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Jストリーム Research Memo(3):強みはJ-Stream Equipmedia、CDN、ライブ配信(1)

注目トピックス 日本株
■Jストリーム<4308>の事業内容

2. サービス内容
一般企業や放送事業者が、音楽・映画・イベント動画、企業説明会・株主総会、教育動画、販促・広告など、コンテンツの種類や配信先の端末を問わず自社で配信しようとすると、安定した運用のために大量のアクセスに耐える回線やサーバーを確保しなければならず、多額の投資が必要となる。しかし「J-Stream Equipmedia」、CDN、「ライブ配信サービス」といった同社のサービス・商品を利用すれば、多額の投資や運用コストをかけることなく、必要なときに必要なだけ必要な動画を配信することができる。もちろん、イベントなど一度に数万人以上のアクセスが発生する場合でも、コンテンツを安定して視聴者に届けることができる。さらに、コンテンツを配信する際の付随的なサービスとして、セキュリティ機能に加え配信対象を限定する認証機能やDRM※、コンテンツなどの販売に必要な課金決済システム、海外からのアクセスを制限できる国内外判別配信といったサービスも提供している。

※DRM(Digital Rights Management):デジタル著作権保護。


なお、同社は2021年3月期第1四半期より、セグメント情報における事業セグメントを、従来の「配信事業」「制作・システム開発事業」「その他の事業」の3セグメントから「動画ソリューション事業」の単一セグメントへと変更した。現在、動画利用の拡大と動画技術の多様化が同時進行しており、顧客ニーズも急速に変化し、動画を軸とするサービスを総合的に提供することが必要となってきた。このため、事業展開や経営資源の配分、経営管理体制などの観点から、単一セグメントの方が適切であると判断したことによる。そこで同社は、新たにソリューション推進本部を設け、CDNを含めた動画配信プラットフォームの提供・運用、コンテンツの制作・システム開発といった同社のサービス全体を複合化し、顧客の課題解決に最適なソリューションとして提案している。

(1) 動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」
同社は、コンテンツ管理やセキュリティといった配信設定、あらゆる端末で視聴可能なマルチデバイス対応、アナリティクス機能など、動画配信に必要な機能とワークフローをトータルで提供している。その中心となるのが、インターネットで動画を配信するために必要な機能を装備した自社開発の動画配信プラットフォーム「J-Stream Equipmedia」である。「J-Stream Equipmedia」は、利用者のスキルを問わず使いやすい管理画面、他社のシステムと連携できる柔軟性、月5万円からというリーズナブルな価格設定、高速で安定したCDNの利用など、一般企業でも手軽に動画を活用できることが特徴である。さらに、顧客に適したサービスの導入をサポートするアカウント営業と、導入後に運用面で対応する専任スタッフがおり、両面からサポートする体制を取っている。「J-Stream Equipmedia」は、国内最大規模となる累計2,700アカウント以上の利用実績がある。「J-Stream Equipmedia」そのものが、同社の強みと言うことができる。

ちなみに、同社の動画配信プラットフォームには、スタンダードな「J-Stream Equipmedia」のほか、動画マニュアル編集アプリと動画配信がセットになった特別プラン「EQ Creativeエディション」、Salesforce(セールスフォース・ドットコム)向け動画アプリ「Equipmedia動画共有ライブラリfor Salesforce」、インターネット番組の編成・配信に必要な機能をパッケージした「EQ Media Suite」、プレミアム版で高度な拡張性やカスタマイズ性、マネタイズ機能を有する「J-Stream MediaLize」などがラインナップされている。

