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プロスペクト Research Memo(1):不動産事業、再生可能エネルギー事業、投資事業に集約して事業展開を進める

注目トピックス 日本株
■要約

プロスペクト<3528>の起源は、繊維事業を行っていた井波機業株式会社であったが、1994年に繊維事業から撤退し、事業の主力を不動産事業(主にマンション分譲)に転換した。その後、一時期はマンション開発大手の(株)大京グループに属していたが、2007年に自主独立経営を開始、ファンドとして同社への投資を行っていた旧(株)プロスペクトのオーナー社長であったカーティス・フリーズ氏が2010年に同社の代表取締役社長に就任した。それからはM&Aにより建設事業、注文住宅事業などへ事業を拡大し、2019年までは不動産販売事業(マンション分譲、土地建物、注文住宅)、アセットマネジメント事業、建設事業、ソーラー発電を含む再生可能エネルギー事業などの幅広い事業を行っていたが、2019年中に建設事業、アセットマネジメント事業から撤退した。さらに2021年3月期からは経営陣が替わったこともあり、事業セグメントを不動産事業、再生可能エネルギー事業及び新たに加わった投資事業の3つに集約している。

1. 2021年3月期業績
2021年3月期の連結業績は、売上高10,510百万円(前期比56.1%増)、営業損失395百万円(前期は1,281百万円の損失)、経常損失586百万円(同435百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益55百万円(前期比76.5%減)となった。事業セグメントは、アセットマネジメント事業から撤退し、新たに投資事業が加わったことで、既存の不動産事業及び再生可能エネルギー事業と合わせて3つのセグメントに集約された。不動産事業は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による在庫の評価損などにより313百万円の営業損失を計上したものの、再生可能エネルギー事業は466百万円の営業利益を計上した。また新たに加わった投資事業は197百万円の営業利益を計上したものの、全社費用を含めると営業損失を計上した。さらに、営業外費用としてロシア子会社の持分法損失373百万円を計上したことから、経常損失は拡大した。一方、特別損益については、複数の売却益や評価損を合わせて620百万円の利益となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は黒字となった。なお、ポートフォリオの見直しに伴い一部の資産を売却したことからバランスシートの適正化が進み、現金及び預金は増加した。

2. 2022年3月期業績見通し
2022年3月期の連結業績見通しについては、売上高8,328百万円(前期比20.8%減)、営業利益105百万円(前期は395百万円の損失)、経常利益96百万円(同586百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純利益338百万円(同505.9%増)を見込んでいる。主力の不動産事業で販売用マンションの手持ち在庫が少ないこと、再生可能エネルギー事業で成田神崎プロジェクトの売却分による売上減が見込まれることなどから減収を予想している。減収により営業利益も減少が予想されるが、利益率の改善、収益構造の見直し、販売費及び一般管理費の削減等を進めることにより通年では105百万円の営業利益を予想している。また、成田神崎プロジェクトの売却益約700百万円を見込んでいることから、親会社株主に帰属する当期純利益は大幅な増益となる見込みだ。なお、引続きバランスシートのスリム化にも取り組む方針だ。

3. 今後の事業展開について
同社では、2020年6月の臨時株主総会の決議によって主な経営陣が入れ替わり、2021年5月末現在では取締役会長:藤澤信義(ふじさわのぶよし)氏(Jトラスト<8508>代表取締役社長現任)、代表取締役社長CEO:泉信彦(いずみのぶひこ)氏、取締役:岡勝(おかまさる)氏(不動産関連事業担当)、取締役:西村浩(にしむらひろし)氏(再生可能エネルギー事業担当)の4氏が経営の中枢を担っている。今後の事業展開については、これら4氏が中心となり、既存事業である不動産関連事業及び再生可能エネルギー事業、さらに新たに加わった投資事業に集中して事業展開を進める計画だ。今までのコングロマリット型(事業分散型)経営から、事業ドメインを絞り込んだ今後の展開は注目すべきだろう。なお同社は、2021年6月末の株主総会の承認を経て、「株式会社ミライノベート」へ社名変更するとともに、株式併合及び資本金の減額を行う予定となっている。

■Key Points
・事業セグメントを不動産事業、再生可能エネルギー事業、投資事業の3つに集約
・再生可能エネルギー関連事業を成長ドライバーとして推進
・バランスシートの適正化も進む

(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)




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