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ネットイヤ Research Memo(5):事業基盤の再構築が完了し、成長加速していくステージに入る(1)

注目トピックス 日本株
■今後の見通し

3. 成長戦略
ネットイヤーグループ<3622>は2020年度から2025年度までの中期の成長ロードマップを策定し、3段階に分けて各種施策に取り組むことで事業成長を目指していく方針となっている。

(1) 事業基盤再構築
第1段階として、「事業基盤再構築」をテーマに掲げ、2021年3月期まで事業基盤の強化・変革、既存ビジネスの精緻化に取り組んできた。

a) 事業基盤の強化・変革
事業基盤の強化・変革として、従業員のマインド向上やエンゲージメントの向上に加えて、収益力の強化を図るためプロジェクト品質の向上やコスト改善に取り組んだ。従業員のマインド及びエンゲージメントの向上については、人事変革の遂行(人材育成基盤の構築、特定専門職の運用、社員の適性を見た再配置)や、多様な働き方ができる環境の整備(「カケモチ社員制度」の導入、LGBTに対応した福利制度改定、介護・育児等を想定した柔軟な勤務管理、遠隔地勤務制度等)、教育研修の強化などに取り組んだことで離職率が大幅に低下し、従業員エンゲージメントの指標も向上している。一方、収益力の強化については、既述のとおり売上総利益率の改善につながっており、今後も一段の向上を目指していく方針だ。

b) 既存ビジネスの精緻化
既存ビジネスの精緻化に関しては、NTTデータとの連携による大型案件に取り組んでいるほか、UX/CXのメソッド化、横展開できる新サービスの提供開始、プロジェクトマネジメント力の向上に取り組み、それぞれ一定の成果を挙げている。

NTTデータとの大型案件では、オウンドメディアのUXデザイン設計・実装からシステム基盤の構築、導入後のマーケティング運用までを両社の強みを融合して受注獲得につなげている。また、無人店舗・オンライン接客など次世代型店舗の実証実験※なども共同で進めている。2021年3月期の売上に大きく貢献した通信キャリア向けのプロジェクトでは、デザイン設計とシステム基盤の開発をNTTデータで担当し、複数サイトにまたがるCMSの構築及びAPI連携を両社で担当した。同案件の寄与により単体売上高に占めるNTTデータ向けの比率は13.6%から18.9%まで上昇した。従来であれば、同社単独で受注できなかった大型案件も、流通業界向けで豊富な実績を持つNTTデータと連携することにより、今まで以上に多くの案件を獲得できるものと予想され、NTTデータ向けの売上構成比も将来的には3割程度まで上昇する可能性がある。なお、大型プロジェクトを安定的に受注していくためには、プロジェクトマネジメント力の強化も重要となるため、こうした人材の採用を進めていくと同時に、多様な雇用形態の導入によって外部の優秀な人材を登用し、今後の事業拡大に対応していく方針だ。

※東急ハンズとNTTデータが2020年6月に共同で実施したアバターを介した非対面接客による「デジタルストア」の実証実験に参加(CXシナリオ設計、コンテンツ企画、VMDデザインを実施)。


横展開できる新サービスとして、2020年5月にパフォーマンスオプティマイゼーションサービス(以下、POTサービス)、同年11月にDigital&Physicalサービスの提供を開始した。POTサービスとは、デジタルマーケティング施策となるSEO対策、Web広告、自社サイト改善の3領域をワンストップで支援することで、マーケティング費用の最適化を実現するサービスとなる。従来、これら3つの領域はそれぞれ異なる広告代理店やWeb制作会社などがクライアント企業に対してサービスを提供していたが、それぞれの施策が分断されてしまい、必ずしも全体をとおして最適化されたデジタルマーケティング施策になっていないことが課題となっていた。また、クライアント企業は各領域の事業パートナーと個別に時間をかけて、予算配分や改善施策などを協議して決めるなど非効率となっており、こうした課題を解決し、デジタルマーケティングの費用対効果の最大化を実現していく。受注実績もBtoC企業を中心に着実に積み上がっており、今後の売上拡大を目指していく。

一方、Digital&Physicalサービスは、リテール業界・店舗ビジネスに特化した次世代買い物体験アプリの導入支援サービスとなる。同社が蓄積してきたCXのノウハウにより、商品の認知・検討(デジタル領域)から決済(フィジカル領域)、会員化・CRM化(デジタル領域)までを同アプリで実現する。特徴としては、「次世代の買い物体験」に必要な機能※を標準実装し、オリジナル機能(POS連携、お店独自カード連携、ポイント・会員管理機能等)も柔軟に追加することができること、低コストで短期間の開発が可能なことが挙げられる。まだ、受注実績はないものの、潜在需要は大きいことから今後の受注獲得が期待される。

※基本機能として、EC機能、電子チラシ、クーポン発行機能、ポイント表示、プッシュ通知、お気に入り店舗登録、フリーコンテンツ等が実装されている。


(2) 2022年3月期からの成長戦略
2022年3月期からの成長戦略として、EC/店舗まで含めた多チャンネルCX、NTTデータ連携の拡充、横展開できるサービスの汎用化、他社連携・資本集約ビジネスモデルへのシフト、中規模企業マーケットへの参入の5点に取り組んでいく。

新たなサービスメニューとして、2021年4月より「Shopify」の導入・活用支援サービスの提供を開始した。「Shopify」は、世界で175ヵ国、170万以上のオンラインショップで採用されているマルチチャネルコマースプラットフォームで、ここ数年で国内市場でも急速に普及が進んでいるサービスである。同社のUXデザイン力やデータ分析力、各種マーケティング施策を「Shopify」の導入と併せて提供することで、オンラインショップの育成並びに収益の最大化を実現していく。サービス内容は、「Shopify」のアカウント開設からECサイトのデザイン制作・実装、サイト公開までをシームレスにサポートするほか、ECサイトの売上向上支援としてPOTサービスの提供、構築後の「Shopify」サイト運営に関するサポートなどを提供していく。また、今後は「Shopify」アプリストアを通じて「Shopify」利用企業向けにアプリの提供も行う予定となっている。

NTTデータ連携の拡充及び他社連携の取り組みとして、AI開発企業である(株)ABEJAのAIエンジンを組み込んだ開発などもNTTデータと協業して進めていく。AI技術を活用することで、より効果的なマーケティング施策が打てるようになり、UXの最大化を実現可能とする。また、同社はSalesforceのMAツール「Pardot」の導入支援を行っているが、NTTデータとの協業によりSalesforceの導入支援案件についても従来以上に増加する可能性がある。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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