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キャリアリンク Research Memo(2):事務系人材サービスを起点に製造系、営業系に展開する総合人材サービス会社

注目トピックス 日本株
■事業概要

キャリアリンク<6070>は、1996年に創業した人材派遣サービス会社で、短期間での大量動員・業務立ち上げを可能とする運用ノウハウを強みに事務系人材サービス事業を中心に成長を続けてきた。東京本社のほか、札幌、仙台、大阪、福岡、沖縄に支店を構える。2017年3月に製造系人材サービス事業の成長を加速していくため、子会社のキャリアリンクファクトリー(株)を新設し、同年6月に事業承継したほか、2018年10月からは営業系人材サービス事業にも領域を拡大した。

また、2018年3月に(株)だいこう証券ビジネス(以下、DSB)の子会社であったJBSの全株式を取得して子会社化した。JBSは大手証券会社を中心とした金融業界向け人材サービス事業を展開し、人事給与計算請負事業等も行っている。

2021年2月期の連結売上高構成比については、BPO関連事業部門を中心とした事務系人材サービス事業が全体の84.3%を占め、次いで製造系人材サービス事業が10.7%、営業系人材サービス事業が4.1%、その他(JBSの子会社である東京自動車管理(株)が行う自動車管理事業)が0.9%となっている。各事業の内容は以下のとおり。

1. 事務系人材サービス事業
(1) BPO関連事業部門
事務系人材サービス事業の7割弱を占めるBPO関連事業部門では、BPO事業者※が請け負ったBPO業務への人材派遣、並びに企業及び官公庁の業務プロセスの一部についての企画提案型の人材派遣及び請負業務を行っており、一部最終顧客から直接受注する案件もある。

※BPO事業者とは、官公庁及び地方公共団体並びに企業等の業務プロセスの一部について、業務の企画・設計から実施までを含めて外部委託することをBPOと呼び、受託する事業者をBPO事業者と言う。


企業や官公庁がBPOを導入するメリットは、固定費の流動化(業務繁忙期に合わせた人員は不要)や管理コストの削減が挙げられ、また、窓口業務やコールセンター業務などでは、利用客に対するサービス品質の向上といった効果も期待できる。2006年に施行された「公共サービス改革法」を契機に、官公庁や外郭団体では「市場化テスト」という名のもとに競争入札制度を導入し、民間企業の活用を積極的に進めている。

同社の強みは、1,000人を超える大量動員を要する大型プロジェクトでも、1ヶ月程度の短期間で立ち上げることができる運用ノウハウを持つことにある。スタッフの採用に関しては、独自の人材マッチングシステム(Webシステムを活用した適性テストの実施やシフト希望確認など)によって、短期間で最適な人材を集めることを可能としている。また、社員を現場に常駐させることによって、スタッフの労務管理を含めた現場での運用能力強化だけでなく、オペレーションの改善提案等による業務効率向上に取り組むことでサービス品質の維持向上を図り、顧客満足度の向上につなげている。

BPO業務の運用に関して、同社は経験豊富なSV(スーパーバイザー)をリーダーとする「チーム派遣」を行っている。事務処理・データ入力・書類発送等を中心とした業務に対して、SVをリーダーとする10人程度のチーム編成を組み日々の業務を処理している。SVを配置することによって、業務研修の実施やスタッフの勤務シフトの平準化を行い、業務の早期立ち上げ及び円滑な運用と生産性向上を可能としている。特に大量の人員が必要とされる大型プロジェクトでは、最適な運用システムと言える。

(2) CRM関連事業部門
CRM(Customer Relationship Management)とは、企業が顧客満足度の向上を目的に、顧客との良好な関係を構築していくための経営手法を指す。同社においては、テレマーケティング事業者が請け負ったテレマーケティング業務への人材派遣・紹介、企業等のコンタクトセンターへの人材派遣・紹介などを行っている。テレマーケティング事業者への人材派遣では、BPO関連事業部門と同様にチーム派遣を行うことで、取引先におけるシェア拡大に取り組んでいる。

(3) 一般事務事業部門
一般事務職をターゲットとした人材派遣、紹介予定派遣、人材紹介並びに業務請負を行っている。一般事務分野の人材派遣業務は、パーソルホールディングス<2181>やパソナグループ<2168>など大手人材派遣会社との競争も激しいが、BPO関連事業部門と同様にチーム派遣を行うことで取引先におけるシェア拡大に取り組んでいる。

2. 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業は、子会社のキャリアリンクファクトリーで展開している。売上高の6割強は食品加工業者向けの人材派遣・請負サービスで、そのほか輸送機器、電子機器、医療機器分野等の製造現場向けにも展開している。外国籍労働者を積極的に採用・派遣しているのが特徴で、就業者に占める外国籍労働者の比率は2021年2月末時点で53%と3年前の25%から年々上昇している。営業拠点は姫路本社、池袋、静岡、尼崎、熊本、沖縄の6拠点で、西日本エリアが中心。今後は在留者等の外国籍労働者を主体として、新規エリアへの展開も進めていく方針となっている。

3. 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業では、2018年10月よりスマートフォンを利用したキャッシュレス決済システムの導入提案業務を受託し、全国規模で展開している。対象は小売・飲食店舗が中心であり、BPO関連事業部門と同様にチーム制を敷いて業務活動を行っている。2021年2月期第4四半期にデリバリー系の新規案件も獲得し、事業規模の拡大を目指している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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