ドラフト Research Memo(1):2020年12月期は大幅増益。2021年12月期も成長トレンド上
[21/05/19]
提供元:株式会社フィスコ
提供元:株式会社フィスコ
注目トピックス 日本株
■要約
ドラフト<5070>は、デザイナーの山下泰樹(やましたたいじゅ)氏により2008年に設立された設計デザイン会社である。「ALL HAPPY BY DESIGN」の理念のもと、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、ヒューマンエクスペリエンスの向上によって社会に貢献することを目指している。国内外の150名以上の社員の半数を占めるデザイナーとプロジェクトマネジメントを行う部門が両輪となって、空間に対し高度なデザインを実現しており、年間約200件ものプロジェクトを遂行する独自の組織形態を採る。空間設計及びプロダクトデザインなどで国際的なアワードを受賞している。オフィス空間や商業施設だけでなく、都市計画における建築設計・環境デザインなどに関わる売上のウエイトが高まり、大型案件の割合も増加している。
1. 2020年12月期の業績
2020年12月期の決算は、決算期変更のため9ヶ月間の変則決算となる。日本社会が3月を年度末とすることから、3月に納期が集中する季節的要因がある。前年同期となる2020年3月期第3四半期累計(2019年4月〜12月期)の売上高は3,237百万円、営業利益は62百万円であった。当期の期初計画では、売上高を4,100百万円、営業利益を90百万円と予想していた。多くの企業が、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により合理的な算定が困難として、2020年度の期初予想の開示を見送った時期でもあったことから、慎重な計画が開示された。実績は、売上高が4,313百万円、営業利益が384百万円となった。営業利益は、前年同期比514.9%増、期初計画比327.1%増であった。
2. 2021年12月期の見通し
2021年12月期の第1四半期の売上高は計画値(15.00億円)を上回った。前年同期間(2020年1月〜3月/2020年3月期第4四半期)との比較では44.1%減となるものの、同社グループの事業領域のひとつであるオフィス空間において、テレワークの導入等ワークスタイルの多様化が進み、新年度を控えた3月末までにオフィス空間を整備する必要性が低下したものと同社では考えている。このため、例年は1月〜3月に集中する需要が4月以降に分散しており、当第1四半期末の受注残高は、前年同期間末比26.7%増となった。
売上総利益は、前年同期間比32.3%減の4.67億円となったが、デザイン性と提案力の高さを背景に特命案件が増加していることから、プロジェクト獲得の効率化と利益体質への転換が進んでおり、売上高・売上総利益率は29.9%と前年同期間を5.2ポイント上回った。
業績好調を受け、2021年12月期の連結業績予想についても上方修正を発表した。第2四半期累計(1月〜6月)の連結経常利益を2.4億円とし、期初予想1.2億円の2倍となる見込み。通期の連結業績予想も上乗せし、売上高が83.00億円(前回予想比3.8%増)、営業利益が7.00億円(同7.7%増)、経常利益が6.80億円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が4.40億円(同10.0%増)としており、過去最高益を更新する見通しとなる。同社が提案してきた「働く環境の多様化」や「集まる価値のある空間づくり」は、次世代の働き方や暮らしとの親和性が高く、今後も業績は順調に拡大するものと同社では考えている。
3. 成長戦略
同社は2020年3月に、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場した。上場時に調達した資金使途は、広告宣伝費と本社移転への配分を取りやめ、大半を企業買収・不動産取得等及び事業拡大に伴う資金に振り向ける、ポストIPOの成長を支える具体的な施策に変更された。上場メリットである社会的信用や知名度の向上、財務体質の改善を生かし、金融機関からコミットメントラインを確保した。大型案件獲得や周辺領域へ事業拡大を実現するための機動的なM&Aを可能とする備えとなる。2021年4月に、PRやブランディング、コミュニケーションデザインを事業とする(株)サティスワンを吸収合併した。事業統合後、業界では新しい総合クリエイティブ会社としてのワン・パッケージ提案ができる事業形態の確立を目指す。
■Key Points
・2020年12月期は、前年同期比、期初計画比で大幅増益
