いちご Research Memo(7):サステナブルインフラ企業として積極的にESG活動に取り組む
[21/05/31]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■中長期の成長戦略
1. ESG活動の取り組み
いちご<2337>は、世界的な課題である「サステナブル(人間・社会・地球環境の持続的発展)社会の実現」への貢献を事業活動の目的としており、本業を通じた様々な活動に取り組んでいる。主力の心築事業では「心で築く、心を築く」を信条とし、環境負荷の低減を果たしながら現存不動産に対して独自の技術により新しい価値を創造し、日本における「100年不動産」の実現を目指している。また、クリーンエネルギー事業では、エネルギー自給率の低い日本において重要な意義を持つ再生可能エネルギーの発電事業を拡大している。
2021年3月に同社は「サステナブルインフラ企業」として社会的責任を果たす表明とさらなる推進を目的に「国連グローバル・コンパクト」へ署名し、併せて「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入した。このイニシアティブに署名する企業及び団体は、「人権の保護」「不当な労働の排除」「環境への対応」「腐敗の防止」に関する 10 の原則に賛同し、企業トップ自らのコミットメントのもとその実現に向けて自発的に努力を継続するものである。また2021年3月には、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアティブである「RE100」に加盟し「脱炭素宣言」をした。日本では53社が宣言を行っているが、同社は「2040年までに、いちごオフィス、いちごホテルが保有する不動産を含め、事業活動での消費電力を100%再生可能エネルギーにする」と具体的な目標を掲げた。また、同社のESG活動状況をまとめた「いちごサステナビリティレポート」を発行し、ESGの情報開示の強化を図っている。
再生可能エネルギー電源の多様化に挑戦
2. 太陽光、風力に加え、木質バイオマスを開拓
2021年3月より同社初となる風力発電所、いちご米沢板谷ECO発電所が発電を開始した(出力7.3MW、固定買取価格22円)。風力発電は太陽光との比較では、夜間にも発電が可能な点に特徴がある。この発電所はESG評価に基づく「新生グリーンローン」による建設資金の調達が行われた経緯もあり、環境・社会課題の改善に資する事業であることを評価されたという意義がある。また、同社では第3のエネルギー事業として木質バイオマス発電を計画し、具体的にプロジェクトを推進している。木質バイオマス発電は、未利用材及び間伐材を有効活用し、日本の環境課題の1つである森林の高齢化や治山対策にも貢献する。材料さえ確保できれば24時間発電が可能であり、発電量のコントロールもできるという有利な面もある。同社は数年後の稼働開始を目指している。同社が電源の多様化を目指す背景には、エネルギーミックスによる電力供給の安定性を向上する狙いがある。
「不動産・観光」×「IT」で新規事業を開発
3. AIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」
同社は「不動産・観光」と「IT」を掛け合わせ、新しい事業領域を開拓している。ホテルなど宿泊施設の顧客満足度向上と収益の最大化を図るAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」は、同社が保有するホテルのレベニューマネジメントのノウハウを結集して自社開発したもので、導入したホテルでは年間収益が約10〜40%向上した。宿泊施設にとって、レベニューマネージャーが客室の販売状況や他社のリサーチを行い適切な価格をタイムリーに設定するのが経営上重要であるが、人材不足などで手が回らない施設も多い。このような課題に対して、同社独自のノウハウを搭載した「PROPERA」が価格の提案や設定を行うことで、収益の最大化と労働生産性の向上を図っていく。導入コストがかからず、実装までの期間が業界最短であることも評価されているポイントとなっている。収入モデルは、月額固定収入(ライトプラン)または売上連動収入(スタンダードプラン)がある。グループホテルへの導入に加え外販も開始しており、今後の外販拡大が期待される事業である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
<EY>
1. ESG活動の取り組み
いちご<2337>は、世界的な課題である「サステナブル(人間・社会・地球環境の持続的発展)社会の実現」への貢献を事業活動の目的としており、本業を通じた様々な活動に取り組んでいる。主力の心築事業では「心で築く、心を築く」を信条とし、環境負荷の低減を果たしながら現存不動産に対して独自の技術により新しい価値を創造し、日本における「100年不動産」の実現を目指している。また、クリーンエネルギー事業では、エネルギー自給率の低い日本において重要な意義を持つ再生可能エネルギーの発電事業を拡大している。
2021年3月に同社は「サステナブルインフラ企業」として社会的責任を果たす表明とさらなる推進を目的に「国連グローバル・コンパクト」へ署名し、併せて「グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン」に加入した。このイニシアティブに署名する企業及び団体は、「人権の保護」「不当な労働の排除」「環境への対応」「腐敗の防止」に関する 10 の原則に賛同し、企業トップ自らのコミットメントのもとその実現に向けて自発的に努力を継続するものである。また2021年3月には、事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーとすることを目指す国際的なイニシアティブである「RE100」に加盟し「脱炭素宣言」をした。日本では53社が宣言を行っているが、同社は「2040年までに、いちごオフィス、いちごホテルが保有する不動産を含め、事業活動での消費電力を100%再生可能エネルギーにする」と具体的な目標を掲げた。また、同社のESG活動状況をまとめた「いちごサステナビリティレポート」を発行し、ESGの情報開示の強化を図っている。
再生可能エネルギー電源の多様化に挑戦
2. 太陽光、風力に加え、木質バイオマスを開拓
2021年3月より同社初となる風力発電所、いちご米沢板谷ECO発電所が発電を開始した(出力7.3MW、固定買取価格22円)。風力発電は太陽光との比較では、夜間にも発電が可能な点に特徴がある。この発電所はESG評価に基づく「新生グリーンローン」による建設資金の調達が行われた経緯もあり、環境・社会課題の改善に資する事業であることを評価されたという意義がある。また、同社では第3のエネルギー事業として木質バイオマス発電を計画し、具体的にプロジェクトを推進している。木質バイオマス発電は、未利用材及び間伐材を有効活用し、日本の環境課題の1つである森林の高齢化や治山対策にも貢献する。材料さえ確保できれば24時間発電が可能であり、発電量のコントロールもできるという有利な面もある。同社は数年後の稼働開始を目指している。同社が電源の多様化を目指す背景には、エネルギーミックスによる電力供給の安定性を向上する狙いがある。
「不動産・観光」×「IT」で新規事業を開発
3. AIレベニューマネジメントシステム「PROPERA」
同社は「不動産・観光」と「IT」を掛け合わせ、新しい事業領域を開拓している。ホテルなど宿泊施設の顧客満足度向上と収益の最大化を図るAIレベニューマネジメント(売上管理)システム「PROPERA」は、同社が保有するホテルのレベニューマネジメントのノウハウを結集して自社開発したもので、導入したホテルでは年間収益が約10〜40%向上した。宿泊施設にとって、レベニューマネージャーが客室の販売状況や他社のリサーチを行い適切な価格をタイムリーに設定するのが経営上重要であるが、人材不足などで手が回らない施設も多い。このような課題に対して、同社独自のノウハウを搭載した「PROPERA」が価格の提案や設定を行うことで、収益の最大化と労働生産性の向上を図っていく。導入コストがかからず、実装までの期間が業界最短であることも評価されているポイントとなっている。収入モデルは、月額固定収入(ライトプラン)または売上連動収入(スタンダードプラン)がある。グループホテルへの導入に加え外販も開始しており、今後の外販拡大が期待される事業である。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 角田秀夫)
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