ステップ Research Memo(3):2021年9月期第2四半期累計業績は生徒数増加で期初計画を上回る増収増益に
[21/06/15]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■業績動向
1. 2021年9月期第2四半期累計業績の動向
ステップ<9795>の2021年9月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比10.2%増の6,307百万円、営業利益で同35.7%増の1,707百万円、経常利益で同35.5%増の1,749百万円、四半期純利益で同36.3%増の1,204百万円となり、半期ベースで過去最高を連続更新した。
(1) 売上高の増加要因
売上高の内訳を見ると、小中学生部門が前年同期比9.4%増の5,040百万円、高校生部門が同13.6%増の1,267百万円となった。期中平均生徒数は全体で同2.4%増、小中学生部門、高校生部門ともに2.4%増であったので、いずれも生徒当たり売上単価が上昇したことになる。この要因としては、2020年3月にコロナ禍で2週間の全校休講を実施し、当該部分の授業料の約9割に相当する280百万円を返還し、売上高が目減りしたことが大きい。この影響を除けば、実質5.1%の増収だったと見られる。
生徒数の動向について見ると、年明け以降は例年以上のペースで増加が続いており、2021年3月末時点では前年同期比7.1%増となっている。コロナ禍で入塾を控えていた生徒が動き始めたこと、2021年の合格実績で高校受験は「翠嵐プロジェクト」「横浜プロジェクト」の目標を3年連続で達成し、横浜市内でのブランド力がさらに向上したことや、大学受験においても合格実績が大幅に伸びるなど好結果が得られたことが要因と考えられる。また前期にコロナ禍で実施した授業料返還や、2020年4〜5月に実施したオンライン授業では5万本を超える動画の配信を行うなど総力を挙げて取り組むと同時に、特別授業料の適用(学年により約60〜80%の値下げ)を行うなど、生徒や保護者に寄り添った施策を取ったことが高い支持を受け、口コミなどで評判が広まったことも生徒数増加の一因と考えられる。年明け以降は横浜翠嵐を志望する生徒の入塾希望がさらに増えたほか、塾生の弟・妹が入塾を希望するケースも増え、定員数がオーバーし募集を締め切る校舎も前年から大幅に増加しており、小学生の入塾希望者数が大きく伸びている。
(2) 費用の状況
売上原価は前年同期比4.1%増の4,193百万円、対売上比率では同3.9ポイント低下の66.5%となった。原価率の改善は、増収効果による固定費率の低下が主因となっている。人件費で3.0ポイント、地代家賃で0.4ポイントそれぞれ低下した。
販管費は前年同期比6.6%減の406百万円となり、対売上比率では同1.2ポイント低下した。人件費率が0.2ポイント、広告宣伝費が0.5ポイントそれぞれ低下している。広告宣伝費については新聞の折り込みチラシの削減に取り組んだ効果による。最近は自社Webサイトを通じた問い合わせ件数も増加しており、広告費の減少が進んでいる。
(3) 期初計画からの増額要因
期初計画対比で見ると、売上高は4.7%、金額で280百万円、営業利益は27.5%、金額で367百万円それぞれ上回った。売上高については、生徒数が冬期講習以降に想定以上のペースで増加したことが主因となっている。また、営業利益に関しては増収効果に加えて、校舎の修繕費や広告宣伝費が想定よりも抑えられたことが要因となっている。
コロナ禍の影響長期化に備えた借入金は徐々に返済
2. 財務状況と経営指標
2021年9月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比874百万円増加の26,911百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が844百万円増加し、固定資産では減価償却の進展により有形固定資産が71百万円減少した。
負債合計は前期末比1百万円減少の4,974百万円となった。未払法人税等が299百万円、未払金が41百万円それぞれ増加した一方で、有利子負債が435百万円減少した。前期にコロナ禍の影響長期化に備えて調達した3,050百万円の借入金の一部を返済した。また、純資産は配当金支払いで330百万円の支出があったものの、四半期純利益1,204百万円を計上したことにより、前期末比876百万円増加の21,937百万円となった。
経営指標を見ると、自己資本比率は有利子負債の減少及び純資産の増加によって前期末の80.9%から81.5%に上昇した。今後もコロナ禍の影響を見極めながら有利子負債については徐々に返済していく予定にしており、財務の健全性については今後も良好な状態が続くものと見られる。また、同社の資産状況を見ると、固定資産比率が66.0%と高いことが特徴となっている。これは、生徒たちの学習環境をより良いものにするためには、自社物件化した方が合理的なケースもあるためだ。このため、条件にかなう不動産物件があれば購入し、校舎を建設していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<NB>
