キャリアリンク Research Memo(5):2022年3月期業績は利益率低下を見込むも、保守的な印象が強い
[21/05/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■キャリアリンク<6070>の今後の見通し
1. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期は13ヶ月の変則決算となり、売上高で39,000百万円、営業利益で2,830百万円、経常利益で2,840百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,080百万円とそれぞれ前期実績を上回る見込みとなっているが、営業利益率は前期の9.0%から7.3%に低下する見通しとなっている。営業利益率の低下要因は、2021年2月期に収益率の高い短期大型案件が多かったことに対し、2022年3月期はこうした案件が減少するとの想定で、売上総利益率が2%程度低下すると見ているためだ。
また、上期業績(2021年3月〜8月)についても、売上高で前年同期比8.5%増の15,150百万円、営業利益で同15.5%減の1,100百万円と増収減益見通しだが、同じ理由となっている。前期からの継続案件で収益率が良化する案件がある一方で、競争激化で収益率が低下する案件もあると見ている。ただ、上期の業績計画については策定時点(2021年3月末)において受注が見えている案件のみで構成しており、未確定案件については除外した保守的な計画となっている。なお、下期に売上高が偏重する計画となっているが、これは2021年9月に検収予定の大型請負案件を見込んでいることや、BPO事業者経由での受託案件の増加などを見込んでいるためだ。
将来の成長基盤を構築するための先行投資として、2021年2月期下期から本格的に取り組んでいる中核人材の採用や、業務効率向上のための体制整備投資(ナレッジマネジメントツールの導入、DX化推進のためのプロジェクト費用)については、2022年3月期も継続する。中核人材については幅広い職種で高スキルな人材を中心に数十名規模で採用する予定だ。また、DX化に向けた投資については業務委託費(コンサルティング費用)を中心に1億円強程度を見込む。派遣スタッフの募集費については引き続きWeb面接等のITツールを活用することで抑制していく方針となっている。
同社では前期に取り組んだ投資の成果として、1)新規顧客・新規ビジネスパートナーの拡充や既存顧客・既存ビジネスパートナーとの関係性強化が進んだこと、2)ナレッジマネジメントツールの導入によって各業務現場における常駐管理者のパフォーマンスを最大限発揮する環境を構築し、新規プロジェクトの立ち上げを円滑に進めることができたこと、3)コロナ禍においても迅速・最適な受託案件の運用を実現できたこと、4)官公庁や自治体からの委託案件の受注並びにBPO事業者からの大型案件の受注を推進する体制を構築できたこと、などの成果があったことを挙げており、今後もこれらの投資を継続していくことで、業績の一段の成長を目指していく。
事務系人材サービス事業の2ケタ成長が続き、製造系・営業系人材サービス事業も増収を見込む
2. 事業別の売上見通し
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比30.4%増の33,275百万円となり、12ヶ月換算でも同20.4%増と引き続き高成長を見込んでいる。同事業の7割を占めるBPO関連事業部門が引き続きけん引役となる。2021年2月期に引き続きマイナンバー関連業務のほか、自治体の基幹業務(給与計算総務系業務等)などの受注増による増収を見込んでいる。なお、既述のとおり未確定の短期スポット案件についてはほとんど計画には入れておらず、今後の受注動向や派遣スタッフの採用状況次第で上振れ要因となる可能性がある。
(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比24.9%増の4,028百万円、12ヶ月換算では同15.3%増を見込んでいる。2021年2月期第3四半期以降、売上高は前年同期比で増加基調に転じており、直近も受注状況に大きな変化は見られない。食品加工業者だけでなく、製造加工業者からの引き合いも活発になってきている。2022年3月期は新たに営業拠点を開設するなど積極展開を進めていくことで、売上規模を拡大していく計画となっている。同社では、外国籍労働者の派遣による人材競争力とサービス品質の維持向上を図る運営ノウハウを強みとしており、営業エリアを拡大することによって既存顧客のニーズに応えるだけでなく、新規顧客の開拓も進めていく方針となっている。
(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は前期比11.0%増の1,388百万円、12ヶ月換算だと同2.3%増を見込んでいる。2021年2月期第4四半期より新規案件として開始した飲食店へのデリバリーサービス導入提案業務が、全国主要都市で始まっており増収要因となる。一方、キャッシュレス決済サービスの導入提案業務については、加盟店の獲得が一段落した格好で、今後は既存加盟店に対するサポート業務などが中心になってくると見られ、売上計画としては保守的に織り込んでいるようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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1. 2022年3月期の業績見通し
