3%増の6,826百万円となり、売上高及び営業利益は3期連続、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は2期連続で過去最高を更新した。売上高、営業利益、経常利益は期初会社計画に若干届かなかったものの、コロナ禍の影響で企業間物流が大きな打撃を受けるなかで、増収増益を確保したことは高く評価される。
主力の物流事業は、企業間物流の落込みを宅配事業や食品物流の拡大でカバーし、売上高は横ばい水準を確保したものの、企業間物流の採算悪化により営業利益は減益となった。一方、不動産事業は物流センターの流動化により2ケタ増収増益となり、増益のけん引役となった。なお、東芝ロジスティクスを2020年11月に子会社化したが、連結業績には2021年12月期から組み込まれることになり、2020年12月期にはM&A関連費用122百万円のみ計上した。また、特別利益として投資有価証券売却益409百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は期初計画を上回って着地している。
物流事業は宅配事業と食品物流が拡大、不動産事業は長津田物流センターの売却益が貢献
2. 事業セグメント別の動向
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比0.02%増の240,818百万円、営業利益は同4.6%減の5,990百万円となり、同事業セグメントとしては7期振りの減益となった。コロナ禍における巣ごもり消費の拡大で宅配物流や食品物流が好調に推移したものの、企業間物流や海外物流の落込みをカバーしきれなかった。
売上高の減少要因としては、コロナ禍の影響による企業間物流並びに海外物流の落込みで100億円、増収要因としては、巣ごもり消費の拡大による宅配物流や食品物流の増加で44億円、新設拠点の稼働による増収で23億円(2020年3月に「城南島物流センター」(東京都大田区)、同年10月に「横浜幸浦物流センター」を開設)、BtoCを含めた既存顧客の物流量増加で33億円となった。物流種別で分けると、一般物流が前期比4%減の1,286億円となった一方で、食品物流が同3%増の821億円、宅配物流が同10%増の301億円となった。
また、営業利益の増減要因を見ると、宅配物流や食品物流の売上拡大で1,412百万円、その他の増収効果で158百万円、料金の適正化で566百万円、燃料費の削減で391百万円の増益要因となった一方で、企業間物流及び海外物流の落込みで1,998百万円、3PL新設拠点の立ち上げ費用増で355百万円、M&A関連費用増で122百万円、人件費及び傭車費用の増加で339百万円の減益要因となった。なお、燃料(軽油)の平均仕入価格は前期の98.5円/Lから84.0円/Lに低下し、1円/Lの下落で年間約25百万円の増益要因となっている。
会社別で見ると、SBSリコーロジスティクスがコロナ禍の影響で国内外ともに物流量が落込み、売上高で前期比6%減収、営業利益で同約8億円の減益となった。ただ、下期以降は宅配物流の取り扱いを増やしたこともあり、収益は回復傾向となっている。SBSロジコムについては売上高で前期並みの水準を確保したものの減益となり、宅配物流を手掛けるSBS即配サポートや生協物流が主力のSBSゼンツウは増収増益に、食品物流のSBSフレックは増収、利益は若干の減益となった。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比19.8%増の9,349百万円、営業利益は同20.4%増の4,558百万円と2期ぶりの増収増益に転じた。このうち、開発事業は売上高で前期比33.3%増の7,170百万円、営業利益で同36.7%増の3,305百万円となった。「長津田物流センター」(横浜市)の信託受益権を、2018年以降3回に分割して売却(30%、30%、40%)を進めており、当期は40%分を売却したことが収益の増加要因となった。一方、賃貸事業は自社保有施設の売却によって賃料収入が減少し、売上高で同10.1%減の2,179百万円、営業利益で同8.5%減の1,253百万円となった。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比0.7%増の7,024百万円、営業利益は同36.7%増の254百万円となった。主力の人材派遣事業はコロナ禍の影響を受け、売上高で同9.0%減の3,688百万円、営業損失で138百万円(前期は13百万円の利益)と収益が悪化した。一方、マーケティング事業はECサイト構築支援サービス並びに自社運営するECサイトでのペットフードの販売好調により、売上高で同12.8%増の1,719百万円、営業利益で同29.4%増の132百万円と好調に推移した。また、太陽光発電事業も発電量の増加により売上高で同4.8%増の434百万円、営業利益で同19.0%増の175百万円と増収増益となった。環境事業他も売上高で同20.4%増の1,181百万円、営業利益で85百万円(前期は78百万円の損失)と大きく収益が回復したが、これは前期に環境事業で設備更新のための一時休止を実施し、当期は通年稼働に戻ったことが収益増の要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>
1. 2020年12月期の業績概要
