SBSHD Research Memo(5):M&A効果と企業間物流の需要回復により大幅増収増益となる見通し
[21/04/19]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
1. 2021年12月期の業績見通し
SBSホールディングス<2384>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比47.7%増の380,000百万円、営業利益で同36.8%増の15,000百万円、経常利益で同36.0%増の14,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同23.0%増の8,400百万円と大幅増収増益となる見通し。SBS東芝ロジスティクスの業績が加わるほか、既存事業においても企業間物流が回復すること、不動産事業においても物流センターの一括売却を予定しており、収益がさらに拡大することなどが要因だ。
SBS東芝ロジスティクスの業績影響額は売上高で1,050億円、のれん償却後の営業利益で20億円程度(償却額は約15億円)を計画に織り込んでおり、既存事業ベースで見ると売上高で前期比約7%増、営業利益で同約19%増となる。2021年1月の売上はSBS東芝ロジスティクス、SBSリコーロジスティクスを中心に会社計画を上回る順調な滑り出しとなったもようで、今後国内外の景気が再び冷え込むような状況にならなければ、業績は計画を上振れする可能性が高いと弊社では見ている。
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比47.3%増の354,800百万円、営業利益は同41.9%増の8,500百万円を見込む。SBS東芝ロジスティクスの連結効果を除いた既存事業ベースでは売上高で同4%増、営業利益で同9%増となる見通しだ。企業間物流の回復並びに新規顧客の取り込みにより、SBSリコーロジスティクスやSBSロジコムの業績がコロナ禍前の水準まで戻ると見ている。そのほか、SBS即配サポートやSBSリコーロジスティクス、SBSフレックについては若干の増収増益、SBSゼンツウについては前期に伸長した反動減により減収減益で計画に織り込んでいる。
3PL事業については東芝ロジスティクスの子会社化により、前期実績の1,070億円から1,500億円を上回る規模となり、3PL業界の国内トップティア入り(上位5位以内)が見込まれている。SBS東芝ロジスティクスについては、従来は東芝グループであったため、競合メーカーからの受注は取りにくかったが、独立系のSBSグループに入ったことでこうした競合メーカーからの問い合わせにも対応しやすくなることもあり、新規顧客の取り込み状況次第では売上規模がさらに拡大する可能性もある。なお、燃料(軽油)価格の前提は97円/L(前期は84.0円/L)としているが、足下の価格は同水準を下回って推移しているもようだ。
宅配物流については前期に大きく伸びたことから微増収で計画を立てているが、SBSリコーロジスティクスのインフラを活用して営業エリアを関西や九州にも拡大していく予定にしており、EC市場の成長も継続することから、2021年12月期も順調な成長が期待される。
また、2021年12月期において新たに稼働する物流施設としては、SBSリコーロジスティクスの「横浜金沢物流センター」(横浜市、延床面積1.5万坪)が挙げられる。同センターの大部分は主要顧客となる大塚商会の「たのめーる」専用センターとして新設され、「IT×LT」の最新システムの導入により、処理能力も既存拠点の2倍に拡大する。具体的には、国内でも最大クラスとなるオートストア(自動倉庫型ピッキングシステム)を導入するほか、自動梱包機やAIを活用した検品システムなども導入する。2021年7月に竣工、10月頃の稼働を予定しているため、業績への本格貢献は2022年以降となるが、最先端物流センターの稼働により、どの程度生産性が向上するか注目される。
さらに、2021年1月にSMC<6273>の子会社であった東洋運輸倉庫(株)の全株式を72億円で取得し、子会社化している。倉庫・通関業務に強みを持つ会社で、業績規模としては年間売上高24億円、営業利益2億円程度となる。連結業績には2021年12月期第2四半期から組み込まれることになる。首都圏近郊の倉庫需要の拡大が今後も続く見通しのなかで、東洋運輸倉庫が東京臨海部に保有する東扇島(川崎市)、若洲(東京都江東区)の大型倉庫(2件合計で延床面積1.8万坪)と、当該エリアにおける同社グループの物流インフラを融合することで、首都圏エリアでの物流事業のさらなる拡大につなげていく。なお、東洋運輸倉庫の売上高に占めるSMCの比率は5%程度と小さく、その他顧客で大半を占めている。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比81.8%増の17,000百万円、営業利益は同36.0%増の6,200百万円となる見通し。このうち、開発事業は売上高で前期比106.4%増の14,800百万円、営業利益で同51.3%増の5,000百万円を見込む。2019年に竣工した「南港物流センター」(大阪市、延床面積1.8万坪)の信託受益権を、一括譲渡することによる。一方、賃貸事業は売上高で前期比1.0%増の2,200百万円、営業利益で同4.2%減の1,200百万円を見込んでいる。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比16.7%増の8,200百万円、営業利益は同37.8%増の350百万円となる見通し。太陽光発電事業は横ばいとなるが、前期に苦戦した人材事業で回復を見込んでいるほか、マーケティング事業や環境他事業の成長が続く見通し。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年12月期の業績見通し