1. 2021年9月期第2四半期累計業績の動向
ステップ<9795>の2021年9月期第2四半期累計業績は、売上高で前年同期比10.2%増の6,307百万円、営業利益で同35.7%増の1,707百万円、経常利益で同35.5%増の1,749百万円、四半期純利益で同36.3%増の1,204百万円となり、半期ベースで過去最高を連続更新した。
(1) 売上高の増加要因
売上高の内訳を見ると、小中学生部門が前年同期比9.4%増の5,040百万円、高校生部門が同13.6%増の1,267百万円となった。期中平均生徒数は全体で同2.4%増、小中学生部門、高校生部門ともに2.4%増であったので、いずれも生徒当たり売上単価が上昇したことになる。この要因としては、2020年3月にコロナ禍で2週間の全校休講を実施し、当該部分の授業料の約9割に相当する280百万円を返還し、売上高が目減りしたことが大きい。この影響を除けば、実質5.1%の増収だったと見られる。
生徒数の動向について見ると、年明け以降は例年以上のペースで増加が続いており、2021年3月末時点では前年同期比7.1%増となっている。コロナ禍で入塾を控えていた生徒が動き始めたこと、2021年の合格実績で高校受験は「翠嵐プロジェクト」「横浜プロジェクト」の目標を3年連続で達成し、横浜市内でのブランド力がさらに向上したことや、大学受験においても合格実績が大幅に伸びるなど好結果が得られたことが要因と考えられる。また前期にコロナ禍で実施した授業料返還や、2020年4〜5月に実施したオンライン授業では5万本を超える動画の配信を行うなど総力を挙げて取り組むと同時に、特別授業料の適用(学年により約60〜80%の値下げ)を行うなど、生徒や保護者に寄り添った施策を取ったことが高い支持を受け、口コミなどで評判が広まったことも生徒数増加の一因と考えられる。年明け以降は横浜翠嵐を志望する生徒の入塾希望がさらに増えたほか、塾生の弟・妹が入塾を希望するケースも増え、定員数がオーバーし募集を締め切る校舎も前年から大幅に増加しており、小学生の入塾希望者数が大きく伸びている。
(2) 費用の状況
売上原価は前年同期比4.1%増の4,193百万円、対売上比率では同3.9ポイント低下の66.5%となった。原価率の改善は、増収効果による固定費率の低下が主因となっている。人件費で3.0ポイント、地代家賃で0.4ポイントそれぞれ低下した。
販管費は前年同期比6.6%減の406百万円となり、対売上比率では同1.2ポイント低下した。人件費率が0.2ポイント、広告宣伝費が0.5ポイントそれぞれ低下している。広告宣伝費については新聞の折り込みチラシの削減に取り組んだ効果による。最近は自社Webサイトを通じた問い合わせ件数も増加しており、広告費の減少が進んでいる。
(3) 期初計画からの増額要因
期初計画対比で見ると、売上高は4.7%、金額で280百万円、営業利益は27.5%、金額で367百万円それぞれ上回った。売上高については、生徒数が冬期講習以降に想定以上のペースで増加したことが主因となっている。また、営業利益に関しては増収効果に加えて、校舎の修繕費や広告宣伝費が想定よりも抑えられたことが要因となっている。
コロナ禍の影響長期化に備えた借入金は徐々に返済
2. 財務状況と経営指標
2021年9月期第2四半期末の財務状況を見ると、総資産は前期末比874百万円増加の26,911百万円となった。主な変動要因を見ると、流動資産では現金及び預金が844百万円増加し、固定資産では減価償却の進展により有形固定資産が71百万円減少した。
負債合計は前期末比1百万円減少の4,974百万円となった。未払法人税等が299百万円、未払金が41百万円それぞれ増加した一方で、有利子負債が435百万円減少した。前期にコロナ禍の影響長期化に備えて調達した3,050百万円の借入金の一部を返済した。また、純資産は配当金支払いで330百万円の支出があったものの、四半期純利益1,204百万円を計上したことにより、前期末比876百万円増加の21,937百万円となった。
経営指標を見ると、自己資本比率は有利子負債の減少及び純資産の増加によって前期末の80.9%から81.5%に上昇した。今後もコロナ禍の影響を見極めながら有利子負債については徐々に返済していく予定にしており、財務の健全性については今後も良好な状態が続くものと見られる。また、同社の資産状況を見ると、固定資産比率が66.0%と高いことが特徴となっている。これは、生徒たちの学習環境をより良いものにするためには、自社物件化した方が合理的なケースもあるためだ。このため、条件にかなう不動産物件があれば購入し、校舎を建設していく方針となっている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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