テクマト Research Memo(1):新中期経営計画を発表。SDGsに貢献しながら成長を目指す
[21/06/22]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■要約
テクマトリックス<3762>は、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業を展開する。情報基盤事業では、独自の“目利き力”により、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つネットワーク及びセキュリティ関連の製品を見出し、単なる製品販売にとどまらず、システム構築、保守、運用・監視サービスまでを含めたワンストップ・ソリューションサービスを提供しているのが強みである。また、アプリケーション・サービス事業では、医療、CRM、ソフトウェア品質保証、ビジネスソリューションの4つのソリューションサービスを展開している。特に、医療分野におけるクラウド型PACS(医用画像管理システム)※では業界最大手となっている。
※PACS:Picture Archiving and Communication Systemsの略称で、MRIやCT、超音波診断装置、内視鏡、PET等の医療検査機器で撮影された画像データを受信、データベースへ保存し、端末に表示するシステム。
1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比7.2%増の30,603百万円、営業利益で同21.7%増の3,686百万円といずれも過去最高を更新する好決算となった。2021年3月期より新収益認識基準※1を適用したため、従来基準と比べて売上高で5,166百万円、営業利益で671百万円それぞれ目減りしており、同一会計基準で比較すれば売上高は25.3%増、営業利益は43.9%増となっている。会計基準変更の影響を受けない受注高で見れば、前期比22.1%増の37,476百万円となり、期末受注残高は同55.9%増の30,090百万円と大きく積み上がった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により、在宅勤務(リモートワーク)を導入する企業が増えるなか、リモートアクセスでセキュアな環境を構築するためのセキュリティ製品の需要が拡大したほか、世界的にサイバー攻撃が猛威を振るうなかで、国内外に拠点を有するグローバル企業を中心に、SASE(Secure Access Service Edge:サッシー)※2等のクラウド型ネットワークセキュリティサービスの受注が急拡大したことが要因だ。一方、アプリケーション・サービス事業についても、ビジネスソリューション分野が低迷したものの、CRM分野や医療分野の伸長により増収増益となった。
※1 2021年3月期第1四半期より、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」を早期適用した。新収益認識基準の適用により、保守込みの製品販売やサブスクリプション等の期間限定ライセンスの収益認識のタイミングを厳格化し、履行義務が充足される期間に対応した収益認識を行う。
※2 SASE:ネットワークとネットワークセキュリティを単一のフレームワークで提供するクラウドサービス。ネットワークやセキュリティの管理負荷が低減され、ユーザーの利便性の向上が見込まれる。
2. 2022年3月期見通し
2022年3月期の連結業績は売上高で33,000百万円、営業利益で3,700百万円を見込んでいる。IFRS基準に移行するため前期比増減率は算出していないが、IFRS基準で試算した前期業績推定値との比較では、売上高で6.3%増、営業利益で2.6%増となる。コロナ禍で2021年3月期に大きく伸長した情報基盤事業で、反動による成長鈍化を見込んでいるほか、広告・販促費の増加を見込んでいる。また、アプリケーション・サービス事業では新規参入した教育分野の先行投資や、一部製品でサブスクリプションモデルへの移行を予定している影響で、営業利益が一時的に減益に転じることなどが要因だ。ただ、2021年3月期末の受注残高が300億円を超えており、企業を中心に情報セキュリティに対する投資は堅調なことから、業績計画は保守的なものと弊社では見ている。
3. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」
同社は2022年3月期からスタートする新たな中期経営計画を発表した。デジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会にとって必要不可欠な領域に向けた事業を加速し、社会課題を解決するためのサービス提供を通じて持続可能な社会の創造に貢献していくことを目標に掲げた。基本戦略として、取扱い製品の拡大・新規サービスの立ち上げ、サービス化の加速、データの利活用、M&A・アライアンスの推進、海外市場での事業拡大など前中期経営計画からの戦略を踏襲する。新たに教育分野にも参入し、収益化を目指していく。業績目標は2024年3月期で売上高40,000百万円、営業利益5,000百万円に設定、年平均成長率は売上高で9.3%、営業利益で10.7%となる。2年目までは先行投資もあって利益の伸びは緩やかだが、3年目に大きく伸ばしていく計画となっている。前中期計画では当初目標(売上高28,000百万円、営業利益2,700百万円)に対して売上高、営業利益とも大きく上回る結果となっており、今回も目標を上回る成長が期待される。
■Key Points
・2021年3月期は情報基盤事業の躍進により、実質2ケタ台の大幅増収増益を達成
・2022年3月期業績は新規事業の先行投資等により一時的に成長鈍化するも、着実に成長を続ける見通し
