キャリアリンク Research Memo(3):官公庁向けを中心としたBPO関連事業部門の拡大により大幅増収増益を達成
[21/05/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2021年2月期の業績概要
キャリアリンク<6070>の2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比43.5%増の30,276百万円、営業利益で同294.3%増の2,729百万円、経常利益で同301.7%増の2,772百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同289.9%増の2,053百万円と大幅増収増益となり、過去最高業績も大きく更新した。また、期初会社計画に対しても売上高で30.9%、営業利益で366.6%それぞれ上回り、合計4度の上方修正と2度の増配を発表するなど大躍進を遂げた一年となった。
売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により製造系人材サービス事業や営業系人材サービス事業がそれぞれ伸び悩み、期初計画から未達となったものの、主力の事務系人材サービス事業で官公庁向けBPOを中心に新規の大型案件を予想以上に受注でき、前期比で62.7%増、期初計画比でも45.8%増と大幅増となったことが増収要因となった。
売上原価率は収益率の高い新規大型BPO案件を受注したことで、前期の81.1%から78.5%に低下した。また、販管費率についても、新規案件等に係る就業スタッフを従来よりも効率的に募集(Web面接等を導入)できたことを主因として前期の15.6%から12.5%に低下し、この結果、営業利益率は同様に3.3%から9.0%と大きく上昇した。販管費については前期比で15.0%増となったが、期初計画比では募集費の効率化が図られたことから0.8%下回った※。また、期末の連結従業員数(臨時社員含む)は、前期末比74名増加の748名と2期ぶりに増加した。
※期初計画値は、販管費率=16.5%とした場合の推定値。
なお、四半期ベースの業績推移を見ると、第4四半期の営業利益が468百万円と第3四半期の959百万円から半分の水準に落ち込んでいる。これは、収益率の高いBPO案件の比率が低下したこともあるが、大半は一時的費用の増加によるものとなっている。具体的には、中核人材の採用費やIT関連設備投資等を計上している。
官公庁向けの新規大型案件獲得によりBPO関連事業部門が前期比2倍増と急拡大
2. 事業セグメント別の動向
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比62.7%増の25,517百万円、営業利益は同312.7%増の2,628百万円と大幅増収増益となった。BPO関連事業部門においてBPO事業者及び官公庁からの新規大型案件を予想以上に受注できたこと、並びに契約期間が2020年4月から2021年3月までの完成請負案件の売上高を3月に一括売上高計上できたことなどが増収要因となった。利益面では、増収効果や収益率の高い新規大型案件が増加したことによる売上総利益率の向上並びに就業スタッフの効率的な募集を行うなど経費抑制に取り組んだことが増益要因となり、営業利益率も前期の4.1%から10.3%と大きく上昇した。
事業部門別動向を見ると、BPO関連事業部門の売上高は前期比103.3%増の17,202百万円と4期ぶりの増収に転じ、過去最高(2017年12月期の12,193百万円)を大幅に更新した。ここ数年は民間向け特定案件の業務量縮小が影響して減収傾向が続いていたが、官公庁関連の大型案件を既存並びに新規BPO事業者経由なども含めて多く受注できたことが躍進につながった。官公庁向けでは、マイナンバーカード関連などのスポット案件が増加したほか、これらの案件での業務実績が評価され、自治体の窓口業務や基幹業務などの案件も受注するなど業務領域も広がった。売上高の増収要因は、ほぼ官公庁向け案件(BPO事業者経由を含む)の増加によるものと見られる。
CRM関連事業部門の売上高は前期比3.8%減の3,465百万円と3期ぶりに減収に転じた。2020年4月から同一労働同一賃金制度の導入に伴う受注単価の上昇が進んだ一方で、コロナ禍に伴い感染予防を目的とした出勤調整などが実施されたことが減収要因となった。2020年5月の緊急事態宣言解除後は、受注量も徐々に回復してきたものの、全面的な受注回復には至らなかった。業種別では、外食や旅行業界向けの厳しさが続き、逆にEC業界向けは好調であり、また、金融業界向けについても子会社のJBSを含めて堅調に推移した。
