TOKAI Research Memo(8):暮らしのサポート、ライフスタイルのデザイン・提案をする企業グループへ(1)
[21/06/16]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■今後の見通し
2. 中期経営計画
(1) 次の10年に向けた基本コンセプト
TOKAIホールディングス<3167>は2022年3月期からスタートする4年間の中期経営計画「Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”」を発表した。コロナ禍をきっかけとして生活様式が大きく変化し、SDGs等への取り組みが社会全体で注目されるなか、同社の目指す将来像もこうした時代の求める方向性に応え、「サステナブルに成長し続け、人々の生活を創る企業グループ」とした。また、10年後のグループが目指す姿を“Life Design Group”とし、
「お客様の過ごしたいライフスタイルをデザイン・提案することを通じて、社会課題の解決に貢献していく」方針を示し、この姿勢を持って同社が掲げる経営ビジョン「TLC(トータルライフコンシェルジュ)」の充実に取り組んでいくこととした。
従来は、家庭内を中心とした生活インフラサービスを提供する企業として、ガスや通信、放送などのサービスを個別に提供し、積み上げていくことで成長を続けてきた。しかし、今後は対象市場を「家庭を囲む“社会生活”」と従来よりも範囲を広げ、提供するサービスも生活インフラサービスだけでなく、コト消費(体験)に関連するサービスなどに領域を広げていく。そして、これらサービスを掛け合わせることで、過ごしたい暮らしの潜在ニーズに応えていく「暮らしのサポート」、「ライフスタイルをデザイン・提案する」生活総合サービス企業として発展していくことを目指している。そして、今回発表した中期経営計画の4年間は、こうした「Life Design Group」の実現に向けて、経営基盤を構築する期間と位置付けている。
(2) 経営数値目標
中期経営計画における経営数値目標として、2025年3月期に売上高2,450億円、営業利益186億円、親会社に帰属する当期純利益110億円とし、4年間の年平均成長率は5%台と堅実な成長を計画している。利益面では中期経営計画前半の2年間に先行投資を積極的に行うため利益の成長が低くなるが、後半にこれら投資の効果が利益面で貢献する見通しとなっている。また、資本効率を意識した経営を進めていく方針で、ROEに関しては2021年3月期の12.7%に対して13%以上、同様にROICは9.2%に対して9.9%以上の水準を目指す。自己資本比率については、投資も継続していくことから40%程度とほぼ2021年3月期並みの水準を見込んでいる。
継続取引顧客件数については、前期末の309.9万件から355.8万件を見込んでいる。最も増加するのはLPガスで19.9万件の増加となる。次いで、光コラボを含むISPサービスが7.3万件、CATVの通信サービスが6.4万件、アクアが5.2万件、LIBMOが4.1万件となる。唯一、モバイルについては1.6万件の減少を見込んでいる。LPガスについてはサービスエリアの拡大やM&Aなどを今後も積極的に進めながら顧客件数を伸ばしていく方針だ。また、都市ガスやCATVについてはM&Aが決まれば、さらに上乗せされる可能性もある。
(3) 重点戦略
同社は目標を達成していくために、以下の5点を重点戦略として掲げている。
a) LNG戦略の推進
LNG戦略とは、Local(既存エリアにおけるシェア拡大)、National(国内新規エリアの拡大)、Global(海外への展開)の3つの頭文字を組み合わせたものとなる。事業エリアを着実に広げていくと同時に、収益性を重視した「選択と集中」の観点から顧客件数を積み上げ、成長を目指していくことになる。
なお、国内新規エリアの拡大としては、エネルギー事業で西日本への展開を予定(LPガス事業で2022年3月期に2拠点新設)しているほか、建築設備不動産事業においてはここ1〜2年で推進してきたM&A戦略によって、関東と中京圏での事業拡大を目指す。また、海外展開についてエネルギー事業に関して、ベトナムをはじめとする東南アジアにおいて現地企業に出資するなど足場づくりを行っているほか、情報通信事業では中国、インドネシアにおいて、国内で豊富な実績を有しているAWSの導入支援ビジネスを展開していく予定にしている。
b) TLCの進化