2022年3月期は13ヶ月の変則決算となり、売上高で39,000百万円、営業利益で2,830百万円、経常利益で2,840百万円、親会社株主に帰属する当期純利益で2,080百万円とそれぞれ前期実績を上回る見込みとなっているが、営業利益率は前期の9.0%から7.3%に低下する見通しとなっている。営業利益率の低下要因は、2021年2月期に収益率の高い短期大型案件が多かったことに対し、2022年3月期はこうした案件が減少するとの想定で、売上総利益率が2%程度低下すると見ているためだ。
また、上期業績(2021年3月〜8月)についても、売上高で前年同期比8.5%増の15,150百万円、営業利益で同15.5%減の1,100百万円と増収減益見通しだが、同じ理由となっている。前期からの継続案件で収益率が良化する案件がある一方で、競争激化で収益率が低下する案件もあると見ている。ただ、上期の業績計画については策定時点(2021年3月末)において受注が見えている案件のみで構成しており、未確定案件については除外した保守的な計画となっている。なお、下期に売上高が偏重する計画となっているが、これは2021年9月に検収予定の大型請負案件を見込んでいることや、BPO事業者経由での受託案件の増加などを見込んでいるためだ。
将来の成長基盤を構築するための先行投資として、2021年2月期下期から本格的に取り組んでいる中核人材の採用や、業務効率向上のための体制整備投資(ナレッジマネジメントツールの導入、DX化推進のためのプロジェクト費用)については、2022年3月期も継続する。中核人材については幅広い職種で高スキルな人材を中心に数十名規模で採用する予定だ。また、DX化に向けた投資については業務委託費(コンサルティング費用)を中心に1億円強程度を見込む。派遣スタッフの募集費については引き続きWeb面接等のITツールを活用することで抑制していく方針となっている。
同社では前期に取り組んだ投資の成果として、1)新規顧客・新規ビジネスパートナーの拡充や既存顧客・既存ビジネスパートナーとの関係性強化が進んだこと、2)ナレッジマネジメントツールの導入によって各業務現場における常駐管理者のパフォーマンスを最大限発揮する環境を構築し、新規プロジェクトの立ち上げを円滑に進めることができたこと、3)コロナ禍においても迅速・最適な受託案件の運用を実現できたこと、4)官公庁や自治体からの委託案件の受注並びにBPO事業者からの大型案件の受注を推進する体制を構築できたこと、などの成果があったことを挙げており、今後もこれらの投資を継続していくことで、業績の一段の成長を目指していく。
事務系人材サービス事業の2ケタ成長が続き、製造系・営業系人材サービス事業も増収を見込む
2. 事業別の売上見通し
(1) 事務系人材サービス事業
事務系人材サービス事業の売上高は前期比30.4%増の33,275百万円となり、12ヶ月換算でも同20.4%増と引き続き高成長を見込んでいる。同事業の7割を占めるBPO関連事業部門が引き続きけん引役となる。2021年2月期に引き続きマイナンバー関連業務のほか、自治体の基幹業務(給与計算総務系業務等)などの受注増による増収を見込んでいる。なお、既述のとおり未確定の短期スポット案件についてはほとんど計画には入れておらず、今後の受注動向や派遣スタッフの採用状況次第で上振れ要因となる可能性がある。
(2) 製造系人材サービス事業
製造系人材サービス事業の売上高は前期比24.9%増の4,028百万円、12ヶ月換算では同15.3%増を見込んでいる。2021年2月期第3四半期以降、売上高は前年同期比で増加基調に転じており、直近も受注状況に大きな変化は見られない。食品加工業者だけでなく、製造加工業者からの引き合いも活発になってきている。2022年3月期は新たに営業拠点を開設するなど積極展開を進めていくことで、売上規模を拡大していく計画となっている。同社では、外国籍労働者の派遣による人材競争力とサービス品質の維持向上を図る運営ノウハウを強みとしており、営業エリアを拡大することによって既存顧客のニーズに応えるだけでなく、新規顧客の開拓も進めていく方針となっている。
(3) 営業系人材サービス事業
営業系人材サービス事業の売上高は前期比11.0%増の1,388百万円、12ヶ月換算だと同2.3%増を見込んでいる。2021年2月期第4四半期より新規案件として開始した飲食店へのデリバリーサービス導入提案業務が、全国主要都市で始まっており増収要因となる。一方、キャッシュレス決済サービスの導入提案業務については、加盟店の獲得が一段落した格好で、今後は既存加盟店に対するサポート業務などが中心になってくると見られ、売上計画としては保守的に織り込んでいるようだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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