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アンジェス Research Memo(1):椎間板性腰痛症を対象とした後期第1相臨床試験で高い安全性と有効性を確認

注目トピックス 日本株
■要約

アンジェス<4563>は、1999年に設立された大阪大学発の創薬ベンチャー。遺伝子医薬に特化した開発を進めており、将来的に「遺伝子医薬のグローバルリーダー」になることを目標にしている。新薬候補品を開発し、販売パートナーとの販売権許諾契約によって得られる契約一時金や、開発の進捗状況などによって得られるマイルストーン収益、上市後の製品売上高にかかるロイヤリティ収入を獲得するビジネスモデルとなる。

1. 新型コロナウイルス感染症ワクチン及び治療薬の開発状況について
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対するDNAワクチンの開発状況については現在、第2/3相臨床試験の経過観察中で、試験結果に基づいて規制当局と協議して今後の開発方針を決定することになる。また、変異種に対応したワクチンの研究開発については検討中であり、その動向が注目される。一方、カナダのVasomune Therapeutics(バソミューン・セラピューティクス)(以下、Vasomune)と共同開発中の治療薬「AV-001」(中等度から重度の新型コロナウイルス感染症肺炎患者を対象)については、米国で実施した第1相臨床試験の良好な結果を受けて、前期第2相臨床試験の開始に向けた準備を進めている段階にあり、今後の動向が注目される。

2. その他開発パイプラインの動向
そのほかのパイプラインでは、米国で実施している椎間板性腰痛症を適応症としたNF-κBデコイオリゴの後期第1相臨床試験についての経過観察結果(12ヶ月間のトップラインデータ)を2021年4月に発表した。高い安全性と有効性(痛みの大幅な軽減と持続効果)が確認されたほか、患者自身からも高い満足度が得られるなど良好な結果が得られたことで、次の開発ステージに向けてFDA(米国食品医薬品局)と協議を進めていく予定にしている。また、オーストラリアで実施している高血圧DNAワクチンの第1相/前期第2相臨床試験については、同年2月に安全性とアンジオテンシンIIに対する抗体産生が確認されたことを発表している。12ヶ月間の経過観察期間を終え、現在はデータの収集・解析を進めている状況にある。一方、慢性動脈閉塞症向けのHGF遺伝子治療用製品「コラテジェン®」については、国内で進めている市販後調査※や、「安静時疼痛の改善」を確認する第3相臨床試験が順調に進捗している。また、米国での下肢切断リスクの低い慢性動脈閉塞症患者を対象とした「潰瘍の改善」と「血流の改善」を主要評価項目とする後期第2相臨床試験についても、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたが、2021年に入ってから被験者登録ペースが上がってきている。

※「標準的な薬物治療の効果が不十分で血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善」を効能として、厚生労働省から条件及び期限付製造販売承認を2019年3月に取得し、同年9月より提携先である田辺三菱製薬(株)を通じて販売を開始すると同時に、市販後調査(予定症例数200例)を実施している。同調査の結果を持って本承認の申請を行うことになる。


3. 業績動向
2021年12月期第1四半期(2021年1月−3月)の売上高は前年同期比101.4%増の11百万円、営業損失は3,628百万円(前年同期は974百万円の損失)となった。売上高はコラテジェン®の販売増により増加した。一方、営業損失が拡大しているのは、新型コロナウイルス感染症ワクチンの研究開発費用や、新たに子会社化したEmendBio Inc.(以下、Emendo)の研究開発費並びに販管費を計上したこと、Emendoの子会社化に伴って発生したのれん償却額567百万円を計上したことが主因となっている。新型コロナウイルス感染症ワクチンの開発費用については国の助成金等で賄われているが、まだ、助成金対象のプロジェクトが完了していないため期間損益には反映しておらず、貸借対照表上に前受金として4,288百万円を計上している。また、2021年12月期の業績見通しについては、合理的な算定ができないことから未定としている。なお、2021年3月末の現金及び預金は約141億円となっており、当面の事業活動を進めていくうえでの資金については新株予約権の行使も進めながら確保していくことになる。

■Key Points
・新型コロナウイルス感染症ワクチンは第2/3相臨床試験の結果を見て開発方針を決定
・新型コロナウイルス感染症治療薬「AV-001」は第1相での結果発表後、前期第2相に向けて準備中
・HGF遺伝子治療用製品の臨床試験は日米で予定通りに進捗中
・椎間板性腰痛症を対象としたNF-κBデコイオリゴは、後期第1相臨床試験で高い安全性と有効性の結果が得られ、次の開発ステージに向けてFDAと協議予定

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)




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