顧客の過ごしたいライフスタイルをデザイン・提案していくための布石として、デジタルマーケティングによって顕在化しているニーズや潜在ニーズの分析を行いながら、オープンイノベーションを活用することで新サービスの拡充及び創出を図っていく方針だ。
デジタルマーケティングに関しては2021年3月期に本格運用を開始したデータ分析基盤「D-sapiens」によって、全国300万人の顧客データを一元管理・分析することによって顧客ニーズや解約予兆を迅速に発見し、最適なサービスの提案や解約防止などのマーケティング施策を行っていくことで顧客基盤の拡大と成長につなげていく。
また、オープンイノベーション戦略として、2021年4月に(株)TOKAIベンチャーキャピタル&インキュベーションを設立し、スタートアップ企業への出資を通じて新たな技術やアイデア、人材を獲得する新規事業の探索と構築を開始する。投資対象としては、医療・ヘルスケア、教育、農業、EV、シニアサービス等を検討している。医療・ヘルスケア分野では健康増進につながるサービスなど、農業に関しては都市部の遊休地を活用したシェアリングサービスを行うなど様々なサービスが想定される。スタートアップ企業が持つアイデアや技術と、同社が持つ幅広い顧客基盤及び生活インフラサービスなどを組み合わせることで、新規事業の早期育成も可能になると思われる。
c) DX戦略の本格化
「ABCIR+S」を活用したDX戦略によって、LNG戦略やTLCの進化などの将来に向けた取り組みを横断的、かつ効率的に推進していく。デジタルワークプレイスによる生産性向上や業務効率化もその一環となり、経営のDXを推進していくことで、こうした重点戦略の取り組みを加速していくことも可能と見られる。
d) 経営資源の最適配分
同社では今後4年間で合計950億円の営業キャッシュ・フロー(経営資源)の創出を見込んでおり、これらの最適配分として、事業基盤拡大のための成長投資に650億円を投下し、2024年度にはROIC9.9%以上の水準を目指す。株主還元については、配当性向40~50%の範囲で配当を実施するとともに、自己株式の取得も機動的に実施していく。経営資源の最適配分を通じて、事業の将来成長と株主価値向上を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 中期経営計画
(1) 次の10年に向けた基本コンセプト
TOKAIホールディングス<3167>は2022年3月期からスタートする4年間の中期経営計画「Innovation Plan 2024 “Design the Future Life”」を発表した。コロナ禍をきっかけとして生活様式が大きく変化し、SDGs等への取り組みが社会全体で注目されるなか、同社の目指す将来像もこうした時代の求める方向性に応え、「サステナブルに成長し続け、人々の生活を創る企業グループ」とした。また、10年後のグループが目指す姿を“Life Design Group”とし、
「お客様の過ごしたいライフスタイルをデザイン・提案することを通じて、社会課題の解決に貢献していく」方針を示し、この姿勢を持って同社が掲げる経営ビジョン「TLC(トータルライフコンシェルジュ)」の充実に取り組んでいくこととした。
従来は、家庭内を中心とした生活インフラサービスを提供する企業として、ガスや通信、放送などのサービスを個別に提供し、積み上げていくことで成長を続けてきた。しかし、今後は対象市場を「家庭を囲む“社会生活”」と従来よりも範囲を広げ、提供するサービスも生活インフラサービスだけでなく、コト消費(体験)に関連するサービスなどに領域を広げていく。そして、これらサービスを掛け合わせることで、過ごしたい暮らしの潜在ニーズに応えていく「暮らしのサポート」、「ライフスタイルをデザイン・提案する」生活総合サービス企業として発展していくことを目指している。そして、今回発表した中期経営計画の4年間は、こうした「Life Design Group」の実現に向けて、経営基盤を構築する期間と位置付けている。
(2) 経営数値目標
中期経営計画における経営数値目標として、2025年3月期に売上高2,450億円、営業利益186億円、親会社に帰属する当期純利益110億円とし、4年間の年平均成長率は5%台と堅実な成長を計画している。利益面では中期経営計画前半の2年間に先行投資を積極的に行うため利益の成長が低くなるが、後半にこれら投資の効果が利益面で貢献する見通しとなっている。また、資本効率を意識した経営を進めていく方針で、ROEに関しては2021年3月期の12.7%に対して13%以上、同様にROICは9.2%に対して9.9%以上の水準を目指す。自己資本比率については、投資も継続していくことから40%程度とほぼ2021年3月期並みの水準を見込んでいる。
