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LeTech Research Memo(3):総合不動産ディベロッパー。土地活用の最適なソリューションを提供(2)

注目トピックス 日本株
■会社概要

2. 事業内容
LeTech<3497>は、不動産とITが融合した不動産テック事業である「YANUSY事業」、法律知識を活用した不動産コンサルティング事業である「LEGAL SOLUTION事業」、地域・エリア特性に合わせて様々な企業と連携して開発する「Others」の3つの主力事業を展開しており、特に「YANUSY事業」の拡大に注力している。これらは、同社が強化したい領域を軸に業務を分類したものである。

ただ決算上は、従来どおり以下の「不動産ソリューション事業」「不動産賃貸事業」「その他事業」に区分し、不動産事業を中心とする3セグメントとして事業内容を開示している。

第1の「不動産ソリューション事業」は、同社の主力事業である。様々なソースの物件情報から不動産を仕入れて最適なバリューアップを実施して資産価値を高めたうえで、主に個人富裕層や資産保有目的の事業法人に対して、個々の顧客ニーズに即した物件を販売している。販売する収益不動産は、独自の営業ルートにより仕入れた物件を建物管理状態の改善、用途変更、テナントの入れ替え、大規模修繕等を施すことによって、資産価値の向上を図っている。すなわち、土地有効活用、住宅(マンション)開発、オフィス・ホテル・民泊施設等の商業開発、コンバージョン(既存の建物の用途変更を行って全面的に改装して全く新たな建物として再生させること)及びリノベーション(既存の建物に対して大規模な改装工事を行うことで建物を新築の状態にまで美しくして価値を高めること)等によってバリューアップを図り、売却をしている。

同社の主力商品である低層賃貸マンションシリーズ「LEGALAND」は、富裕層の相続税対策ニーズに対応しており、敷地面積30〜200坪程度、総戸数10〜35戸、販売単価約3〜5億円、販売利回り約4〜6%であり、一棟販売をしている。実績としては、「LEGALAND下北沢」「LEGALAND都立大学」「LEGALAND甲南山手」セットアップオフィスの「THEOTEX BUILDING」など、東京都心エリアに80棟、大阪エリアに6棟を開発している。

第2の「不動産賃貸事業」では、同社保有の収益不動産や販売に至るまでの所有不動産からの賃貸収入の確保を収益の柱としている。また、不動産管理会社と入居者をより良い形でつなぎ、建物をサポートするマンション・ビルの修繕・原状回復工事を主としたファシリティマネジメント事業を合わせて行っている。ファシリティマネジメント事業では、不動産賃貸事業における賃料の増収や稼働率の向上をテーマとして、同社保有物件の退去時の立会いや原状回復工事、リノベーション工事、補修工事なども行っている。ソリューション力を生かした効率の良い運用、情報を生かした仕入による良質な資産、不動産開発のノウハウを駆使した幅広い用途への投資などが同社の強みである。実績としては、「ITビル」「東京レガリス新橋」「Livecasa城東野江」「大和本町ビル」などがある。

第3の「その他事業」では、不動産コンサルティング事業や介護事業を行っている。不動産コンサルティング事業は同社創業以来の事業で、法的側面から生じる弁護士からの民事訴訟案件や金融機関等からのローン延長案件に対して、任意売却の仲介及びコンサルティング等、課題解決法を提案してきた。不動産の専門家として、債務者への買主仲介から関係各所との交渉、別除権者(破産手続や民事再生手続に左右されずに実定法上の担保権の対象となる財産等を処分することで、回収する権利を有する担保権者)との接触、配分案作成、不動産の調査や価格査定、権利譲渡、リーシング、入札、場合によっては同社での買い取りなど、顧客のニーズに合わせた多様なサービスを展開している。現在では、法的案件整理以外でも、同社が培った不動産コンサルティングのノウハウを生かして、様々な場面で課題解決法を提案している。

また介護事業では、有料老人ホーム、介護サービス付き高齢者向け住宅、グループホームの設置・運営・管理、介護保険法に基づく介護予防支援、居宅介護支援事業を営んでいる。事例としては、住宅型有料老人ホーム「リーガテラス瀬田」「リーガテラス南草津」、グループホーム・小規模多機能型居住介護「リーガテラス京都洛西」など、関西地域で7施設を運営している。

2021年7月期第2四半期累計決算では、不動産ソリューション事業が会社全体の売上高の90.1%、セグメント利益(全社費用調整前。以下同)では88.5%を占める。また、不動産賃貸事業は売上高の5.7%、セグメント利益の9.1%を、その他事業は売上高の4.3%、セグメント利益の2.4%を占めている。

その結果、利益率は不動産ソリューション事業が13.6%、不動産賃貸事業が22.2%、その他事業が7.8%であった。不動産賃貸事業は、景気変動に対して下方硬直性が強いため、3セグメントのなかで最も利益率が高い。同社では、経営の安全性と効率性を目指した事業ポートフォリオを構築するために、開発・売却から賃貸の強化へと、不動産賃貸事業の再強化を図る計画である。

このように、同社は任意売却事業で培った、法律知識に基づく問題解決力を生かした企画・開発力を、仲介、賃貸、開発、売却と不動産に関わる幅広い事業領域において、総合不動産ディベロッパーとしてハイブリッドな事業戦略を展開している。それを可能にしているのが以下の3つの特徴・強みである。

第1に、「地域、用途、規模にかかわらず、不動産価値を最大化・最適化させる提案力」である。マンション、土地有効活用、中古バリューアップ、オフィスビル、民泊マンション、ホテル開発など、エリアやプレイヤーに応じて、不動産価値の最大化・最適化を図る提案を実施し、時代に合った事業展開を行うことができる。こうした提案力の高さが、同社が総合不動産開発会社として成長を続けている理由と言えるだろう。

第2に、「大阪・東京それぞれの事業環境を見極めた最適な事業戦略」である。東京と大阪では、市場の動き方も不動産に対する消費者や投資家のスタンスも大きく異なるため、それぞれの事業環境に合わせた異なる事業戦略を立案し、実行することが必要である。同社では、両エリアにおいてそれぞれ最適の事業戦略を推進することで、着実に業績を伸ばしている。

第3に、「変化する事業環境に対して自らも変化させる柔軟性」である。現状維持に甘んじることなく、変化する事業環境の先を見据えた戦略を実行する。例えば、将来のあるべき姿・長期的な見通しに基づいて組織を構成するなど、変化する事業環境に対して柔軟に対応している。また事業戦略として、現在のコロナ禍における中長期的な経営環境の変化を見据えて、不動産テック(不動産取引のDX化)に注力するのも、その一例と言えるだろう。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)



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