ソフト99 Research Memo(9):アズテックとの協業等による医療分野での今後の成長性に期待
[21/06/23]
提供元:株式会社フィスコ
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注目トピックス 日本株
■ソフト99コーポレーション<4464>の今後の見通し
2. 事業セグメント別見通し
(1) ファインケミカル事業
ファインケミカル事業の売上高は前期比1.0%増の13,845百万円、営業利益は同8.3%減の2,050百万円と増収減益を見込んでいる。減益要因は、既述のとおり前期に減少した営業費用の増加を見込んでいることによる。前期に伸長した一般消費者向け自動車用ファインケミカル製品については、横ばい水準を見込んでいる。ドライバーが自動車のメンテナンスにかける時間は前期とほぼ変わらないと見ており、継続的に新製品を投入していくことなどで高水準の売上を維持していく。
また、家庭用製品については前期比2ケタ増を見込んでいる。マスクの使用状況は変わらないものの、前期はメガネケア製品の需要に対して供給が追い付かず、一時的に発生した販売機会ロスが今期は解消されているため、その部分が増収要因になる。ただ、下期にかけてワクチン接種が進み、コロナ禍が収束してマスク利用が減少した場合には、販売面で影響が出る可能性がある。このため、同社ではコロナの影響で拡大したメガネケアニーズを一過性のものに終わらせないよう着実にユーザーを取り込み、更に認知の拡大を目指すため販売促進などの施策を講じるとともに、現中計で計画していたメガネケアのノウハウの横展開による新たな販売の柱(特にスポーツ関連分野)を構築すべく、製品開発に注力する。
業務用製品については微増収を見込んでいる。自動車向けコーティング剤については、新車販売台数の見通しが不透明だが、中古車向けの販売増でカバーできる見通しだ。また、前期に新たに販売を開始した設備用抗菌コート剤の拡販を進めていく。既に大手清掃事業者へのOEM提供を開始しているほか、子会社のアズテックが医療施設での需要があると見て、販売活動も開始している。また、関西国際空港の施設メンテナンス用に抗ウイルスコート剤の採用も決まっている。設備機器向けコーティング剤の売上高は1.4億円(前期は1.2億円)を見込んでいるが、これらの新たな市場開拓が進めば、計画を上回る可能性も十分ある。
海外事業については、コロナ禍の影響が不透明なため、前期並みの売上水準で想定している。また、TPMS事業についても前期並みの売上見込みだが、運送会社向けなどリピート需要が期待できる安定顧客基盤が増えてきているようで、収益化に向けて引き続き運送会社を中心に顧客開拓を推進していく方針だ。電子機器・ソフトウェア開発事業に関しては、引き続き遠隔監視システムの4G対応製品への切り替え需要が見込まれている。また、前期からは自社でインフラを構築し、遠隔監視サービスをクラウドサービスとして顧客に提供するビジネスも開始しており、今後の成長が期待される。 (株)ハネロンの経営も安定してきたことから同社では、エンジニアの増員を2021年から進めていくことも検討している。現在は従業員数24名の5割程度がエンジニアだが繁忙状況が続いており、当初の子会社化の目的であった自社の新たなサービスの創出に向けた取り組みは進んでおらず、今後の課題となる。
(2) ポーラスマテリアル事業
ポーラスマテリアル事業の売上高は前期比6.3%増の6,680百万円、営業利益は同16.1%減の599百万円となる見通し。アズテックの業績が通年で寄与することを考慮すれば、既存事業は微増収を想定していることになる。また、営業利益の減益要因は、のれん償却額が68百万円増加することや販促費など営業費用の増加を見込んでいることによる。
産業資材のうち、半導体製造用精密洗浄材については、半導体不足が深刻化していることもあって、海外の主要顧客でフル稼働状況が続く可能性が高いこと、中国半導体メーカー向けについても製造装置メーカーを通じて販売が伸びていること、前期に遅延していた国内半導体メーカー向けの伸びも見込まれることなどから、売上は好調を持続する可能性が高い。また、医療用についても、新型コロナウイルス感染症検査キット向け吸液材の需要増加が引き続き見込まれる。一方、生活資材については、米国の自動車用途向けの回復が見込まれるほか、その他家庭用品向け製品の拡充も進めていくことで増収を目指す。こうしたことから、既存事業の売上計画については保守的で上振れする可能性が高いと弊社では見ている。
なお、同社では既存工場の生産能力が限界に近付いてきたこと、医療分野での事業拡大を目指すことから、医療用製品の品質管理基準に適合した新工場を新たに建設する計画であることを明らかにした。新工場では医療用製品のほか、生活資材用品を製造する予定にしており、既存工場で空いたスペースで半導体/HDD製造用だけでなく、FPDやプリント基板・半導体パッケージ等の成長が見込めるハイテク産業向け産業用資材の生産能力を増強する予定だ。新工場に関しては段階的に投資を進めていくことにしており、当初の設備投資額は17億円程度を見込んでいる。