SBSホールディングス<2384>の2021年12月期の連結業績は、売上高で前期比47.7%増の380,000百万円、営業利益で同36.8%増の15,000百万円、経常利益で同36.0%増の14,800百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同23.0%増の8,400百万円と大幅増収増益となる見通し。SBS東芝ロジスティクスの業績が加わるほか、既存事業においても企業間物流が回復すること、不動産事業においても物流センターの一括売却を予定しており、収益がさらに拡大することなどが要因だ。
SBS東芝ロジスティクスの業績影響額は売上高で1,050億円、のれん償却後の営業利益で20億円程度(償却額は約15億円)を計画に織り込んでおり、既存事業ベースで見ると売上高で前期比約7%増、営業利益で同約19%増となる。2021年1月の売上はSBS東芝ロジスティクス、SBSリコーロジスティクスを中心に会社計画を上回る順調な滑り出しとなったもようで、今後国内外の景気が再び冷え込むような状況にならなければ、業績は計画を上振れする可能性が高いと弊社では見ている。
(1) 物流事業
物流事業の売上高は前期比47.3%増の354,800百万円、営業利益は同41.9%増の8,500百万円を見込む。SBS東芝ロジスティクスの連結効果を除いた既存事業ベースでは売上高で同4%増、営業利益で同9%増となる見通しだ。企業間物流の回復並びに新規顧客の取り込みにより、SBSリコーロジスティクスやSBSロジコムの業績がコロナ禍前の水準まで戻ると見ている。そのほか、SBS即配サポートやSBSリコーロジスティクス、SBSフレックについては若干の増収増益、SBSゼンツウについては前期に伸長した反動減により減収減益で計画に織り込んでいる。
3PL事業については東芝ロジスティクスの子会社化により、前期実績の1,070億円から1,500億円を上回る規模となり、3PL業界の国内トップティア入り(上位5位以内)が見込まれている。SBS東芝ロジスティクスについては、従来は東芝グループであったため、競合メーカーからの受注は取りにくかったが、独立系のSBSグループに入ったことでこうした競合メーカーからの問い合わせにも対応しやすくなることもあり、新規顧客の取り込み状況次第では売上規模がさらに拡大する可能性もある。なお、燃料(軽油)価格の前提は97円/L(前期は84.0円/L)としているが、足下の価格は同水準を下回って推移しているもようだ。
宅配物流については前期に大きく伸びたことから微増収で計画を立てているが、SBSリコーロジスティクスのインフラを活用して営業エリアを関西や九州にも拡大していく予定にしており、EC市場の成長も継続することから、2021年12月期も順調な成長が期待される。
また、2021年12月期において新たに稼働する物流施設としては、SBSリコーロジスティクスの「横浜金沢物流センター」(横浜市、延床面積1.5万坪)が挙げられる。同センターの大部分は主要顧客となる大塚商会の「たのめーる」専用センターとして新設され、「IT×LT」の最新システムの導入により、処理能力も既存拠点の2倍に拡大する。具体的には、国内でも最大クラスとなるオートストア(自動倉庫型ピッキングシステム)を導入するほか、自動梱包機やAIを活用した検品システムなども導入する。2021年7月に竣工、10月頃の稼働を予定しているため、業績への本格貢献は2022年以降となるが、最先端物流センターの稼働により、どの程度生産性が向上するか注目される。
さらに、2021年1月にSMC<6273>の子会社であった東洋運輸倉庫(株)の全株式を72億円で取得し、子会社化している。倉庫・通関業務に強みを持つ会社で、業績規模としては年間売上高24億円、営業利益2億円程度となる。連結業績には2021年12月期第2四半期から組み込まれることになる。首都圏近郊の倉庫需要の拡大が今後も続く見通しのなかで、東洋運輸倉庫が東京臨海部に保有する東扇島(川崎市)、若洲(東京都江東区)の大型倉庫(2件合計で延床面積1.8万坪)と、当該エリアにおける同社グループの物流インフラを融合することで、首都圏エリアでの物流事業のさらなる拡大につなげていく。なお、東洋運輸倉庫の売上高に占めるSMCの比率は5%程度と小さく、その他顧客で大半を占めている。
(2) 不動産事業
不動産事業の売上高は前期比81.8%増の17,000百万円、営業利益は同36.0%増の6,200百万円となる見通し。このうち、開発事業は売上高で前期比106.4%増の14,800百万円、営業利益で同51.3%増の5,000百万円を見込む。2019年に竣工した「南港物流センター」(大阪市、延床面積1.8万坪)の信託受益権を、一括譲渡することによる。一方、賃貸事業は売上高で前期比1.0%増の2,200百万円、営業利益で同4.2%減の1,200百万円を見込んでいる。
(3) その他事業
その他事業の売上高は前期比16.7%増の8,200百万円、営業利益は同37.8%増の350百万円となる見通し。太陽光発電事業は横ばいとなるが、前期に苦戦した人材事業で回復を見込んでいるほか、マーケティング事業や環境他事業の成長が続く見通し。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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