(2) 配信ネットワークCDN
動画や音声といったリッチコンテンツや、ゲームなど各種アプリケーションのアップデートファイルは、ファイルサイズが大きく、インターネット上で配信を行うとネットワークに大きな負荷がかかる。特にデータが1ヶ所から配信された場合、トラフィック(通信量)が集中することでレスポンスの悪化や通信速度の低下、時には配信停止といった事態を招くこともある。サーバーや回線を増強することで対応は可能だが、導入や運用のコストを考えると一般企業には現実的な選択肢とは言えない。こうした課題を解決したのが、配信制御可能な管理コンソールと顧客サポートがセットになった同社のCDNサービス「J-Stream CDNext」である。

最大の特徴は、国内ISP(Internet Service Provider)やIDC(Internet Data Center)に分散配置された自社の配信用サーバー網にある。そのほか、見やすい管理画面と詳細な設定による柔軟な運営、最新の高速プログラムや高性能サーバー、SSL※1 高速処理機能を備えている。そのため、アクセスが集中して重くなりがちな動画やゲーム、インターネット通販、キャンペーンなどのコンテンツを、数万人のユーザーに高速かつ安定して一気に配信することができる。加えて、DDoS※2防御やWAF※3統合型セキュリティソフト「Imperva Incapsula」、企業の社内ネットワークの高速・安定化に効果が大きい「Kollective SD ECDN」といった海外の優れたサービスを組み合わせることも可能である。CDNも同社にとって大きな強みと言えるだろう。

※1 SSL(Secure Sockets Layer):データを暗号化して、インターネット上で通信する仕組み。たとえばインターネット上でクレジットカード情報や個人情報での通信に使われる。
※2 DDoS(Distributed Denial of Service):複数のPCから1つのサービスに仕掛ける一斉攻撃のこと。
※3 WAF(WEB Application Firewall):Webサイト上のアプリケーションに特化したファイアウォール。


(3) 「ライブ配信サービス」
コロナ禍の影響や配信技術の進歩を背景に、株主総会・IRイベント、専門セミナー、スポーツ・コンサート、プロモーション、社内情報共有・研修など、インターネットを利用したライブ配信の利用機会が急速に拡大している。また、モバイル端末の普及で視聴者が情報にアクセスする場所を選ばなくなったことも、ライブ配信の活用を後押ししている。

同社は、撮影から運用、配信まで、同社はプロフェッショナルな「ライブ配信サービス」を提供している。回線をはじめカメラやエンコーダーといった機材、ライブ専門のディレクターやエンジニア、撮影クルー、ネットワーク技術者といった人材、そして安定した配信ネットワークを、ニーズに合わせ最適な構成にカスタマイズし、企画演出やライブイベントの進行などミスのないオペレーションとともにトータルで提供している。さらに、街頭ビジョンやデジタルサイネージからスマートフォンまで2DからVR(仮想現実)、360度動画といった多様な映像様式に対応する機能、イベントの最中に行えるアンケートや掲示板などを利用した視聴者とのコミュニケーション機能やライブチャットのほか、視聴者の反応をリアルタイムに可視化する機能、追いかけ再生など、顧客や視聴者にとって便利な機能も備えている。もちろん「撮影のみ」や「配信のみ」など、必要なところだけ単独で提供することも可能である。このようなノウハウや技術力、現場対応力は、総合力となって高い優位性を発揮している。「失敗できない生放送」であるライブ配信を確実に成功させるには現場での対応力が重要な要素で、他社にない大きな魅力となり、年間のライブ配信2,600件以上という豊富な実績につながっている。同社の「ライブ配信サービス」も、3つ目の強みと言える。

なお、2020年5月には新たに疑似ライブ配信機能がラインナップされた。疑似ライブ配信は、ライブ中継をしたいが失敗したくない顧客に好評で、ライブ配信の売上を押し上げている。また、近年テレワークの進展に伴って各企業で社内向け・少人数向けのWeb会議が急速に普及している。同社でも代理販売を通じ「双方向ライブ(Web会議)」のサービスを提供している。同社のWeb会議では、たとえば講演者と視聴者(出席者)がチャットや掲示板を通じて質疑応答を行うなど双方向のやり取りが可能である。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)




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