・市場環境の変化を新たな成長機会と捉え、社会課題を解決するためのサービスの提供を通して持続可能な社会の創造に貢献しながら収益拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<EY>
テクマトリックス<3762>は、情報基盤事業とアプリケーション・サービス事業を展開する。情報基盤事業では、独自の“目利き力”により、北米を中心に高い技術力、競争力、成長力を持つネットワーク及びセキュリティ関連の製品を見出し、単なる製品販売にとどまらず、システム構築、保守、運用・監視サービスまでを含めたワンストップ・ソリューションサービスを提供しているのが強みである。また、アプリケーション・サービス事業では、医療、CRM、ソフトウェア品質保証、ビジネスソリューションの4つのソリューションサービスを展開している。特に、医療分野におけるクラウド型PACS(医用画像管理システム)※では業界最大手となっている。
※PACS:Picture Archiving and Communication Systemsの略称で、MRIやCT、超音波診断装置、内視鏡、PET等の医療検査機器で撮影された画像データを受信、データベースへ保存し、端末に表示するシステム。
1. 2021年3月期の業績概要
2021年3月期の連結業績は、売上高で前期比7.2%増の30,603百万円、営業利益で同21.7%増の3,686百万円といずれも過去最高を更新する好決算となった。2021年3月期より新収益認識基準※1を適用したため、従来基準と比べて売上高で5,166百万円、営業利益で671百万円それぞれ目減りしており、同一会計基準で比較すれば売上高は25.3%増、営業利益は43.9%増となっている。会計基準変更の影響を受けない受注高で見れば、前期比22.1%増の37,476百万円となり、期末受注残高は同55.9%増の30,090百万円と大きく積み上がった。新型コロナウイルス感染症拡大(以下、コロナ禍)により、在宅勤務(リモートワーク)を導入する企業が増えるなか、リモートアクセスでセキュアな環境を構築するためのセキュリティ製品の需要が拡大したほか、世界的にサイバー攻撃が猛威を振るうなかで、国内外に拠点を有するグローバル企業を中心に、SASE(Secure Access Service Edge:サッシー)※2等のクラウド型ネットワークセキュリティサービスの受注が急拡大したことが要因だ。一方、アプリケーション・サービス事業についても、ビジネスソリューション分野が低迷したものの、CRM分野や医療分野の伸長により増収増益となった。
※1 2021年3月期第1四半期より、企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」及び企業会計基準適用指針第30号「収益認識に関する会計基準の適用指針」を早期適用した。新収益認識基準の適用により、保守込みの製品販売やサブスクリプション等の期間限定ライセンスの収益認識のタイミングを厳格化し、履行義務が充足される期間に対応した収益認識を行う。
※2 SASE:ネットワークとネットワークセキュリティを単一のフレームワークで提供するクラウドサービス。ネットワークやセキュリティの管理負荷が低減され、ユーザーの利便性の向上が見込まれる。
2. 2022年3月期見通し
2022年3月期の連結業績は売上高で33,000百万円、営業利益で3,700百万円を見込んでいる。IFRS基準に移行するため前期比増減率は算出していないが、IFRS基準で試算した前期業績推定値との比較では、売上高で6.3%増、営業利益で2.6%増となる。コロナ禍で2021年3月期に大きく伸長した情報基盤事業で、反動による成長鈍化を見込んでいるほか、広告・販促費の増加を見込んでいる。また、アプリケーション・サービス事業では新規参入した教育分野の先行投資や、一部製品でサブスクリプションモデルへの移行を予定している影響で、営業利益が一時的に減益に転じることなどが要因だ。ただ、2021年3月期末の受注残高が300億円を超えており、企業を中心に情報セキュリティに対する投資は堅調なことから、業績計画は保守的なものと弊社では見ている。
3. 中期経営計画「BEYOND THE NEW NORMAL」
同社は2022年3月期からスタートする新たな中期経営計画を発表した。デジタル化への急激なシフトと産業構造の劇的な変化を新たな成長機会と捉え、社会にとって必要不可欠な領域に向けた事業を加速し、社会課題を解決するためのサービス提供を通じて持続可能な社会の創造に貢献していくことを目標に掲げた。基本戦略として、取扱い製品の拡大・新規サービスの立ち上げ、サービス化の加速、データの利活用、M&A・アライアンスの推進、海外市場での事業拡大など前中期経営計画からの戦略を踏襲する。新たに教育分野にも参入し、収益化を目指していく。業績目標は2024年3月期で売上高40,000百万円、営業利益5,000百万円に設定、年平均成長率は売上高で9.3%、営業利益で10.7%となる。2年目までは先行投資もあって利益の伸びは緩やかだが、3年目に大きく伸ばしていく計画となっている。前中期計画では当初目標(売上高28,000百万円、営業利益2,700百万円)に対して売上高、営業利益とも大きく上回る結果となっており、今回も目標を上回る成長が期待される。
■Key Points
・2021年3月期は情報基盤事業の躍進により、実質2ケタ台の大幅増収増益を達成
・2022年3月期業績は新規事業の先行投資等により一時的に成長鈍化するも、着実に成長を続ける見通し
・市場環境の変化を新たな成長機会と捉え、社会課題を解決するためのサービスの提供を通して持続可能な社会の創造に貢献しながら収益拡大を目指す
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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