アジア投資 Research Memo(5):メガソーラープロジェクトが足元業績をけん引(2)
[21/06/08]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■決算動向
3. 2021年3月期決算の概要
日本アジア投資<8518>の2021年3月期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前期比6.1%減の3,709百万円、営業損失が163百万円(前期は716百万円の利益)、経常損失が399百万円(同441百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益が33百万円(前期比90.3%減)となった。
従来連結基準では、営業収益が前期比11.9%増の3,089百万円、営業利益が同19.2%減の214百万円、経常利益が同23.5%増の173百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同52.1%減の144百万円と増収ながら減益となった。また、期初見込値に対しては、営業収益、利益ともに下回る着地となっている。
従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。
営業収益は、海外での株式売却が進捗し、投資金額の大きな未上場株式の売却も実現できたことで増収となった。ただ、期初見込みに対しては、新規上場の延期などにより予定していた株式の売却が期ずれし、その分をカバーすべくメガソーラープロジェクトの売却を進めたものの、若干下回る結果に終わった。また、損益面(営業総利益)については、売却したメガソーラープロジェクトの開発コストが前期に比べて高かったことから売却益が減少したことや、他社が運営するPE投資で損失が発生したことなどから減益となった。
財務面(従来連結基準)では、株式の売却に伴う営業投資資産の減少等により総資産が前期末比7.2%減の14,657百万円に縮小した。借入金も同14.9%減の6,950百万円と順調に減少している。なお、営業投資資産の動き(内訳)を見ると、「戦略投資」は着実に伸びている一方、「フィナンシャル投資(戦略投資以外のPE投資)」は減少。また、「プロジェクト投資」については、メガソーラープロジェクトの売却があったものの、新規投融資の実行により若干プラスを確保した。財務健全性に目を向けると、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.6%増の7,338百万円に増加し、自己資本比率は50.1%(前期末は45.7%)に改善。同社が重視する財務バランス(「現金及び預金」と流動性の高い「プロジェクト投資」の合計が借入金を上回る状態)もプラス幅が拡大している。
投資種類別の業績は以下のとおりである。
(1) PE投資
営業収益は前期比48.4%増の1,638百万円、営業総利益は同59.5%増の547百万円と増収増益となった。営業収益は、新規上場の延期などにより予定していた株式の売却が期ずれしたほか、株式市場の低迷等を背景として上場株式の売却が予定どおりに進捗しなかった一方、海外での大型の未上場株式の売却を実現したことにより増収となった。損益面でも、他社ファンドからの損失発生による影響を受けたものの、これを補って増益を確保した。
(2) プロジェクト投資
営業収益は前期比12.4%減の1,451百万円、営業総利益は同25.7%減の754百万円と減収減益となった。
前期と同様、7件のメガソーラープロジェクトを売却したものの、そのうち3件については、売却方法の違いから、売却高に含めず売却益のみを計上する会計処理※を行ったことにより減収となった。損益面では、売却したプロジェクトの開発コストが前期に比べて高かったことから売却益が減少した。なお、植物工場への先行費用については、販路拡大(売上増)により負担減となっている。
※売却価格から売却原価を差し引いた売却益相当額が「組合持分利益等」に計上されている。したがって、営業収益には計上されないものの、営業総利益に対する影響はない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<NB>
3. 2021年3月期決算の概要
日本アジア投資<8518>の2021年3月期の業績(ファンド連結基準)は、営業収益が前期比6.1%減の3,709百万円、営業損失が163百万円(前期は716百万円の利益)、経常損失が399百万円(同441百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益が33百万円(前期比90.3%減)となった。
従来連結基準では、営業収益が前期比11.9%増の3,089百万円、営業利益が同19.2%減の214百万円、経常利益が同23.5%増の173百万円、親会社株主に帰属する当期純利益が同52.1%減の144百万円と増収ながら減益となった。また、期初見込値に対しては、営業収益、利益ともに下回る着地となっている。
従来連結基準による業績の概要は以下のとおりである。
営業収益は、海外での株式売却が進捗し、投資金額の大きな未上場株式の売却も実現できたことで増収となった。ただ、期初見込みに対しては、新規上場の延期などにより予定していた株式の売却が期ずれし、その分をカバーすべくメガソーラープロジェクトの売却を進めたものの、若干下回る結果に終わった。また、損益面(営業総利益)については、売却したメガソーラープロジェクトの開発コストが前期に比べて高かったことから売却益が減少したことや、他社が運営するPE投資で損失が発生したことなどから減益となった。
財務面(従来連結基準)では、株式の売却に伴う営業投資資産の減少等により総資産が前期末比7.2%減の14,657百万円に縮小した。借入金も同14.9%減の6,950百万円と順調に減少している。なお、営業投資資産の動き(内訳)を見ると、「戦略投資」は着実に伸びている一方、「フィナンシャル投資(戦略投資以外のPE投資)」は減少。また、「プロジェクト投資」については、メガソーラープロジェクトの売却があったものの、新規投融資の実行により若干プラスを確保した。財務健全性に目を向けると、自己資本は内部留保の積み増しにより同1.6%増の7,338百万円に増加し、自己資本比率は50.1%(前期末は45.7%)に改善。同社が重視する財務バランス(「現金及び預金」と流動性の高い「プロジェクト投資」の合計が借入金を上回る状態)もプラス幅が拡大している。
投資種類別の業績は以下のとおりである。
(1) PE投資
営業収益は前期比48.4%増の1,638百万円、営業総利益は同59.5%増の547百万円と増収増益となった。営業収益は、新規上場の延期などにより予定していた株式の売却が期ずれしたほか、株式市場の低迷等を背景として上場株式の売却が予定どおりに進捗しなかった一方、海外での大型の未上場株式の売却を実現したことにより増収となった。損益面でも、他社ファンドからの損失発生による影響を受けたものの、これを補って増益を確保した。
(2) プロジェクト投資
営業収益は前期比12.4%減の1,451百万円、営業総利益は同25.7%減の754百万円と減収減益となった。
前期と同様、7件のメガソーラープロジェクトを売却したものの、そのうち3件については、売却方法の違いから、売却高に含めず売却益のみを計上する会計処理※を行ったことにより減収となった。損益面では、売却したプロジェクトの開発コストが前期に比べて高かったことから売却益が減少した。なお、植物工場への先行費用については、販路拡大(売上増)により負担減となっている。
※売却価格から売却原価を差し引いた売却益相当額が「組合持分利益等」に計上されている。したがって、営業収益には計上されないものの、営業総利益に対する影響はない。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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