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いちご Research Memo(2):2022年2月期は営業利益12,000百万円〜9,100百万円を予想(2)

注目トピックス 日本株
■要約

3. 成長戦略
いちご<2337>は、世界的な課題である「サステナブル(人間・社会・地球環境の持続的発展)社会の実現」への貢献を事業活動の目的としており、本業を通じた様々な活動に取り組んでいる。2021年3月に同社は「サステナブルインフラ企業」として社会的責任を果たすと表明、さらなる推進を目的に「国連グローバル・コンパクト」へ署名して、併せて「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入した。また2021年3月には、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアティブである「RE100」に加盟し「脱炭素宣言」をした。同社はこうした動きのなかで「2040年までに、いちごオフィス、いちごホテルが保有する不動産を含め、事業活動での消費電力を100%再生可能エネルギーにする」と具体的な目標を掲げた。クリーンエネルギー事業においては、太陽光に加え風力発電所の稼働を開始、また未利用材及び間伐材を有効活用した木質バイオマス発電の取り組み開始を発表し、エネルギーミックスの推進により、日本におけるクリーンエネルギーの安定供給と供給量増加を図っていく。

さらに同社は、「不動産・観光」と「IT」を掛け合わせた新しい事業領域を開拓している。AIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」は、同社が保有するホテルのレベニューマネジメントのノウハウを結集して自社開発したもので、導入したホテルでは年間収益が約10〜40%向上した。導入コストがかからず、実装までの期間が業界最短であることも評価されているポイントとなっている。収入モデルは、月額固定収入(ライトプラン)または売上連動収入(スタンダードプラン)がある。グループホテルへの導入に加え外販も開始しており、今後の外販拡大が期待される事業である。

4. 株主還元策
同社は株主還元策として配当を実施している。配当の基本方針としては、日本で導入例が少ない「累進的配当政策」を導入している。原則として「減配なし、配当維持もしくは増配のみ」を明確な方針とし、企業の持続的な価値向上と長期的な株主還元にコミットメントするものだ。具体的には「株主資本配当率(DOE)3%以上」を基準として配当水準の引き上げと安定を図る計画だ。2021年2月期の1株当たり配当金は年間7円(前期と同額)を維持した。配当性向は66.8%、株主資本配当率(DOE)は3.3%だった。2022年2月期に関しては、配当金7円/年、配当性向40.9%〜65.5%を予想している。

同社は、長期VISION「いちご2030」において機動的な自社株買いを掲げ、株主価値の向上策への積極的姿勢を打ち出している。この方針に沿って、2017年2月期から2021年2月期までの5期連続で毎年30億円の自社株買いを実施してきた。2022年2月期においても株式の市場価格及び豊富な現金を保有する財務状況を勘案し、第1四半期から取得金額(上限)15億円の自社株買いを実施している(2021年4月20日〜2021年7月13日)。

■Key Points
・主力の心築事業では中小型のオフィス、レジデンス、ホテル、商業施設などバランス型のポートフォリオが特徴。クリーンエネルギー事業では太陽光に加え、同社初となる風力発電所も稼働開始
・2022年2月期は営業利益12,000百万円〜9,100百万円のレンジ予想。売買市況は足元回復の兆しあり、上限シナリオの可能性大
・サステナブルインフラ企業として積極的にESG活動に取り組む。新規事業として、木質バイオマス発電、AIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」に注目
・増配か配当維持を原則とする累進的配当政策を採用。2021年2月期は減益も年7円配当を維持。自社株買いは5期連続で30億円/年を継続実施。2022年2月期においても、第1四半期より取得金額(上限)15億円の自社株買いを実施

(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)



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