医療用製品については、現在のウイルス検査用資材のほか、アズテックと共同開発中の製品も生産していく。アイオン独自の開発による高吸水性、高気孔率といった特徴を持つPVA(ポリビニルアルコール)スポンジの製品力と、アズテックの企画開発力を融合することで、新たな医療用製品の開発を進めている。医療分野では衛生管理が厳しく求められる環境であり、アイオンのPVAスポンジの利用価値は大きいと弊社では見ている。特に、アズテックは大規模医療施設など多く顧客基盤にしていることから、新製品の販促活動も進めやすいといったメリットもある。医療分野の売上高はアズテックの製品も含めて2022年3月期は9億円前後になるものと予想されるが、中期的に高成長が期待できる分野として弊社では注目している。
(3) サービス事業、不動産関連事業
サービス事業、不動産関連事業の合計は、売上高で前期比2.4%増の6,975百万円、営業利益で同41.0%増の351百万円となる見通し。主に、前期にコロナ禍の影響を受けた自動車教習所事業や温浴事業の収益改善を見込んでいる。いずれも前期は約1ヶ月休業を強いられたが、当期は営業自粛要請が今のところないため、稼働日数の増加が主な収益改善要因となる。また、温浴事業については、前期に減損損失を計上したことで減価償却費が軽減されることも改善要因となる。
自動車教習所事業については、現状繁忙状況が続いているほか、2021年4月より新たにドローンスクールも開校した。受講者はまだ数名程度だが、今後建設業者だけでなく、農薬散布でもドローンを使うため農業従事者の受講者数が増加するものと見ており、中期的に収益拡大につながるものと期待される。一方、温浴事業については引き続き客数が低迷しているが、食事のデリバリーサービスを開始するなど新たな取り組みを進めながら収益確保を目指している。
自動車整備・鈑金事業については、事故車等の入庫数の動向が見通し難いため、前期並みの水準を想定している。引き続き美装関連(ボディコーティング、プロテクションフィルム、カーラッピング等)に注力し、収益構造を徐々に変えていく方針だ。生活用品企画販売については、生協向けや自社ECサイトを通じた販売が堅調に推移する見通しだが、収益力の向上を図るため、PB商品の開発販売に注力する。不動産賃貸事業については前期並みの状況が続く見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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2. 事業セグメント別見通し
(1) ファインケミカル事業
ファインケミカル事業の売上高は前期比1.0%増の13,845百万円、営業利益は同8.3%減の2,050百万円と増収減益を見込んでいる。減益要因は、既述のとおり前期に減少した営業費用の増加を見込んでいることによる。前期に伸長した一般消費者向け自動車用ファインケミカル製品については、横ばい水準を見込んでいる。ドライバーが自動車のメンテナンスにかける時間は前期とほぼ変わらないと見ており、継続的に新製品を投入していくことなどで高水準の売上を維持していく。
また、家庭用製品については前期比2ケタ増を見込んでいる。マスクの使用状況は変わらないものの、前期はメガネケア製品の需要に対して供給が追い付かず、一時的に発生した販売機会ロスが今期は解消されているため、その部分が増収要因になる。ただ、下期にかけてワクチン接種が進み、コロナ禍が収束してマスク利用が減少した場合には、販売面で影響が出る可能性がある。このため、同社ではコロナの影響で拡大したメガネケアニーズを一過性のものに終わらせないよう着実にユーザーを取り込み、更に認知の拡大を目指すため販売促進などの施策を講じるとともに、現中計で計画していたメガネケアのノウハウの横展開による新たな販売の柱(特にスポーツ関連分野)を構築すべく、製品開発に注力する。
業務用製品については微増収を見込んでいる。自動車向けコーティング剤については、新車販売台数の見通しが不透明だが、中古車向けの販売増でカバーできる見通しだ。また、前期に新たに販売を開始した設備用抗菌コート剤の拡販を進めていく。既に大手清掃事業者へのOEM提供を開始しているほか、子会社のアズテックが医療施設での需要があると見て、販売活動も開始している。また、関西国際空港の施設メンテナンス用に抗ウイルスコート剤の採用も決まっている。設備機器向けコーティング剤の売上高は1.4億円(前期は1.2億円)を見込んでいるが、これらの新たな市場開拓が進めば、計画を上回る可能性も十分ある。