一般事務事業部門の売上高は前期比34.0%増の4,848百万円と過去最高売上を連続更新した。コロナ禍に伴い、官公庁及び金融機関以外の民間企業向けの新規受注が減少したほか、既存案件における派遣スタッフの出勤調整等の影響があったものの、2020年5月の緊急事態宣言解除後は新規案件を想定以上に受注できたことで増収となった。
(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比1.0%増の3,225百万円、営業利益は同160.8%増の74百万円となった。コロナ禍の影響による製造加工部門の受注減少が第2四半期まで続いたものの、第3四半期以降は食品加工、製造加工両部門において受注量が回復し、通期では若干ながら増収を確保した。利益面では、売上高が伸び悩んだものの、人件費及び経費(募集費、出張費等)の削減に取り組んだことが増益要因となった。ただ、増益となったとはいえ、営業利益率は2.3%と低水準にとどまっており、今後、事業規模の拡大による収益性向上が課題となる。
(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は前期比35.7%減の1,251百万円、営業利益は同80.4%減の5百万円となった。コロナ禍の影響により、キャッシュレス決済サービス関連業務の小売・飲食店舗への訪問活動自粛を行い、緊急事態宣言解除後も営業活動の回復が十分図ることができなかったことが減収要因となった。利益面では、販管費の削減に取り組んだものの、減収による売上総利益の減少に加えて、第4四半期に新既受注した案件の就業スタッフ募集費等が発生したことも減益要因となった。なお、新規案件は飲食店へのデリバリーサービスの提案・導入業務となり、キャッシュレス決済サービス関連業務で蓄積した営業ノウハウを横展開したものとなっている。スマートフォンのGPS機能を使った遠隔管理ツールを用いて、営業活動の生産性向上を図っている。
(4) その他
その他はJBSの子会社である東京自動車管理における自動車管理事業となる。売上高は前期比3.0%増の282百万円と増加し、営業利益は人件費の削減効果もあって前期の1百万円から21百万円に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2021年2月期の業績概要
キャリアリンク<6070>の2021年2月期の連結業績は、売上高で前期比43.5%増の30,276百万円、営業利益で同294.3%増の2,729百万円、経常利益で同301.7%増の2,772百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で同289.9%増の2,053百万円と大幅増収増益となり、過去最高業績も大きく更新した。また、期初会社計画に対しても売上高で30.9%、営業利益で366.6%それぞれ上回り、合計4度の上方修正と2度の増配を発表するなど大躍進を遂げた一年となった。
売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)の影響により製造系人材サービス事業や営業系人材サービス事業がそれぞれ伸び悩み、期初計画から未達となったものの、主力の事務系人材サービス事業で官公庁向けBPOを中心に新規の大型案件を予想以上に受注でき、前期比で62.7%増、期初計画比でも45.8%増と大幅増となったことが増収要因となった。
売上原価率は収益率の高い新規大型BPO案件を受注したことで、前期の81.1%から78.5%に低下した。また、販管費率についても、新規案件等に係る就業スタッフを従来よりも効率的に募集(Web面接等を導入)できたことを主因として前期の15.6%から12.5%に低下し、この結果、営業利益率は同様に3.3%から9.0%と大きく上昇した。販管費については前期比で15.0%増となったが、期初計画比では募集費の効率化が図られたことから0.8%下回った※。また、期末の連結従業員数(臨時社員含む)は、前期末比74名増加の748名と2期ぶりに増加した。
※期初計画値は、販管費率=16.5%とした場合の推定値。
なお、四半期ベースの業績推移を見ると、第4四半期の営業利益が468百万円と第3四半期の959百万円から半分の水準に落ち込んでいる。これは、収益率の高いBPO案件の比率が低下したこともあるが、大半は一時的費用の増加によるものとなっている。具体的には、中核人材の採用費やIT関連設備投資等を計上している。