SBSホールディングス<2384>の2020年12月期の連結業績は、売上高で前期比0.6%増の257,192百万円、営業利益で同7.7%増の10,960百万円、経常利益で同7.0%増の10,883百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同12.3%増の6,826百万円となり、売上高及び営業利益は3期連続、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は2期連続で過去最高を更新した。売上高、営業利益、経常利益は期初会社計画に若干届かなかったものの、コロナ禍の影響で企業間物流が大きな打撃を受けるなかで、増収増益を確保したことは高く評価される。
主力の物流事業は、企業間物流の落込みを宅配事業や食品物流の拡大でカバーし、売上高は横ばい水準を確保したものの、企業間物流の採算悪化により営業利益は減益となった。一方、不動産事業は物流センターの流動化により2ケタ増収増益となり、増益のけん引役となった。なお、東芝ロジスティクスを2020年11月に子会社化したが、連結業績には2021年12月期から組み込まれることになり、2020年12月期にはM&A関連費用122百万円のみ計上した。また、特別利益として投資有価証券売却益409百万円を計上したこと等により、親会社株主に帰属する当期純利益は期初計画を上回って着地している。
物流事業は宅配事業と食品物流が拡大、不動産事業は長津田物流センターの売却益が貢献
2. 事業セグメント別の動向
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比0.02%増の240,818百万円、営業利益は同4.6%減の5,990百万円となり、同事業セグメントとしては7期振りの減益となった。コロナ禍における巣ごもり消費の拡大で宅配物流や食品物流が好調に推移したものの、企業間物流や海外物流の落込みをカバーしきれなかった。
売上高の減少要因としては、コロナ禍の影響による企業間物流並びに海外物流の落込みで100億円、増収要因としては、巣ごもり消費の拡大による宅配物流や食品物流の増加で44億円、新設拠点の稼働による増収で23億円(2020年3月に「城南島物流センター」(東京都大田区)、同年10月に「横浜幸浦物流センター」を開設)、BtoCを含めた既存顧客の物流量増加で33億円となった。物流種別で分けると、一般物流が前期比4%減の1,286億円となった一方で、食品物流が同3%増の821億円、宅配物流が同10%増の301億円となった。
また、営業利益の増減要因を見ると、宅配物流や食品物流の売上拡大で1,412百万円、その他の増収効果で158百万円、料金の適正化で566百万円、燃料費の削減で391百万円の増益要因となった一方で、企業間物流及び海外物流の落込みで1,998百万円、3PL新設拠点の立ち上げ費用増で355百万円、M&A関連費用増で122百万円、人件費及び傭車費用の増加で339百万円の減益要因となった。なお、燃料(軽油)の平均仕入価格は前期の98.5円/Lから84.0円/Lに低下し、1円/Lの下落で年間約25百万円の増益要因となっている。
会社別で見ると、SBSリコーロジスティクスがコロナ禍の影響で国内外ともに物流量が落込み、売上高で前期比6%減収、営業利益で同約8億円の減益となった。ただ、下期以降は宅配物流の取り扱いを増やしたこともあり、収益は回復傾向となっている。SBSロジコムについては売上高で前期並みの水準を確保したものの減益となり、宅配物流を手掛けるSBS即配サポートや生協物流が主力のSBSゼンツウは増収増益に、食品物流のSBSフレックは増収、利益は若干の減益となった。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比19.8%増の9,349百万円、営業利益は同20.4%増の4,558百万円と2期ぶりの増収増益に転じた。このうち、開発事業は売上高で前期比33.3%増の7,170百万円、営業利益で同36.7%増の3,305百万円となった。「長津田物流センター」(横浜市)の信託受益権を、2018年以降3回に分割して売却(30%、30%、40%)を進めており、当期は40%分を売却したことが収益の増加要因となった。一方、賃貸事業は自社保有施設の売却によって賃料収入が減少し、売上高で同10.1%減の2,179百万円、営業利益で同8.5%減の1,253百万円となった。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比0.7%増の7,024百万円、営業利益は同36.7%増の254百万円となった。主力の人材派遣事業はコロナ禍の影響を受け、売上高で同9.0%減の3,688百万円、営業損失で138百万円(前期は13百万円の利益)と収益が悪化した。一方、マーケティング事業はECサイト構築支援サービス並びに自社運営するECサイトでのペットフードの販売好調により、売上高で同12.8%増の1,719百万円、営業利益で同29.4%増の132百万円と好調に推移した。また、太陽光発電事業も発電量の増加により売上高で同4.8%増の434百万円、営業利益で同19.0%増の175百万円と増収増益となった。環境事業他も売上高で同20.4%増の1,181百万円、営業利益で85百万円(前期は78百万円の損失)と大きく収益が回復したが、これは前期に環境事業で設備更新のための一時休止を実施し、当期は通年稼働に戻ったことが収益増の要因となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<YM>