海外事業については、コロナ禍の影響が不透明なため、前期並みの売上水準で想定している。また、TPMS事業についても前期並みの売上見込みだが、運送会社向けなどリピート需要が期待できる安定顧客基盤が増えてきているようで、収益化に向けて引き続き運送会社を中心に顧客開拓を推進していく方針だ。電子機器・ソフトウェア開発事業に関しては、引き続き遠隔監視システムの4G対応製品への切り替え需要が見込まれている。また、前期からは自社でインフラを構築し、遠隔監視サービスをクラウドサービスとして顧客に提供するビジネスも開始しており、今後の成長が期待される。 (株)ハネロンの経営も安定してきたことから同社では、エンジニアの増員を2021年から進めていくことも検討している。現在は従業員数24名の5割程度がエンジニアだが繁忙状況が続いており、当初の子会社化の目的であった自社の新たなサービスの創出に向けた取り組みは進んでおらず、今後の課題となる。
(2) ポーラスマテリアル事業
ポーラスマテリアル事業の売上高は前期比6.3%増の6,680百万円、営業利益は同16.1%減の599百万円となる見通し。アズテックの業績が通年で寄与することを考慮すれば、既存事業は微増収を想定していることになる。また、営業利益の減益要因は、のれん償却額が68百万円増加することや販促費など営業費用の増加を見込んでいることによる。
産業資材のうち、半導体製造用精密洗浄材については、半導体不足が深刻化していることもあって、海外の主要顧客でフル稼働状況が続く可能性が高いこと、中国半導体メーカー向けについても製造装置メーカーを通じて販売が伸びていること、前期に遅延していた国内半導体メーカー向けの伸びも見込まれることなどから、売上は好調を持続する可能性が高い。また、医療用についても、新型コロナウイルス感染症検査キット向け吸液材の需要増加が引き続き見込まれる。一方、生活資材については、米国の自動車用途向けの回復が見込まれるほか、その他家庭用品向け製品の拡充も進めていくことで増収を目指す。こうしたことから、既存事業の売上計画については保守的で上振れする可能性が高いと弊社では見ている。
なお、同社では既存工場の生産能力が限界に近付いてきたこと、医療分野での事業拡大を目指すことから、医療用製品の品質管理基準に適合した新工場を新たに建設する計画であることを明らかにした。新工場では医療用製品のほか、生活資材用品を製造する予定にしており、既存工場で空いたスペースで半導体/HDD製造用だけでなく、FPDやプリント基板・半導体パッケージ等の成長が見込めるハイテク産業向け産業用資材の生産能力を増強する予定だ。新工場に関しては段階的に投資を進めていくことにしており、当初の設備投資額は17億円程度を見込んでいる。
医療用製品については、現在のウイルス検査用資材のほか、アズテックと共同開発中の製品も生産していく。アイオン独自の開発による高吸水性、高気孔率といった特徴を持つPVA(ポリビニルアルコール)スポンジの製品力と、アズテックの企画開発力を融合することで、新たな医療用製品の開発を進めている。医療分野では衛生管理が厳しく求められる環境であり、アイオンのPVAスポンジの利用価値は大きいと弊社では見ている。特に、アズテックは大規模医療施設など多く顧客基盤にしていることから、新製品の販促活動も進めやすいといったメリットもある。医療分野の売上高はアズテックの製品も含めて2022年3月期は9億円前後になるものと予想されるが、中期的に高成長が期待できる分野として弊社では注目している。
(3) サービス事業、不動産関連事業
サービス事業、不動産関連事業の合計は、売上高で前期比2.4%増の6,975百万円、営業利益で同41.0%増の351百万円となる見通し。主に、前期にコロナ禍の影響を受けた自動車教習所事業や温浴事業の収益改善を見込んでいる。いずれも前期は約1ヶ月休業を強いられたが、当期は営業自粛要請が今のところないため、稼働日数の増加が主な収益改善要因となる。また、温浴事業については、前期に減損損失を計上したことで減価償却費が軽減されることも改善要因となる。
自動車教習所事業については、現状繁忙状況が続いているほか、2021年4月より新たにドローンスクールも開校した。受講者はまだ数名程度だが、今後建設業者だけでなく、農薬散布でもドローンを使うため農業従事者の受講者数が増加するものと見ており、中期的に収益拡大につながるものと期待される。一方、温浴事業については引き続き客数が低迷しているが、食事のデリバリーサービスを開始するなど新たな取り組みを進めながら収益確保を目指している。
自動車整備・鈑金事業については、事故車等の入庫数の動向が見通し難いため、前期並みの水準を想定している。引き続き美装関連(ボディコーティング、プロテクションフィルム、カーラッピング等)に注力し、収益構造を徐々に変えていく方針だ。生活用品企画販売については、生協向けや自社ECサイトを通じた販売が堅調に推移する見通しだが、収益力の向上を図るため、PB商品の開発販売に注力する。不動産賃貸事業については前期並みの状況が続く見通しだ。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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