官公庁向けの新規大型案件獲得によりBPO関連事業部門が前期比2倍増と急拡大
2. 事業セグメント別の動向
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比62.7%増の25,517百万円、営業利益は同312.7%増の2,628百万円と大幅増収増益となった。BPO関連事業部門においてBPO事業者及び官公庁からの新規大型案件を予想以上に受注できたこと、並びに契約期間が2020年4月から2021年3月までの完成請負案件の売上高を3月に一括売上高計上できたことなどが増収要因となった。利益面では、増収効果や収益率の高い新規大型案件が増加したことによる売上総利益率の向上並びに就業スタッフの効率的な募集を行うなど経費抑制に取り組んだことが増益要因となり、営業利益率も前期の4.1%から10.3%と大きく上昇した。
事業部門別動向を見ると、BPO関連事業部門の売上高は前期比103.3%増の17,202百万円と4期ぶりの増収に転じ、過去最高(2017年12月期の12,193百万円)を大幅に更新した。ここ数年は民間向け特定案件の業務量縮小が影響して減収傾向が続いていたが、官公庁関連の大型案件を既存並びに新規BPO事業者経由なども含めて多く受注できたことが躍進につながった。官公庁向けでは、マイナンバーカード関連などのスポット案件が増加したほか、これらの案件での業務実績が評価され、自治体の窓口業務や基幹業務などの案件も受注するなど業務領域も広がった。売上高の増収要因は、ほぼ官公庁向け案件(BPO事業者経由を含む)の増加によるものと見られる。
CRM関連事業部門の売上高は前期比3.8%減の3,465百万円と3期ぶりに減収に転じた。2020年4月から同一労働同一賃金制度の導入に伴う受注単価の上昇が進んだ一方で、コロナ禍に伴い感染予防を目的とした出勤調整などが実施されたことが減収要因となった。2020年5月の緊急事態宣言解除後は、受注量も徐々に回復してきたものの、全面的な受注回復には至らなかった。業種別では、外食や旅行業界向けの厳しさが続き、逆にEC業界向けは好調であり、また、金融業界向けについても子会社のJBSを含めて堅調に推移した。
一般事務事業部門の売上高は前期比34.0%増の4,848百万円と過去最高売上を連続更新した。コロナ禍に伴い、官公庁及び金融機関以外の民間企業向けの新規受注が減少したほか、既存案件における派遣スタッフの出勤調整等の影響があったものの、2020年5月の緊急事態宣言解除後は新規案件を想定以上に受注できたことで増収となった。
(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比1.0%増の3,225百万円、営業利益は同160.8%増の74百万円となった。コロナ禍の影響による製造加工部門の受注減少が第2四半期まで続いたものの、第3四半期以降は食品加工、製造加工両部門において受注量が回復し、通期では若干ながら増収を確保した。利益面では、売上高が伸び悩んだものの、人件費及び経費(募集費、出張費等)の削減に取り組んだことが増益要因となった。ただ、増益となったとはいえ、営業利益率は2.3%と低水準にとどまっており、今後、事業規模の拡大による収益性向上が課題となる。
(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は前期比35.7%減の1,251百万円、営業利益は同80.4%減の5百万円となった。コロナ禍の影響により、キャッシュレス決済サービス関連業務の小売・飲食店舗への訪問活動自粛を行い、緊急事態宣言解除後も営業活動の回復が十分図ることができなかったことが減収要因となった。利益面では、販管費の削減に取り組んだものの、減収による売上総利益の減少に加えて、第4四半期に新既受注した案件の就業スタッフ募集費等が発生したことも減益要因となった。なお、新規案件は飲食店へのデリバリーサービスの提案・導入業務となり、キャッシュレス決済サービス関連業務で蓄積した営業ノウハウを横展開したものとなっている。スマートフォンのGPS機能を使った遠隔管理ツールを用いて、営業活動の生産性向上を図っている。
(4) その他
その他はJBSの子会社である東京自動車管理における自動車管理事業となる。売上高は前期比3.0%増の282百万円と増加し、営業利益は人件費の削減効果もあって前期の1百万円から21百万円に増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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