ADワークスグループ Research Memo(3):既存事業の拡大と“脱”不動産事業収益への布石
[21/06/07]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■第1次中期経営計画
ADワークスグループ<2982>は2021年5月に第1次中期経営計画(2021年12月期〜2023年12月期)を発表した。要約に記載のとおり、この計画について、「SDGs経営の推進」や「福利の経営への転換」に取り組んでいくとともに、東京証券取引所による市場再編で「プライム市場への上場」を目指すことや「不動産事業以外の収益を5年後3割とする」ことを目指す将来とし、それに向けた重要な3ヶ年と位置付けている。
そのための基本方針として、以下の3点を掲げた。
a)超過利潤
資本効率を高め超過利潤を生み持続的に向上させる経営を目指す。現在、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均コスト)を下回る状況となっているが、2023年12月期にこれを逆転させて超過利潤を生み、持続的に向上させる。
b)外部資源
外部資源を積極活用し創造性と先進性に富んだ組織力を育む。DXなど高速展開する最新の知見を取り込むために、持株会社体制のもと、CVCによって先鞭を付け、M&A・資本提携・業務提携など外部資源の積極活用で変化に対応する。
c)顧客拡張
顧客の対象を拡張し、商品・サービスを広く提供する。個人富裕層顧客を主軸としつ、顧客の裾野を拡げ、ネットも活用して幅広い投資需要に応えるとともに、個人だけでなく事業法人や機関投資家へと対象顧客を拡張する。
3つの基本方針に対応した12の重点施策を合わせて公表しており、その内容は既存事業の拡大及び“脱”不動産事業の具現化で、共通の施策として、クラウドファンディングの活用のほか、フィービジネスなどのノンアセット事業の強化と探索、DXの推進、これらを支える人事制度・報酬制度改革を行うとしている。
なお、2021年5月13日付で、重点施策の一つに沿ったCVC活用の具体的施策として、プラットフォーム上で個人顧客とフィナンシャル・プランナーのマッチング事業を展開する(株)クロス・デジタル・イノベーションへの出資を公表した。クロス社の事業と、同社の不動産小口化商品販売やクラウドファンディングによる資金調達等との親和性から、新事業創出が期待できるとしている。
また、同日、同じく戦略施策の一つであるCVC事業を積極推進するにあたり、同社グループの事業戦略及び収益拡大に貢献するベンチャー企業の発掘と投資アドバイスを得ることを目的に、産業創出型技術系ベンチャーへの投資を推進するイノベーション・エンジン(株)との間で投資アドバイザリー契約を締結したことを公表した。
ROICとWACCの差である超過利潤を重要な経営指標とし、最終年度以降、継続的に超過利潤を生み出す前程としたうえで、数値計画としては、2021年12月期に売上高230億円、経常利益6億円、収益不動産残高250億円、ROE2.9%から、2023年12月期は売上高306億円、経常利益20億円、収益不動産残高500億円、ROE8.9%を目指す。また、並行して“脱”不動産事業(不動産領域以外の新規事業)の育成を目的に、DX推進・CVC・M&Aなどに取り組んでいく方針で、これらの先行コストとして3年間で合計7億円を見込んでいる。一方、それらによる想定収益は織り込んでおらず、実現に応じてアップサイドの伸びしろとなる。同社は将来的に「収益不動産カンパニー」から「投資ソリューションカンパニー」へ進化することを目指しており、今後3年間は既存事業(不動産関連事業)の成長を図りながら、“脱”不動産事業を育成し、5年後に“脱”不動産事業の収益割合を全体の3割まで引き上げていくための基盤づくりの期間と位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ADワークスグループ<2982>は2021年5月に第1次中期経営計画(2021年12月期〜2023年12月期)を発表した。要約に記載のとおり、この計画について、「SDGs経営の推進」や「福利の経営への転換」に取り組んでいくとともに、東京証券取引所による市場再編で「プライム市場への上場」を目指すことや「不動産事業以外の収益を5年後3割とする」ことを目指す将来とし、それに向けた重要な3ヶ年と位置付けている。
そのための基本方針として、以下の3点を掲げた。
a)超過利潤
資本効率を高め超過利潤を生み持続的に向上させる経営を目指す。現在、ROIC(投下資本利益率)がWACC(加重平均コスト)を下回る状況となっているが、2023年12月期にこれを逆転させて超過利潤を生み、持続的に向上させる。
b)外部資源
外部資源を積極活用し創造性と先進性に富んだ組織力を育む。DXなど高速展開する最新の知見を取り込むために、持株会社体制のもと、CVCによって先鞭を付け、M&A・資本提携・業務提携など外部資源の積極活用で変化に対応する。
c)顧客拡張
顧客の対象を拡張し、商品・サービスを広く提供する。個人富裕層顧客を主軸としつ、顧客の裾野を拡げ、ネットも活用して幅広い投資需要に応えるとともに、個人だけでなく事業法人や機関投資家へと対象顧客を拡張する。
3つの基本方針に対応した12の重点施策を合わせて公表しており、その内容は既存事業の拡大及び“脱”不動産事業の具現化で、共通の施策として、クラウドファンディングの活用のほか、フィービジネスなどのノンアセット事業の強化と探索、DXの推進、これらを支える人事制度・報酬制度改革を行うとしている。
なお、2021年5月13日付で、重点施策の一つに沿ったCVC活用の具体的施策として、プラットフォーム上で個人顧客とフィナンシャル・プランナーのマッチング事業を展開する(株)クロス・デジタル・イノベーションへの出資を公表した。クロス社の事業と、同社の不動産小口化商品販売やクラウドファンディングによる資金調達等との親和性から、新事業創出が期待できるとしている。
また、同日、同じく戦略施策の一つであるCVC事業を積極推進するにあたり、同社グループの事業戦略及び収益拡大に貢献するベンチャー企業の発掘と投資アドバイスを得ることを目的に、産業創出型技術系ベンチャーへの投資を推進するイノベーション・エンジン(株)との間で投資アドバイザリー契約を締結したことを公表した。
ROICとWACCの差である超過利潤を重要な経営指標とし、最終年度以降、継続的に超過利潤を生み出す前程としたうえで、数値計画としては、2021年12月期に売上高230億円、経常利益6億円、収益不動産残高250億円、ROE2.9%から、2023年12月期は売上高306億円、経常利益20億円、収益不動産残高500億円、ROE8.9%を目指す。また、並行して“脱”不動産事業(不動産領域以外の新規事業)の育成を目的に、DX推進・CVC・M&Aなどに取り組んでいく方針で、これらの先行コストとして3年間で合計7億円を見込んでいる。一方、それらによる想定収益は織り込んでおらず、実現に応じてアップサイドの伸びしろとなる。同社は将来的に「収益不動産カンパニー」から「投資ソリューションカンパニー」へ進化することを目指しており、今後3年間は既存事業(不動産関連事業)の成長を図りながら、“脱”不動産事業を育成し、5年後に“脱”不動産事業の収益割合を全体の3割まで引き上げていくための基盤づくりの期間と位置付けている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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