・2020年12月期が実質増配、2021年12月期も配当継続を計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>
ドラフト<5070>は、デザイナーの山下泰樹(やましたたいじゅ)氏により2008年に設立された設計デザイン会社である。「ALL HAPPY BY DESIGN」の理念のもと、デザインの力で世界にHAPPYの循環を作り出し、ヒューマンエクスペリエンスの向上によって社会に貢献することを目指している。国内外の150名以上の社員の半数を占めるデザイナーとプロジェクトマネジメントを行う部門が両輪となって、空間に対し高度なデザインを実現しており、年間約200件ものプロジェクトを遂行する独自の組織形態を採る。空間設計及びプロダクトデザインなどで国際的なアワードを受賞している。オフィス空間や商業施設だけでなく、都市計画における建築設計・環境デザインなどに関わる売上のウエイトが高まり、大型案件の割合も増加している。
1. 2020年12月期の業績
2020年12月期の決算は、決算期変更のため9ヶ月間の変則決算となる。日本社会が3月を年度末とすることから、3月に納期が集中する季節的要因がある。前年同期となる2020年3月期第3四半期累計(2019年4月〜12月期)の売上高は3,237百万円、営業利益は62百万円であった。当期の期初計画では、売上高を4,100百万円、営業利益を90百万円と予想していた。多くの企業が、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により合理的な算定が困難として、2020年度の期初予想の開示を見送った時期でもあったことから、慎重な計画が開示された。実績は、売上高が4,313百万円、営業利益が384百万円となった。営業利益は、前年同期比514.9%増、期初計画比327.1%増であった。
2. 2021年12月期の見通し
2021年12月期の第1四半期の売上高は計画値(15.00億円)を上回った。前年同期間(2020年1月〜3月/2020年3月期第4四半期)との比較では44.1%減となるものの、同社グループの事業領域のひとつであるオフィス空間において、テレワークの導入等ワークスタイルの多様化が進み、新年度を控えた3月末までにオフィス空間を整備する必要性が低下したものと同社では考えている。このため、例年は1月〜3月に集中する需要が4月以降に分散しており、当第1四半期末の受注残高は、前年同期間末比26.7%増となった。
売上総利益は、前年同期間比32.3%減の4.67億円となったが、デザイン性と提案力の高さを背景に特命案件が増加していることから、プロジェクト獲得の効率化と利益体質への転換が進んでおり、売上高・売上総利益率は29.9%と前年同期間を5.2ポイント上回った。
業績好調を受け、2021年12月期の連結業績予想についても上方修正を発表した。第2四半期累計(1月〜6月)の連結経常利益を2.4億円とし、期初予想1.2億円の2倍となる見込み。通期の連結業績予想も上乗せし、売上高が83.00億円(前回予想比3.8%増)、営業利益が7.00億円(同7.7%増)、経常利益が6.80億円(同7.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益が4.40億円(同10.0%増)としており、過去最高益を更新する見通しとなる。同社が提案してきた「働く環境の多様化」や「集まる価値のある空間づくり」は、次世代の働き方や暮らしとの親和性が高く、今後も業績は順調に拡大するものと同社では考えている。
3. 成長戦略
同社は2020年3月に、東京証券取引所マザーズ市場へ新規上場した。上場時に調達した資金使途は、広告宣伝費と本社移転への配分を取りやめ、大半を企業買収・不動産取得等及び事業拡大に伴う資金に振り向ける、ポストIPOの成長を支える具体的な施策に変更された。上場メリットである社会的信用や知名度の向上、財務体質の改善を生かし、金融機関からコミットメントラインを確保した。大型案件獲得や周辺領域へ事業拡大を実現するための機動的なM&Aを可能とする備えとなる。2021年4月に、PRやブランディング、コミュニケーションデザインを事業とする(株)サティスワンを吸収合併した。事業統合後、業界では新しい総合クリエイティブ会社としてのワン・パッケージ提案ができる事業形態の確立を目指す。
■Key Points
・2020年12月期は、前年同期比、期初計画比で大幅増益
・2020年12月期が実質増配、2021年12月期も配当継続を計画
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<NB>