継続取引顧客件数については、前期末の309.9万件から355.8万件を見込んでいる。最も増加するのはLPガスで19.9万件の増加となる。次いで、光コラボを含むISPサービスが7.3万件、CATVの通信サービスが6.4万件、アクアが5.2万件、LIBMOが4.1万件となる。唯一、モバイルについては1.6万件の減少を見込んでいる。LPガスについてはサービスエリアの拡大やM&Aなどを今後も積極的に進めながら顧客件数を伸ばしていく方針だ。また、都市ガスやCATVについてはM&Aが決まれば、さらに上乗せされる可能性もある。
(3) 重点戦略
同社は目標を達成していくために、以下の5点を重点戦略として掲げている。
a) LNG戦略の推進
LNG戦略とは、Local(既存エリアにおけるシェア拡大)、National(国内新規エリアの拡大)、Global(海外への展開)の3つの頭文字を組み合わせたものとなる。事業エリアを着実に広げていくと同時に、収益性を重視した「選択と集中」の観点から顧客件数を積み上げ、成長を目指していくことになる。
なお、国内新規エリアの拡大としては、エネルギー事業で西日本への展開を予定(LPガス事業で2022年3月期に2拠点新設)しているほか、建築設備不動産事業においてはここ1〜2年で推進してきたM&A戦略によって、関東と中京圏での事業拡大を目指す。また、海外展開についてエネルギー事業に関して、ベトナムをはじめとする東南アジアにおいて現地企業に出資するなど足場づくりを行っているほか、情報通信事業では中国、インドネシアにおいて、国内で豊富な実績を有しているAWSの導入支援ビジネスを展開していく予定にしている。
b) TLCの進化
顧客の過ごしたいライフスタイルをデザイン・提案していくための布石として、デジタルマーケティングによって顕在化しているニーズや潜在ニーズの分析を行いながら、オープンイノベーションを活用することで新サービスの拡充及び創出を図っていく方針だ。
デジタルマーケティングに関しては2021年3月期に本格運用を開始したデータ分析基盤「D-sapiens」によって、全国300万人の顧客データを一元管理・分析することによって顧客ニーズや解約予兆を迅速に発見し、最適なサービスの提案や解約防止などのマーケティング施策を行っていくことで顧客基盤の拡大と成長につなげていく。
また、オープンイノベーション戦略として、2021年4月に(株)TOKAIベンチャーキャピタル&インキュベーションを設立し、スタートアップ企業への出資を通じて新たな技術やアイデア、人材を獲得する新規事業の探索と構築を開始する。投資対象としては、医療・ヘルスケア、教育、農業、EV、シニアサービス等を検討している。医療・ヘルスケア分野では健康増進につながるサービスなど、農業に関しては都市部の遊休地を活用したシェアリングサービスを行うなど様々なサービスが想定される。スタートアップ企業が持つアイデアや技術と、同社が持つ幅広い顧客基盤及び生活インフラサービスなどを組み合わせることで、新規事業の早期育成も可能になると思われる。
c) DX戦略の本格化
「ABCIR+S」を活用したDX戦略によって、LNG戦略やTLCの進化などの将来に向けた取り組みを横断的、かつ効率的に推進していく。デジタルワークプレイスによる生産性向上や業務効率化もその一環となり、経営のDXを推進していくことで、こうした重点戦略の取り組みを加速していくことも可能と見られる。
d) 経営資源の最適配分
同社では今後4年間で合計950億円の営業キャッシュ・フロー(経営資源)の創出を見込んでおり、これらの最適配分として、事業基盤拡大のための成長投資に650億円を投下し、2024年度にはROIC9.9%以上の水準を目指す。株主還元については、配当性向40~50%の範囲で配当を実施するとともに、自己株式の取得も機動的に実施していく。経営資源の最適配分を通じて、事業の将来成長と株主価値向上を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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