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ブランディング Research Memo(6):2021年3月期下期には回復明確化

注目トピックス 日本株
■業績動向

1. 2021年3月期の業績概要
ブランディングテクノロジー<7067>の2021年3月期の連結業績は、売上高4,420百万円(前期比14.4%減)、営業損失114百万円(前期は63百万円の利益)、経常損失116百万円(同57百万円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失42百万円(同42百万円の利益)となった。創業以来19期連続増収、黒字経営を続けてきたが、初の減収・損失計上となった。非常に厳しい結果となったが、このような環境のなかでも同社は、「ブランドファースト」や「フロント人材」といった同社独自の強みを生かし、コロナ禍の影響を特に大きく受けた中小・地方企業のブランディングやデジタルシフトを強力にサポートする一方、コロナ禍のニューノーマルに対応すべく、営業・マーケティング・カスタマーサクセスなどの重要な業務のオンライン化を期中に完了させた。その結果、依然として先行き不透明な情勢ではあるものの、厳しい環境に十分対応できる経営体制を築くことができたことは成果と言えよう。

同社の主要事業領域の1つである国内インターネット広告市場は、コロナ禍の影響をものともせず、インターネット広告費は社会のデジタルシフトが追い風となりプラス成長となった模様である。このように、社会全体が急速にデジタルシフト化していることは、中小・地方企業にデジタルシフトを促す同社にとって追い風であり、中長期的にも同社がターゲットとする市場の成長が期待できる。しかし短期的には、中小・地方企業はコロナ禍の影響を大きく受けており、同社の業績も低迷した。一方で、融資の実行や外壁塗装コンシェルジュ事業の売却、販管費の適正化により現金及び預金は増加し、経営の安定性の強化が進んだ。また、上期にニューノーマル時代に適応したサービス体制を整えたことに加え、業界特化型ノウハウをもとにアライアンスの強化や新サービスの開発を推進したことにより、下期は収益改善が進み回復基調となっている。

2021年3月期のセグメント別業績は、ブランド事業が売上高1,292百万円(前期比12.1%減)、セグメント利益260百万円(同9.0%減)、デジタルマーケティング事業が売上高3,022百万円(同15.0%減)、セグメント利益110百万円(同54.7%減)、オフショア関連事業が売上高104百万円(同21.5%減)、セグメント利益9百万円(同25.0%減)となった。

(1) ブランド事業
ブランド事業では、緊急事態宣言の発出により主要顧客である中小・地方企業の経済活動が制限され、オウンドメディア等に対する投資が抑制される傾向にあった。また、コロナ禍の影響により営業機会が減少したが、早期に営業・マーケティング活動のオンライン最適化を行い、エリアを変えて業界ごとに体系化している勝ちパターンを提案するなど、効率的な運営を推進した。この結果、第3四半期以降は前年同期並みの売上を確保するなど回復基調となっている。なお、第4四半期には減損処理やサービス開発・人材への戦略的先行投資を行い、通期では利益率を改善することができた。

(2) デジタルマーケティング事業
デジタルマーケティング事業では、コロナ禍の影響による生活者のインターネット利用時間の増加に伴う、動画視聴ニーズやSNS利用の増加等を背景に、中小・地方企業の動画活用支援やSNS活用支援コンサル等に注力した。一方で、顧客の広告支出抑制や予算見直しの影響を受けることとなった。

(3) オフショア関連事業
オフショア関連事業は、主力子会社のアザナで、地域振興事業として沖縄エリアの地域ブランディングやSDGsに関連した取り組みを行っているが、コロナ禍の影響を受け、オウンドメディアの構築などで新規案件の獲得機会減少や既存顧客の投資抑制などの影響を受けた。

2. 新たな打ち手
コロナ禍においても同社は、強みである「業界特化型ノウハウ」をもとにアライアンス強化や新サービス開発など、新たな打ち手を講じている。一例として、(株)アガルートと共同で開発した経営サポート会員向けの学習支援サービスの開始が挙げられる。これは、各ジャンルの現役講師がコンテンツを制作しており、知識・経験ゼロからWeb担当者を育成できるサービスで、中小・地方企業の支援体制の強化を目指す。今後は業界ごとの学習コンテンツを制作し、オンラインサロンのような交流の場を設ける意向である。そこで、製造業技術の動画化や、チラシ・Web、SNSのパッケージ化など、経営サポート会員のブランディングやマーケティング面での課題解消を目指す。その他、「フロント人材」もさらに強化する方針で、「フロント人材」がデータをもとに戦略提案ができる仕組みを構築している。コンサルティングは従来属人的だが、勝ちパターンが共通しているのでデータ化し再現性を高めることで、常に一定水準以上のコンサルティングを提供できるようになる。そのうえで、アライアンスなどから生まれた付加価値の高い戦略提案の数を増やすなどして、「フロント人材」当たりの売上高を高めていく方針である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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